23、乗馬服
馬車の乗り入れが不可能になった時点で、乗馬服に着替えたのは我ながら英断だった。
参考にしたのは前世の障害馬術のファッション。
ぴっちりしたズボンは、子供の私が着るにしてもさすがにまだ刺激が強すぎるようなので、膝から上を少し膨らませてみた。
その名もずばり、ジョッパーズパンツ。
ストレッチ素材がないことも理由の一つ。
いまだ織り機で、つぃーっトントンとしているわけだから、ポリウレタンを糸にして織り込むなんて技術は当然ない。
しかも、平織りがせいぜいといったところ。
毛糸でならば編み方一つでかなりのびーる状態にできるけど。
大公閣下の執事に、賄賂がわりに編みぐるみを作って贈ったらとてもよろこんでくれた。
彼の名はクルト・デンバー。七歳になる腹違いの妹がいる。
家令クリスチャンの孫でもある。
いまだ本を借りて返してを続けている機織りに、ツインやサテンを試し織りしてもらったところ。
早い段階で大公閣下の介入があった。
原材料を様々かえて、ツインは寝巻や外套として、サテンはドレスとして仕立てることが人気に。
個人的にはサテンは好きではないけれど、ジャケットの裏地としてほしかったのだ。
これで前世の乗馬の経験が活かせる。
横乗りなんて恐ろしくてできませんから。
ピカピカのブーツと短鞭まで誂えてテンションがあがる。
今回は贈られた馬の調教が間に合わず、馬車で移動ということもあって自馬は置いてきてしまったけれど。
どの道、道が道なのでここからは徒歩だ。
一応、枝打ちなどはされていて歩くのに不安はない。
でも聖女の泉は枯れていた。
新しい聖女の泉はこちら➡
手作り感満載の案内表示に、顔を見合わせる。
「行くか」
「行きましょう」
獣道に気をもったくらいの山道に足を踏み入れる。
前世であればハイキングコースでよく見られるタイプの道標。
拙いながらも丁寧につくられていたこともあるけれど。
旦那様の強力な攻撃魔法と、自身の魔法陣の効果を頼む気持ちが大きい。




