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涙の上に  作者: ぬるま湯
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 今日はほんとに、すごい一日……。


 布団に入ってからもうだいぶ経つが、眠れそうにない。

 放火犯は怖かった。今も気持ち悪い。当分は日が落ちたらどこにも行きたくない。学校が終わったらダッシュで帰ろう。

 ここは安心できる。陸斗さんは合気道やってるって言ってたし……なんとなく強そうだから。

 陸斗さんのことを頭に浮かべただけでまたドキドキしてきた。もう何十回とリピートした玄関でのことをまた思い出す。


 優しかった。


 文字通り溶けるかと思った。

 ふんわりとした石けんの香りがまだ残っている気がする。

 あのとき離れなければよかったのに。


 やっぱり、陸斗さんが好きだ。もうだめだ。どうしようもない。誤魔化せない。


 ああ、なんで親戚で居候なんだろう。なんでたらい回しにされたあげく、たどり着いたのがここなんだろう。

 じわりと涙がにじむ。横になっているからそれはすぐに目尻を伝って流れていく。肌に感じる涙は温かかった。


 よくこんな風にして、これまでの親戚の家で泣いたのを思い出す。あの頃の涙はいびられて辛くて流したものだった。今はなんとも言えない切なさから涙を流している。


 なんか贅沢になったなぁ、と考えているうちにすとんと眠りの中に落ちていった。

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