第1話「あたしの望んだ世界」(1)
月宮真白は夢を見ていた。
舞台は現実は違う、剣とか魔法とかが存在するファンタジーな世界。その世界でのあたしはなんと! 世界を救う勇者なんだ。
たくさんの仲間を引き連れて、圧倒的な力で迫り来るモンスターたちを倒し、人々を救いながら旅を続けて最後には魔王を倒して世界に平和を取り戻す。そんな笑いあり、涙あり、ロマンスありの冒険劇。
主人公はあたしでヒロインは魔王にとらわれたお姫様。救い出したお姫様からお礼のキスなんか貰っちゃったりして
「おい真白。」
なんだよ、今良いところなんだから邪魔しないで……うへへ……
「起きろと言っているんだ、真白!」
ゴンッ
と、頭に衝撃が走り、私は覚醒した。
「はっ!」
「私の授業で居眠りとは……良い根性してるなあ? なあ?」
「あれ……?」
私の目の前に広がるのはいつもの教室だ。時計を見ればちょうど3時。5時限目の授業もそろそろ終わりだった。そして
「言い訳はあるか? あるなら聞くだけ聞いてやるぞ?」
私の目の前にいたのは担任の月宮真雪だった。
27歳独身の英語教師、性別はメス、スタイルも顔も人並み以上なのに性格はガサツ。ちなみに好きなものはお酒とあたりめとガチムチなAV。最近行き送れ気味なのに焦りだして、男を見る目が野獣のようになって来た。そりゃあ逆に男も出来ませんて。
「まーしーろー(怒)」
「は……はい!」
そんなことより取り合えずはこの場を凌ぐ言い訳を考えないと……目の前では27歳独身教師が拳をバキバキ言わしている。
「あ……あれです。あたしは持病を持ってまして……」
「なんだそれは?」
「所謂不治の病でして……その……授業を聞くと眠くなると言う……」
「ほーう。喜べ真白。ここにそんな不治の病を治すとびきりの特効薬があるぞ?」
ハーッ、と25歳独身教師が拳を温め始めた。
「いやいやいや、その……そう言うのはやめましょうよ……ね?」
「ん? 何か言ったか?」
「暴力反対! 暴力反対!」
「さーて、いっくぞー。」
「お姉ちゃんやめてえええっ!」
「学校で姉と呼ぶなといっただろ!」
「きゃああああっ!」
ドゴンッ!
「ふおおっ…………」
「少しは反省しろ。と、もう時間か。はい、じゃあ今日の授業はここまで。」
キーンコーンカーンコーン。と授業終了のチャイムが鳴った。
「きりーつ。」チャイムと共にクラスの委員長の号令がかかり生徒達が一斉に立ち上がった。(約1名除く)
「礼。」
委員長の声と共に生徒達が一斉にお辞儀をした(約1名除く)
そしてそのまま教室内は一日の授業を終えた生徒達の会話による喧騒に包まれていった。
その間もずっと机に突っ伏していた約一名は。
(お姉ちゃんの今日の分のビール……暖かくしておいてやる……。)
と、姉への地味な嫌がらせに頭を巡らしていた。そんなあたしに向かって
「やっほーましろん。頭大丈夫?」
と話しかける声がした。私の親友の岡崎茜だった。
「うんまあ、少しタンコブができたけどね。とありあえずは大丈夫だよ。」
さすがは昔からの腐れ縁。姉のDVによる満身創痍のあたしに優しい言葉をかけてくれるなんて……良い友達に恵まれているよ、あたしは。
「いやそっちじゃなくて、頭の中の方。またどんな電波な夢見てたのかなーって。」
前言撤回。このアマ、人を精神異常者扱いしやがって。どうせあたしの頭の中は年中花畑だとか思っているんだろ?
「で、何か用?」
「目が怖いよ、ましろん……。まあいいや、今日このあと暇?」
「え?このあと?」
「うん、これから皆でカラオケ行くんだけどさ。ましろんも行かない?」
「うーん、カラオケか。」
なるほど、このあたしの美声をそこで披露して欲しいというわけか。まあ友人Aの誘いならばカラオケに行ってあたしの十八番のテイルズオブザイ○センスのテーマ曲を披露するのもやぶさかではない。この前歌った時は「何この曲?」状態だったけどね。
「ほら、私よりも歌が下手な子がいないと私惨めじゃん? だから行こうよーましろん。親友でしょー。」
「あんたにとって親友とは蹴落とすものらしいな。そしてすでにあんたは親友から友人Aに格下げされているよ。そしてたった今友人Aからタダの知り合いの中の一人に降格したところだよ!」
「あ、でもさっきまでは親友だと思っていてくれていたんだ。」
「昨日チョコを貰ったからね。」
20円で四角くて色々な種類があるアレね。
「じゃあこれ挙げるから機嫌直してよ。はい、アー○ンド味。」
「わぁい。」
ありがとう親友よ。
「で、どう? 行かない?」
「うーん、せっかくの親友の誘いだけど……今日は予定があるんだ。」
そう言って私はかばんを持つと立ち上がった。
「予定って……あそこ?」
「うん。」
「ましろんは偉いねー。」
「そんなんじゃないよ。好きでやっている事だし。」
そっか、と茜は私の机の上にちょこんと腰掛けると
「今日は良い評価もらえると良いね。」
「何を言ってるの、いつも満員御礼大絶賛。お茶の間もアルマゲドンだよ。」
「はいはい。」
と笑顔で私を見送ってくれた。
「じゃあまた明日ね。親友。」
私は茜に向かって手を振った。
茜も私に手を振りながら
「また明日。友人A。」
誘いを断ったからか、私が降格させられていた。
はじめまして、しいなと申します。
初めての小説投稿でなかなか緊張しております。(ガクガク)
取り合えずこの作品は異世界トリップファンタジーとして、話的には結構シリアス風味に進みますが(1話だけ読むと、とてもそうは思えないとは思いますが・・・)そんな中でもバカな主人公と明るいキャラたちで盛りあげて気軽に読める小説にしていこうと思っています。
まだまだ文章なんかも稚拙なところが多いと思われますので感想やアドバイスなどいただけると励みになります。




