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まったく、今思い出しても顔から火が出そうだ。
だ、だって、寝ていたあたしに、……
「あ~~~」
回想をかき消そうと頭を振る。しかし、忘れようとすればするほどあのときの体の重みやあたたかさを思い出して、心地よかったと思ってしまう。
……やばい、これはやばい……重症だ。
このままだとあたし、陸斗さんのされるがままになっちゃいそう。
非常にまずい。
もんもんとしながらも、いつも通りの学校の一日が過ぎてゆく。
寺に帰るのがなぜか怖い。陸斗さんに今朝みたいに接近されても心の底から嫌がる自信がない。
とうとう放課後。今日は所属している放送部が休みなので、まっすぐ帰るしかない。お金は持っていないし、この学校は課題と小テストが多いから適当に時間をつぶす暇もない。
11月の終わり、もうだいぶ日が短い。五時前の空は薄暗く、ツンと澄んだ空気が肌を刺してくる。
「ただいま」
びくっと肩が跳ねる。いよいよ帰ってきた。バクバクいう心臓をどうにかおさえて小さくおかえりと言った。伝わるはずがない。あたしは部屋にいるんだから。
「まり?」
「……はい」
朝、あのあと一言も喋らずに家を出た。機嫌良く返事することはできない。
「まだ怒ってんの? いいだろあんぐらい」
何を指して「あんぐらい」と言ってるんだろう。理解しかねる。
陸斗さんが開いていたふすまから姿を見せる。首筋に綺麗な影を落としている輪郭に思わず目がいき、またドキドキと鼓動がうるさくなる。
「お、怒ってるわけな……」
言いかけて、はっと口をつぐむ。
今、あたし何つった!?
怒ってる、もうあんなことしないでって言うつもりだったのに!
もう遅い。「わけな」まで言ってしまった。陸斗さんがニヤッとしている。
ああーー、やっちゃった。




