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作戦前夜

野菜っていいですよね。

中盤あたりから頭痛にさいなまれて書いたのでグダってる可能性があります

(0w0)ズズ

-旦-

 「話し合いはおわりました?」


 終わらなければ帰ってない。そう無神経な言葉が出かけて飲み込む。

分かった上での確認。コミュニケーションとかリア充とか呼ばれるそれなんだろう。


「作戦決行は明日。影から僕らが、大々的にあっちがやってくれる」

「信用できません」


 一刀両断された。

確かに、名無しからすれば、いきなり現れた第三勢力で、しかも元敵ときた。信用できるわけがない。しかし、それはあちらも同じ。信用と信用、それが重なるのが信頼なのだ。


「……だいたい、勝算はあるんですか?」

「勝てない勝負はするつもりはないけど……?」

「過信です」


 腐っても命を懸けた戦線を練り歩いてきた、英雄。名前がないとはいえ、それ相応の力がある。それ相応の知恵がある。

笑顔でただ殺戮を繰り広げるだけでは、英雄などとは呼ばれない。


「私は基本的に雇い主、主人。それらの命令を優先します。発言を尊重します。しかし、雇われる以上、部下である以上、人として、最低限勝利を届けねばなりません」


 それができなければ、そう名無しはいった。

続きは言わなくてもわかる。それができなければ、意味がない。存在意義の否定にも等しい。無能、そういわれるのと違いは全くない。


「勝算がはっきりしないのであれば、私は個人で、勝利を収めるために動かせていただきます」


 これまた雪梅のようなことを。勝手に勝利を届ける、別に構わないし、うれしいが、組織としての意味がない気がする。冒険者と何の違いが…………。


「失礼なことを。戦場では指揮官に従うのが普通ですが、時には指令を無視して、自らの立場を天秤にかけて動かなければならないときがあります」

 

 その責任は計り知れませんが、と投げ捨てる名無し。

あとさっきから僕ら関係ないもん、と座ってるそこの二人、こっちこい。お前らも混ざるんだよ。


「我はいい。我は指示に従うのみである」

「部外者は口をはさむべからず、と教わった。…………!? は、腹が…………」


 ダメだこれ役に立たない。

というかこの二人、何ができるんだ?


 名無しも同罪だったとはいえ、高位の冒険者とその連れを魔力地雷とか言う、とりあえず魔力を凝縮した、割ったら痛い風船っていったらわかるだろうか、そんな魔力地雷で吹き飛ばしたらしいし。

それ以外ほぼ何もやってない気がする。


 魔法とかの講師は名無しだったし…………


「な、なにを!」

「不本意だ。呼び出しておい…………腹が、」


 あ……、ベルが力尽きた。


「話をそらさないでとはいいません。ただ、問題から逃げるのはやめてください」


 冷たい。心配と優しさが相まって、非常に冷たい言葉になってしまっていることを、名無しは気づいているのだろうか?

