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ダームガルス戦記  作者: あじさい
第2章 ホリウス
27/146

2-1

 敵がノーリンドンに程近い都市クライスに向けて進軍を開始したらしいと私が知ったきっかけは、ジョンとトーマスの噂話だった。

 それによると、敵の進路にはドゥオーク、ホリウス、ラティスなどの町があり、これらを落とされると補給路がつながってクライスは風前の灯火になる。

 そのため、我が軍は敵がドゥオークを陥落させる前に、敵を迎え撃つことになった。


 クロッカス将軍の指揮の下、私たち西部防衛軍は良くも悪くも思い出深いノーリンドンを後にした。

 王国軍の歩みは数日間に渡ったが、日が昇り切ってから始まって日が傾いた頃に終わる悠長なものだった。

 ジェンキンス隊は偵察も兼ねて先行したが(もちろん斥候部隊は別にいたが)、それでも日の出ている内しか歩かなかった。

 行軍中は体力温存のために教練を停止することになっていたが、体力の余ったマイクロフト小隊の連中は気晴らしに剣を振るい、木剣で試合をした。

 古参は行軍程度の運動量では落ち着かない体になっていたし、新参も日が昇る前に起きる習慣がついてしまっていて、1日の行軍の前後が暇だったのである。


 ジェンキンス隊がホリウスを出発した日、昼頃になって行軍が中止され、隊はホリウスに引き返すことになった。

 下っ端の私には事情が呑み込めなかったが、歩みの遅い本隊に伺いを立てながらのんびり行軍している間に、敵軍がドゥオークに接近していたのである。

 クライス侯爵アンソニー・カルマンは時間を稼ごうと軍事と外交の両面で粘っているが、西部防衛軍本隊の到着を待っていたのでは間に合わない。

 そこで、ジェンキンス隊長は軍の集結地点をドゥオークからホリウスに変更する決断をした。

 間もなく、クライス侯爵はドゥオークからの撤退を決意した。

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