孤立
最近、2年男子から1年女子が避けられている。しかも、それをキャプテンが率先して行っているのだ。田沢湖は、そんな事はしていないが。
「田沢湖先輩、最近あの3人1年女子を避けてませんか?」
あの3人というのは、由斗、今日太郎、そして島護のことである…。
「ああ。ったくこっちもこっちで孤立して大変なんだよ…。」
「孤立、と言いますと?」
「あいつらが女子と練習しない…つうか今日太郎の場合はできないのか…」
「できない?」
「島護が強制的に女子と練習させてないんだよ。」
「まぁ、今日太郎先輩はあの喧嘩の時は中立でしたしね。」
「んでまぁ…あいつらが女子避けてるから、僕がいっつも女子の相手しないといけないからさ…2年の中で孤立しちまうんだよ。」
「なるほど…。面倒くさい事になってんですね。」
「しかもよ…最近変な噂たてられて…。もう困ったよ…。」
「どんな噂ですか?」
「実はな…」
………………
これは、夏浜中学校2年棟でのある女子達の会話。
「吹奏楽ってさぁ…音楽室でやってるじゃん?」
「うんうん。」
「卓球部練習してるあの渡り廊下って、音楽室からよく見えるのね。」
「あぁー、確かに確かに。」
「でね…田沢湖いるじゃん。」
「いるいる。卓球部の人でしょ?」
「なんかね…後輩に手出したみたいなの!!しかも複数!!」
「えぇー、マジかマジか!」
「え、けどあいつ委員長じゃね?そういう系の人間だったの?」
「いっつも窓際で田沢湖が後輩と話してるの!楽しそうに!!」
「ヒューヒュー!」
「まーじぃ?引くぅ…。あ、けどさ、他にも卓球部って男子いるくね?」
「だからね。どうやって口説き落としたんだか…。もう、吹部じゃこの話で持ちきり。」
「卓球が体育館練習の時じっくり観察しよぉっーと!」
「お、噂をすれば…じゃん。」
「あ、マジで!?ねぇねぇ田沢湖ー。」
………………
「…という訳だ。」
「田沢湖先輩、つらいですね。頑張ってください。」
「この噂を否定するのに1日の摂取エネルギーの2分の1を使ってる気がするよ…。」
「女子に目付けられると面倒臭いですよ…。とりあえず頑張ってください。」
「あぁ…。」
(まぁ、さえりとのあの夜の事が誰にも伝わってないから、幸せな方なんだろうな…。両想いになった途端に噂がばらまかれて別れた、て話よく聞くし…。)
とある7月の晴れた日の練習。未だに、男女のわだかまりは解決しきっていない。今日もまた、田沢湖は女子の練習の相手である。最近、ついに練習の指示すら島護は伝えてこなくなった。仕方ないので、中立派の今日太郎に指示を伝えてもらっている。
「田沢湖ー!!」
「ん?」
「今日、先生来れないから掃除だとよー。」
「あー、わかった。」
この掃除で、とんでもなく面倒臭い方向に事態は転がる。そんなことは、誰も知らなかった。




