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第十四話 知るために取り戻す

前回のあらすじ

頭に足と尻尾が生えてた。


俺らは来た道を引き返し、また選択肢のある部屋へと来た。

前は真っ直ぐに行ったから今度は右と左だ。

まるで不○議のダンジョンだなぁと思うがそんな考えはすぐ捨てる。


「…あの…モトシマ…さん…」

「何?」


さん付けされた。

なぜ今ごろ…


「さっきはありがとうございました…」

「さっき…?ああ、別にいいさ」


人を救うことが出来たんだ。

それだけでいい。


「…噂とは…全然違う…」

「ん?今度は何?」

「い、いいえ…なんでも…」


…?

まぁ、いいか。

俺は今度は左へと向かう。

すると、曲がり角があり、太い通路…両端は谷になってる太い通路を歩いていた。

またここか…

でも、どことなく雰囲気というか景色が違う。

ま、同じでも進めば分かるか。

そして、また石で出来た扉があった。

それを俺は引いて開ける。

地味に重いんだもんなこれ…


そして、女の子が入ってくるとまたドーンッ!と閉まった。


「ひっ…!」

「まぁ、守ってやるから安心しろって」


言ってみたかったセリフがこんなときに言えるなんて…!

生きてて良かった…!

…それはどうでもよくて…


「またデカイ顔か…」


顔、足、尻尾…

グロウガンだ。

ソイツがどこからともなく…?

いや?元からいたのか。


「ま…また!?」

「…はぁ」


せめて大きいとか、色が違うとか…

そういう感じが欲しかった…

同じ個体かよ…

やる気が落ちるわー…


「やるぞ」

「う…うん…」


俺は短剣を抜いて、走り出した。

跳躍、斬りつけ。

シンプルな行動パターンになってる…

が、気にしないでほしい。

これだけしか攻撃方法が分からない。


少しずつダメージを蓄積させていく。

女の子のほうは、何やらぶつぶつと言っている…

まさか…

魔法!?


「フレイムボールッ!」


女の子の手から炎の球体が現れ、グロウガンに当たる。

すると、炎上…

グロウガンごと焼き付くしていった。

…強くね?

炎って…


「や、やりました!」

「…なんか性格変わってない?」

「き、気のせいですよ…」


…しかし…

あの精霊はいない…


「ここも外れか…ううーん…」

「…また戻るんですか?」

「ん?ああ、精霊がいないからね」

「精霊…?」

「精霊が記憶を持ってったみたいだから、捜してるんだ」

「そういうことですか…」


そういうことだ。

取り合えず、精霊を見つけないことには始まらない、異世界ライフ。

美少女だけどこの子とは波長があわないしな。

記憶を取り戻したら一人で気ままに旅に出て、運命の少女と会って、世界を救うんだ…!

…しかし、記憶を無くす前ってなんでこの子と一緒だったんだ?


「そうそう。この世界の知識すら知らないからね」

「…え?どういうことですか?」

「どうやら、異世界から来たみたいなんだ。この世界とは違う…ね」


俺はそう、口に出した。

別にこのくらい漏らしても平気だろう。

それにこの世界の勇者になるつもりなんだ。

こんなことくらいすぐにバレるし、この子にも


「異世界…信じられないけれど…」

「信じなくてもいいさ。別に」

「…はぁ」


理解していないような声を少女は出した。

まーいい。


「さてと、行こう」

「は、はい」


…感じが変わったか?

気のせいか。

それに少しは信用を得られたかな?

それなら信用しなきゃならない。

信用するのが一番、大切な事だから。

俺らは残る、最後の道へと引き返していった。



「……」

「……」


沈黙が支配する。

歩きながら何を話そうか等とは考えていない。

別に喋る必要ないしね。


「あの…」

「ん?」


少女が話し掛けてきた。


「記憶を失う前って…私達、どんな関係だったんでしょうね」

「…さあ…知らなくてもいいじゃん」

「そう…ですね。そうですよね」


そうそう、知らなくてもいい。

考えるのも面倒になってきたし。

あー…早く俺TUEEEEしたいな。

一騎当千、無双したいよ。

バッタバッタと敵を倒し、正義を執行して、皆から感謝される。

そういうシチュエーションは異世界だったら何処にでもありそうだし。

ああ、ハーレムにするのもいいかもしれない。

ふふふ…そう考えるとやる気が出てきた。


「よし!早く行こう!」

「えっ…い、いきなり走らないで下さいよ!」


俺がかなりの速度で走っていた為に、少女を置いていった形になった。

うんうん、思えば彼女の事を連れてく理由は無いんじゃないか?

俺の記憶だけ…いや?

そもそも記憶を取り戻すのは必要なのかな?

