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プロローグ

 エリアス・ニーソン様がお亡くなりなられました。つい十日前のことです。アウェリアの獅子と謳われた英雄エリアス様の亡骸はセント・アーサー寺院に納められ、告別式はアドヴェント・ガーデンで行われました。


 私をはじめ、そこに集まった多くの人が涙で頬を濡らしてしまったのは、エリアス様がどれだけアウェリアにとって親しいものであったかを如実に示すものだったと思います。


  アウェリアは絶えず脅威に晒され続けてきました。ガウル共和国、アリュートス、イスペルニア、そしてガウルで第二帝政を築いたユーゴーの息子、ユーゴー二世。エリアス様はエウーロ大州を揺るがすかのような猛威にその身を果敢に差し出し、文字通りアウェリアの盾となってきたのです。


 もしエリアス様がいなかったら、アウェリアはどうなっていたでしょうか。勿論、勇壮を成すアウェリア海軍が負けるとは思いませんが、祖国アウェリアはもっと大きな辛酸を舐めていたことでしょう。それだけにエリアス・ニーソンという存在は私たちアウェリア国民にとって大きなものだったのです。


 しかしそんなエリアス様とて、最初から獅子のような心を有し、英雄としてあったわけではありません。仕事はしない、両親が残してくれた財産もギャンブルで散財するという始末。おおよそ立派な人間とはお世辞にも言えないお方でした。


 実際、エリアス様への周囲の評価は芳しいものではありませんでした。エリアス様の能力を疑問視して、問題が起こったことも一度や二度ではありません。ですが、エリアス様はそれで挫けたことはありませんでした。


 どんなに冷たい風が身を凍てつかせても、どんなに強い風が吹き荒れ、その身を飛ばそうとしても、エリアス様は敢然とご自分の船に帆を張り続け、偉大なる航跡をそこに残したのです。エリアス様に仕えた一人のメイドとして、私は確かにそれを見届けてきました。


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