優しさは悲しみが潜んでいると誰かが言っていた気がする。父だったか。


 走馬灯以来家族の顔を見ていないから、少し恋しくなってきた。


「別にそらしちゃいないさ」

「そうですか。では聞きますね、具体的にもし今の作戦が失敗したらどうしますか?」


 失敗。

失敗、か。


『失敗したら笑ってあげるけど?』


 はいはい。

まず状況にもよるだろうが、今の作戦は内部からの奇襲と外部からの強襲。その両方受けて混乱させ、そしてつぶす、という単純なもの。


『じゃあ、私たちが強襲で〈腐食〉に当たったら?』


 その時はボクが出る。封印でもされない限り、神子の力には『破壊』で対応できる。事実、シズの転移は阻害できた。

それに、短時間だったとはいえ、心臓を刺されても死なないような、不死に限りなく近い状態にもなれる。


『二人来たら?』


 名無しとボク。

神子の力にも相性があるとはいえ、名無しならば大丈夫だろう。


「こっちで問題おきれば、臨機応変に、としか」

「…………まあいいでしょう。だとして、向こうで問題が起これば? 確認のしようがありません」

「そこまで嫌なの?」

「それは……」


 名無しが口ごもる。

名無しとて、別に嫌なわけではない。勝算はあるが、負ける可能性もまた大きくある。ゆえにこうしているのだ。


「名無し」

「はい?」

「負けるかも、じゃない。勝つ」

「「「??」」」


 さっきからサボっていた二人までもが頭にはてなをうかべ、ボクの顔を見る。


「負ける事なんて考えなければいい。勝てばいい。死ななければいい。失敗しそうなら逃げればいい。それでいいじゃないか。屁理屈だか何だか知らないけどね」


 わずか十数年しか生きてないボクに作戦の立案を求められても困るし、人の説得を求められても困る。


「わかりました。あなたがやれというのであれば……、全力を尽くすのみです」


 人を説得するのは好きじゃない。

力でねじ伏せれるなら、楽でいい。金で済むなら楽でいい。言葉でしか、思いのぶつけ合いでしか説得できない、みたいなのは好きじゃない。


「よろしく」

「はい」


 そっけない返事には、やる気が感じられた。



………………………………


「名無しや、どうするつもりなのだ?」

「斬ればいい」

「まったく、誰であるかそんなこと教えたの!」


 名無しの初陣は、名無しが冗談も肉体と年齢のずれもなかった、正真正銘12歳のときだった。

初陣というより、初めての戦いというべきか。


 その日、街は阿鼻叫喚の渦となっていた。

魔界にも、人がいる。魔界とは悪魔が統治する世界ではあれど、人がいる。彼らは悪魔と共存し、助け合い、暮らしていた。


 もちろん犯罪も起こるし、暗殺事件など当たり前。

そんなある日、裏で活動していた組織が、表立って町を破壊し、人を、悪魔を何百と殺し、国を混乱に陥れた。


 サタンはその光景を在りし日の共和国と重ねて覚えているが、稀有の一般人は巻き込まない、関係ない人は殺さない。そこを評価して、彼についた。

もちろん、稀有だったからこそ、というのもあるし、憤怒を司る自分と相性のいい感情を持っていたから、という方が大きいが。


 そんな混乱のさなか、まだ剣士になろうと訓練ばかりしていた名無しは、木剣を持ち、応戦した。

それが彼女の始まりであった。


 木剣というもろく、斬れない剣で戦った彼女は、その日名前を捨て、一人の放浪者となった。

ベルフェゴールという怠惰を司っていた魔神に、剣をならいながら、彼女は二人、放浪の旅に出ていた。


 そして気づけば大英雄である。


 彼女にとって、戦うということは人を救うこととほぼ同義であり、犠牲とは救いであると考えている。

ゆえに、一般人を巻き込まなければ、稀有の作戦にももろ手を挙げて賛成する。


 そんな彼女の作戦は、基本的に、迷ったら突っ込んでみる、だ。

とりあえずやればなんとかなる。


 特攻玉砕野郎である。


 そんなことをベルフェゴールは教えていないし、サタン、ベルゼブブといった魔神連、彼女に指示した人間の誰一人として教えたことはない。


 つまり、名無しは根本的には脳筋なのだ。

ただ慎重さと、他社への思いやり、優しさが先ほどのような冷静かつ聡明さをもたせるだけで、その本質、作戦立案力は稀有よりもひどい。


「これだから………」

「飯を、くれ……」

「お主燃費もう少しよくならんのか!?」

「すまん……。だが脳を使うにも栄養は必要となる……」

「だからどうしたである!?」


 サタン。魔神連としてはそこまで強くないし、頭もよくない。

ゆえに彼は苦労する。苦悩する。


「まったく、作戦決行はいつであったか……」

「明日だって」

「なれば出かけるのである! 名無し、財布にはいくらある?!」

「金貨が五枚ほど」

「外食ジャー!」

「ヤッタゼ…………」


 叫ぶサタンも狂うほどに喜ぶベルゼブブも大して金貨の価値はわかっていない。

少なくとも、一般市民の月給の二倍を超えているとなど、思ってもいないだろう。



ゆっくり過古の話を修正してます6/27

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