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<4月7日4:00p.m.東京都秋葉原>
眩い日差しに照らされる中、黒いカットソーTシャツに淡いピンクのミドル丈スカートを合わせ、腰に黒いリボンをアクセントにした、いかにも春らしいファッションに身を包んだ少女が、青色の瞳をうれしそうに輝かせ、腰まで伸びた黒髪を足取りに合わせはずませながら有名電化製品屋の紙袋を手に持ち歩いている。
辺りには少女が手に持つ同じ店の袋や、違う店ではあるものの同じサイズ感の袋を持っている、男女さまざまな人が秋葉原歩行者天国を歩いている。
「本日発売の新作VRMMO、『National Battle Online』の受け取り待機列はこちらでーす」
お店の制服に身を包んだショップ店員が長蛇の列を整理しながら呼びかけを行っており、周りの店舗でも同じような光景が見える。
そんな光景を横目にしながら歩き、秋葉原駅に入りちょうど来た池袋方面行の電車に乗る。
スマートフォンを取り出しブラウザのお気に入りからゲームの情報サイトを開く。その画面には『National Battle Online』の情報が載っており、世界観やゲーム内容の説明、開発者のインタビューが書かれている。
まぁ、このゲームの情報は何回も見たし、やりたいことは決まってるんだけどね。私は内心苦笑しながらスマートフォンの画面を閉じ、鞄に仕舞った後電車の外に意識を向け流れる景色をぼんやりと眺める。
ぼーっとしながら時間を潰していると池袋駅に着き、降りた後改札を抜けて違う改札に向かい電車に乗る。
しばらくすると降りる駅に着いたため電車から降りる。歩き疲れているものの、この後の楽しみを考えると自然と足取りは軽くなる。
30分ほど歩くと実家を離れ一人暮らしをしているマンションに着く。
「ただいまー」
だるそうに言葉を発しながらブーツを脱ぎ手洗いを終え、自室に入り荷物をテーブルの上に置く。
その部屋は女の子らしいピンクと白でまとまった可愛らしい部屋であるが、端の方に無骨なデザインのポッドが鎮座している。
部屋着に着替え、テーブルに置いた紙袋から箱を取り出し開封し、中にあったルービックキューブの様な形をした物をポッドにセットする。
ポッドの横についているディスプレイにインストール中であることを示すゲージが出たのを確認し、インストールを待つ間でご飯を済ませるために、リビングキッチンの部屋に向かい食事を済ましした。