第1話 入学
「武装偵察及び戦闘高等学院へようこそ。所持品はなくさないようご注意ください。もしなくした場合は、速やかに落とし物窓口へ行って届け出てください。」
機械的な女性の声が耳に届く。その声が消えるとともに鉄の門がゆっくりと開き、僕はスキャナーから学生証を取り出し、長旅でできた紺色の制服のしわを手で少し整える。いよいよ学院へ入る番だ。緊張、すごく緊張していて、息を吸ったり吐いたりして気持ちを落ち着けるしかない。ついに、入学だ。
武装偵察及び戦闘高等学院、その名の通り、この学校では数学や物理、化学といった科目はほんの触り程度しか扱わず、何より重要なのは偵察と戦闘を教えることだ。なぜこんな学院があるのかというと、表向きには世界中で次第に台頭してきたテロ犯罪を防ぐために設立されたとされており、その目的は偵察、戦闘、解決——テロ犯罪を未然に防ぐことにある。
僕はそっと刀の柄に手を置く。これは桜切という名の家宝で、生き残るための切り札でもある。けれど、どこでも銃器が使われるこの時代に、まだ冷兵器を使っているような人間は時代遅れと言っていい。とはいえ自分の射撃成績は正直ぱっとしないので、やはり冷兵器のほうが性に合っている。ありがたいことに、武高は武器について何を使わなければならないといった強制はしていない。
学院の門が完全に開くと、内側にはまた別の光景が広がっていた。どこも生徒だらけで、男女が集まってふざけ合ったり騒いだりしている。一目で外国人と分かる顔立ちの人もいる。とはいえ全体的に年齢は僕と同じくらいで、学院なのだから、それも当然だろう。
僕はあちこちを見回す。学校はとても広くて、少し目的の場所が見つからない。
「あの、もしかして新入生の青葉蘭さんですか?」
柔らかく甘い声が耳に届く。声は左斜め前からだった。僕が顔を上げると、淡い金髪のショートヘアに赤みがかったピンクの瞳をした少女が、紺色の制服を着て、プリーツスカートを風に少し揺らしながらこちらを見ていた。少女は少し自信なさげな、困惑した表情で、人差し指を頬に当て、桜色の小さな唇をとがらせている。天使がいるなら、きっとこの顔だ。
「あ、は、はい。新入生の青葉蘭です。入学受付に来ました。」
僕は少し緊張した口調で、急いで手のひらに握っていた学生証を取り出し、目の前の少女に差し出した。
少女は学生証を一瞥すると僕に返し、両手を合わせて笑みを浮かべて言った。
「そんなに緊張しなくていいよ。私、美月千夏。あなたと同じ学年だよ。新入生を迎えるのも、私の仕事のひとつなんだよ。」
「仕事って?」
僕は少し疑問に思う。少女は僕と同じ年齢に見えるし、同じく制服を着ている。教師や教職員の類ではないはずだ。
「私、生徒会に入ってるんだ。新入生の歓迎も生徒会役員の仕事の一つだから、迎えに来たんだよ。」
美月千夏は、僕の腰に提げている桜切を一瞥して言った:
「制式武器じゃなくて専用武器を使うなら、事前に届け出が必要だよ。でも、そういうのは急ぎじゃないし、先に寮に案内するね。」
僕はうなずいた。それを見た美月千夏は、笑顔をいっそう甘くして、前を歩いて案内しながら言った:
「学院は大きく四つの科に分かれてる。後方支援科、偵察科、強襲科、射撃科。蘭さんは何科?私は射撃科だよ。」
「僕ですか…うーん、強襲科。」
強襲科と聞いて、美月千夏は足を止め、振り返って心配そうな表情で僕を見て言った:
「強襲科?一番大変な部署だね。しかも死亡率が10分の1もあるって聞いたよ。蘭さん、絶対に気をつけてね。」
死亡率が10分の1?そんなに高いのか。ということは、僕はいつ命を落としてもおかしくない部署に入っちゃったってことか?これじゃあ危ないんじゃないか?