異世界の情報はこれから手にいれれば問題ないし、それにいい思い出があるとも限らないし…

一応、行ってみるけど。


俺は最深部であろう、石の扉の前にいる。

少女は相変わらず遅れている。

だから置いていく事にする。


「別にあんな子いいや…」


寸前、何かを約束していたような気がしたけどなぁ

気のせい気のせい。

忘れるくらいなら大したものじゃないんだろうし。

俺は石の扉を開けた。

相変わらず開くのが遅いなぁ。

中に入ると、石の扉が一瞬にして閉じた。

なんで入った後はこんな早いんだろうなぁ。

さてと、グロウガンか精霊か…

どちらかがいるんだろう。


「きゅるるるる……」

「お前……いや…でけぇ……」


普通のグロウガンより三倍くらいでかいぞ?

こんなの俺一人で勝てる…か?

いやいや…


「俺のチートについてこられるかな?」


俺にはチート能力がある。

異様に素早い。

他の能力値も桁違いなのが想像つく。


「はぁあああッ!」


俺は走った。

グロウガンの足を斬りつける為に。

ほら、やっぱりのろい。

いや?俺が素早いだけか。

そして、斬りつけ!


「…は?」


キィィンッ!

と甲高い音が聞こえた。

それは、俺のナイフが弾かれた音。

そして、攻撃がまったく効いていない証拠。

グロウガンは足を上げる。

に、逃げなきゃならないのに、体は動かない。

何故…?

あ…そう……か。

足が…


震えてるんだ…



「ぎゃぁああああッ!!」


まるで悪者がやられるような声だ…

正義の味方が聞いて呆れる…


視界の隅にふと、何かがが表示されていた。


HP82/140

MP115/115


…ゾッとした…

一回で半分とはいかないまでもダメージを受けていたから。

HPなんてものが存在していたのか…!

それに体全体が痛みを感じる…

未だ、潰されているのだ。

グロウガンという、奴の足で…

ヤバイ…この状態でもHPが減りはじめてきた…

1ずつだけど、それは不味い…

だって、俺は今一人なんだぞ?

コイツが行動しなかったらこのまま…!


「や…だ……!ど……げ……」


精一杯、全身に力を入れ、抵抗する。

…分かってる…

動かないってことは…

でもなぁ!


「し…に……たく……な……い…!」


クソッ…

クソックソックソッ!!

こんな…!

こんなところで死ねない!

こんな…こんな終わり方ってないだろ!

こんな…こんな…こんなァッ!!


必死に足掻いていると、俺を圧迫していたものが消えた…

いや、動いた…


「ゲフッ…ゴホッ…はぁ…!」


た、助かった…

やっと動ける…


「モトシマさん!早く、逃げて!」


なっ…さっきの女の子が?

なんでこんなところに…

見ると大きなグロウガン相手に必死に注意を引き付けている。

いや、でも速さではグロウガンのが速い…

いずれ、追い付かれてしまう。


「なんで…!」

「分かりません!分かりませんけど…!でも…!」


女の子は走りながら俺の疑問に答えてくれた。


「体が助けたいって…思ってるんです!」


体が…助けたい…?

…それだけの…為に…?

え?

おかしいでしょ…?

なんでそんなに出来るの?

だって…こんな…知らないヤツ…を…


「だから!逃げて下さい!」


…なんだって…言うんだ…

足が震えて動かない…

でも、少女は走ってる…

こんな俺よりも、勇敢に…果敢に…

それに比べて俺は…


「…屑…だな」


未だに止められない。

少女は身を挺して俺を助けてくれたんだぞ…

なのに…

足を止めろ…!

助けられたら助けなきゃあ、駄目だろッ…


「動けよ…動けよ…」


今も尚動かない…

やがて、少女は追いつかれ、体当たり…

それに直撃…


「なっ…」


…は?

何が正義の味方だよ。

自分で自分に幻滅した。

大きな喪失感…

目の前の人を助けられなかった…

何故…

ああ…そうか…

俺が動いて無かったからか。

少女は俺の方へ方向転換出来なかったからか。


「は…はは…」


なんで…なんで…


「チクショウがぁああああああああッ!!」


俺は足の震えを止めた。

人として俺は屑だ。

助けられなかった…

グロウガンは俺の方へ来る。

ドスン…ドスン。

一歩一歩がやはりでかい。

それに迫力もやはりある。


「やって…やるよォオオオッ!!!」


雄叫びを上げ、突撃する。

記憶を失う前なら…何を話したかったかな…

記憶を失う前なら…何をしたかったかな…

頭はそんなことでいっぱいだ。

少女との、思い出は…

その失われた記憶の中にしかない。

その失われた少女が、今…死んだ。

俺が殺したんだ…

俺が…!

俺がァッ!


「ォオオオオオオッ!!」


俺は空を舞う。

恐怖心がないわけじゃない。

でも、恐怖心より勝ってるものがあるんだ。

よく、分からない何かが!

