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初陣で緊張していたが、目の前の敵を倒すことだけに必死になってはいられなかった。
みんな勇猛に戦うのは良いのだが、それと引き換えに後ろがお留守になることが多く、私は必死になって同僚たちの背後から迫る敵を槍で刺した。
また、同僚たちは剣が血糊でなまくらになったり槍が折れたりするとあからさまに途方に暮れたという顔をするので、私が死骸の上を走り回って武器をはぎ取り、投げてよこしてやることも何度かあった。
さらに、いつマイクロフトから指示が飛んでくるとも知れない。
自然、私は自分の前後左右を警戒し、周りをよく見て戦うことになった。
同じ6人班で最初に戦死したのはトーマスだった。
彼は敵の剣を足に受け、身動きが取れなくなったところを別の敵の槍に突かれた。
ボブは正面の敵と戦っている最中に、後ろから別の敵に背中を刺されて死んだ。
ジョンとバリーは、私がちょっと目を離した隙に姿が見えなくなっており、戦闘が終わってから遺体が見つかった。
不幸中の幸いにして、ケビンと私は生き残った。
戦争と言っても数と武装が違うだけで、やることの本質はきっと喧嘩と変わらないだろう、と戦場に立つ前の私は思っていた。
国と国の戦争と言っても実際に戦うのは生身の人間のはずだからだ。
だが、実際の戦争ではそれぞれの人間の正義や矜持などあったものではなかった。
多くの人間はただ使い捨てられ、死んだら味方にさえ踏みつけられた。
それは人と人との闘いではなく、もっと別の獣たちの喰い合いのようだった。
私はこのときになってようやく、自分がどんなところに迷い込んだのかを思い知った。