喉が少し乾いた感じがして、声も少し弱くなった。死亡率が10分の1という言葉を聞いた瞬間、心臓を誰かにぎゅっと強く握りしめられたような気がして、呼吸さえ苦しくなった。僕は美月千夏を見て尋ねた:
「死亡率……そんなに高いんですか?」
「うん。」
美月千夏は小さくうなずいて言った:
「強襲科は一番大変な部署で、奇襲、突破、突撃、正面戦闘は基本的に強襲科の生徒が担当してるんだ。強襲科はほとんどが最前線の正面戦場で活動してるから、死傷率はずっと高いままだよ。でもだからこそ、強襲科の生徒はずっと尊敬されてるんだ。」
美月千夏は真剣な目で僕を見て言った:
「だから蘭さん、何かあったときは、遠慮して助けを求めないなんて絶対にしちゃだめだよ。命に関わることなんだから。」
どうか安心してほしい。僕は絶対に遠慮したりしない。命はすごく大事なんだから。
僕はさっき少し乱れた気持ちを落ち着けてから、うなずいた:
「はい、そうします。いざ必要になったときは、千夏さんにお世話になります。」
僕の答えを聞いて、美月千夏はようやく満足そうな笑みを浮かべ、それから前を向き直って案内を続けた。
美月千夏の後ろをついていくと、時間がぎゅっと圧縮されたみたいだった。こんなに優しくて親切な女の子と一緒にいると、時間が足りないとさえ感じる。あっという間に寮の前まで来てしまった。
美月千夏は寮の中に入って言った:
「蘭さんはA棟の3階、307号室だよ。これから私たち、ご近所さんだね。」
「ご近所さん……えっ!ご近所さん!」
僕は驚いて目を大きく見開いて美月千夏を見た。ご近所さんって、まさか隣の部屋に住んでるってこと?
そんな僕の様子を見て、千夏は口元を押さえてクスッと笑った:
「私もA棟だよ。でも5階の501号室なんだ。同じ寮の棟に住んでいれば、ご近所さんって言えるんだよ。」
「あ、僕はてっきり隣の部屋に住んでるのかと思ったよ。でも、この学校って男女で寮の棟を分けてないんだ?」
僕は美月千夏の後ろに続いてエレベーターに乗り、美月千夏は細い指を伸ばして三階のボタンを押すと、こう言った:
「分けてないよ。学校はA、B、Cの寮棟に分かれているだけで、男女の寮棟をわざわざ区別したりはしないんだ。」
『ピンポン。』
エレベーターは三階に停まり、チャイムを鳴らすと、二人はエレベーターを降りた。美月千夏は寮の部屋の前まで行き、こう言った:
「蘭さん、学生証をドアのロックにかざせば開くよ。」
美月千夏の言うとおりにすると、ドアは音を立てて開いた。50平米の単身用アパートは決して狭くはなく、ほとんどすべての物が用意されていて、歯ブラシのような小物からパソコンのような家電まで、何でも揃っていた。
「水道と電気は無料だよ。でも、無駄にしないでね。」
美月千夏は戸口に立って、念を押した:
「明日、蘭さんは最初の授業を受けることになるよ。そのときに個人端末を配布するね。学生証と個人端末はとても大事な二つの物だから、どちらをなくしてもすぐに紛失届を出して再発行してもらってね。」
「分かった。本当に手を煩わせてしまって、千夏さん。」
僕は美月千夏を見て、心から感謝した。入学初日にこんなに優しくて善良な人に出会えるなんて、本当に運がいい。
「どういたしまして。それじゃあ、これ以上蘭さんのお邪魔はしないね。バイバイ。」
美月千夏は軽く笑って手を振り、僕に別れを告げると、背を向けて去ろうとした。そして、何かを急に思い出したようにその場に立ち止まり、こう言った:
「そうだ、蘭さん。武器の届け出は、明日端末を受け取ってからできるよ。」
そう言い終えると、美月千夏はようやく本当に去っていった。
美月千夏が去った後、僕は桜切を脇に置き、ベッドに座って少し休んだ。来る途中、車に乗ったせいで少し車酔いしたから、少し体調を整えないといけなかった。
ベッドに仰向けに寝そべり、僕は学生証を見た。そこには証明写真と、自分の所属する強襲科を含むいくつかの基本情報が載っていた。
『死亡率は十分の一にも達する。』美月千夏のその言葉が頭から離れなかった。僕がこの学院に入学したことが良い選択だったのか、本当に分からない。何しろ、美月千夏のあの言い方だと、よく人が死ぬらしいから。