そう…体が動くほどの何かがッ!


「目ぇ!潰れなぁッ!」


グロウガンの眼に、ナイフをぶっ刺す。

グッと力を入れるが…


「なんで…なんで!入らないッ!」


クソッ!

なんだよ!!

おいッ!

あり得ねぇよ!!

致命傷を与えて倒さなきゃいけないっつうのに!!


「あっ…ガッ…」


俺は…吹き飛ばされた…

あー…そっか…

尻尾…あったなぁ…


ドゴォッ!!と大きな音に衝撃。

全身が叫びを上げる。


「ゲホッ…」


うぇ……鉄の味が…する…

血…出てるんだ…


「……死んでも…生き返る能力…だったらなぁ…」


…でも、あの子は生き返らないだろう…

そんなのあっても。


「…名前さえ、わかんねぇよ…聞いておけば良かったな…」


…いや


「…取り戻してやる…記憶…名前を…あの子の名前を知るために…」


しょうもないかもなぁ…

だが…助けられたんだ…

助けられなかったんだ…

それくらいしなきゃ、浮かばれないだろうよ…


体を動かす…

うん…まだ…いける…

HPは40といったところ…か…


「だが、攻撃が通らないか」


倒すために考察する。

HPMPの概念がある世界。

そんな世界にはいつもとあるものがある。

力やみのまもり…つまり、ステータ…


メイ モトシマ

レベル1

最大HP140

最大MP115

攻撃力20

防御力23

魔法攻撃力21

魔法防御力20

素早さ160


ああ、うん、これ。

魔法に…

スキルに…

称号に…

パッシブ…


すかさずスキルを選択するも、何もない。

使えねぇ…

そして魔法をみると、あった。


パラライズに…

ダウンガード…


…麻痺に守備ダウン…ね…

やってやるよ…

あの子の…為にも…!


本当はこうなる前にこうするべきだった。

でも、出来なかった。

ろくでなしで根性なしだったから。

だけど、今は…


「やっつけって感じだがよォッ!恨むんじゃァッ!ねぇぞォオオオッ!!」


俺は、魔法を唱えようとする…

ダウンガードと唱えようとすると、口が閉ざされてしまい、代わりに頭の中に文字が浮かぶ。

…言わなきゃ使えない感じか。


「守りを破壊する力!宿れッ!ダウンガード!!」


…左手になんか淡い黒い光が宿る…

これで触れれば守備ダウンが対象にかかるんだな?

…よし…!


「ぉぉぉ!!」


勢いよく跳躍。

そして、左手でグロウガンの頭をタッチからの、右手で短剣を降り下ろす!

ブスッと刺さったものの、取れなくなった!

グロウガンは暴れだし、俺は身を放り投げられた。

クソッ…いてぇな…

こんなでもHPが減ってんのかよ…


「ペッ!」


血が邪魔だ。

うっし…


「守りを破壊する力…宿れ!ダウンガード!」


左手に宿らせ、またグロウガンに向かって跳躍。

頭が悪いらしい。

割に頑丈だが。

そして左手でタッチ。

さらに…


「守りを破壊する力!宿れ!ダウンガード!」


触れて…


「守りを破壊する力ッ!宿れ!!ダウンガードッ!」


そしてまた触れる。

三度はかかった事になるが、どうなる?

短剣が刺さってる位置まで走り、そして抜く。

お?

まるで豆腐だな。

さて…


「…倒れなッ!」


俺は短剣をグロウガンに突き刺し、そのまま走るッ!

ズーッとカッターで紙を切るような錯覚に襲われるが、実際は違う。

ナイフで生き物を切っているのだ。


「おおおおおっ!!」


顔の近く辺りまで来てブシュッと何かか吹き出ていた。

…血…だな…

もう少しか?

グロウガンは暴れ続けているが、短剣で支えをプラスした俺をそう簡単に引き剥がせると思うなよ…!


「めんたまに…喰らえ…!」


ズブッと変な音がした。

と同時に、グロウガンが悲痛な叫び声を上げた。


「まだ死んでないな…さっさと…終われッ!」


何度も何度も、斬り続けて…

俺は血塗れになっていたが、そんなのは気にしていなかった。

だってコイツを倒したかったから。

単純だ。

倒して…記憶を取り戻して…あの子の墓を…建ててやりたい…


「おらおらおら…ッ!」


何発目をぶちこんだ時だろうか…

グロウガンが力なく、倒れたのは…


「……勝った…が」


…おせぇんだよ…やるのが…


「ごめんな…助けられなくて…」


無責任な謝罪だよまったく…

だったら動けよ…

過去の自分を罵倒する…


「…精霊を…捜そう…」


グロウガンから飛び降り、精霊を捜す…

きっと…だが、この部屋にいるハズだ…

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