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SELECT REMEMBERS  作者: ヨベ キラセス
1st「選択《覚醒》」
6/6

記憶なき居候 3

「ここが、倒れてたあなたがいたところだけど、どう?」

 そこは屋敷から離れた道路、よく朝通る道とは反対ところだ。おそらく気を使ってここを最近通らなかったのだろう。

 しかし思い出すことは何もなく、気を使ってもらった事に罪悪感を感じていた。

「……いや、さっぱりだ。」

「そう……まあすぐってわけにもいかないよね。」

 と、落ち込んでしまった。3日の付き合いとはいえ、流石にそのくらいはわかる。

「何お前が落ち込むんだよ」

「だって……」

 涙目になるカナの頭に手をポンポンとする。なんとなくこうするべきだろうと思ったから。

「初日に言ったろ、『これは過去の事情で、その時の俺が』」

「『示した感情が正しい』、でしょ。分かってるわよ」

 と、暗い顔を明るくした。

「ごめんね、なんか」

「だから、その上でー」

「『すぐ謝ることをするな』、でしょ?」

「『せめて俺だけでも』、もな」

 と、話してしていた。

「でも、まさか、俺も重度の《アレ》になるとはな……」


 ある時期から突然流行しだした病《記憶欠落症候群》。始まりはとある病院で13歳の少年が親の事を思い出せなくなったことからだったとの事だ。

 最初特に体の異常はない楽しんだんであったが、その少年の記憶は戻らずさらに欠落していき、そして最後は言葉すら話せなくなったらしい。

 そして最も危険な特徴として、それは《流行る》のだ。基準も不明で記憶力のいいお爺さんが3日で歩くのを忘れたり、ハイハイした赤ん坊がただジタバタするだけになったり……。

 ただしそんな病気が、とある科学者によって《治る病》となった。

 その人は、事の始まりの少年を助けたくてその親が最後にすがり、一錠の薬でよく朝には元どおり喋れる体になったとの事。

 その事は全国的に話題となり、なりふり構わずに多くの人たちが求め、そして手に入れて治していき、いつのまにかその病は治った。


 その科学者がカナの『父』だった。


「……でも、記憶は戻らない、か。済まないな、こんなよそ者が、居候をすることになって。記憶が戻らないだけなのに……」


 静まった頃に改めて命名された『流行性《・・・》アルツハイマー病』は基本、薬で記憶は戻るのである。しかし、俺は例外だった。今の状況が証拠である。あった当初から10分置きに欠落し続けていた俺に、屋敷で薬を飲ませてもらい、どうにかカナに起こされた頃まで思い出す事はできたが、今だここに倒れていた理由が、その前の記憶が分からない。


「べ、別に、迷惑じゃないよ。逆にありがたいくらいよ。だって、広すぎる家の一室がうまったんだから」

「…そう言ってくれると、嬉しいよ」

 それは正直な気持ちである。

「ゆっくりと思い出せばいいんだよ。時間だって、高校生なんだから、まだまだこれからじゃん。」

 笑顔で言ってくれる彼女に、安心感がある。その安心感は心地よく、カナの優しさがすごく感じられる。赤の他人の俺にこうして接してくれるのが、彼女の魅力だ。


 だけどどうしてか、それとは別に危機感が俺を突き動かしたがっている気がする。それはまさに《焦る》ように––––



……それじゃ……遅いんだ…

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