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魔物の大群

 その日、ソフィアは冒険者ギルドの依頼掲示板を見ていた。彼女は、自分に合った依頼を探そうとしていた。彼女は、レベル556であることを隠しているので、高難易度の依頼は避けることにしていた。彼女は、中難易度か低難易度の依頼を探そうとしていた。

 しかし、その時、冒険者ギルドの中に騒然とした声が響いた。


「大変だ! 大変だ!」


 声の主は、冒険者ギルドの外から駆け込んできた大男だった。大男は、血まみれで息も絶え絶えだった。大男は、カウンターに飛びついて、受付嬢に叫んだ。


「魔物の大軍だ! オーガがオークやゴブリンを率いてオーウェンに向かってる!」


 男の言葉に、冒険者ギルドの中はパニックに陥った。受付嬢は、男に詳細を尋ねた。


「どこから来るんですか? どれくらいの数なんですか? どうやって知ったんですか?」


 男は、必死に答えた。


「東の森からだ! 数は数千匹! 俺は森で狩りをしていたら、魔物の大軍に遭遇したんだ! 俺は必死に逃げてきたが、仲間は全員殺された!」


 男の言葉に、冒険者ギルドの中はさらに混乱した。受付嬢は、すぐに対策を考えた。


「わかりました。あなたはここで休んでください。私はすぐにギルドマスターに連絡します。皆さんも落ち着いてください。魔物の大軍が来るということはまだ確認されていません。もしかしたら誤報かもしれません。」


 受付嬢はそう言って、カウンターの裏にある伝声管でギルドマスターに連絡した。


「ギルドマスター、緊急事態です。魔物の大軍がオーウェンを襲撃するという情報が入りました。東の森からオーガがオークやゴブリンを率いて来るそうです。数は数千匹だそうです。」


 伝声管からは、ギルドマスターの声が返ってきた。


「なんだと!? それは本当か? 情報源は誰だ?」


「情報源は、森で狩りをしていたAランク冒険者のアベルさんです。彼は魔物の大軍に遭遇して逃げてきましたが、仲間は全員殺されました。アベルさんは血まみれで息も絶え絶えです。」


「くそっ。それはまずいな。もし本当なら、オーウェンは危機に瀕している。すぐに確認しなければならない。お前は、その冒険者を治療して安静にさせろ。俺は、ギルドのメンバーを集めて、魔物の大軍の調査に向かう。お前も、できるだけの準備をしろ。」


「はい、了解しました。ギルドマスター、気をつけてください。」


 受付嬢はそう言って、伝声管から離れた。受付嬢は、男を治療室に連れて行くよう同僚に指示して、医者も手配させた。


⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️


 その後、しばらくして、受付嬢は冒険者ギルドの中にいる冒険者たちに声をかけた。


「皆さん、聞いてください。ギルドマスターから連絡がありました。魔物の大軍がオーウェンを襲撃するという情報は、どうやら本当のようです。ギルドマスターは、ギルドのメンバーを集めて、魔物の大軍の対処に向かいます。私たちもできるだけの準備をしましょう。武器や防具や回復薬などを用意しましょう。また、城壁や門や塔などの防御施設を確認しましょう。そして、市民や商人や貴族などの非戦闘員を安全な場所に避難させましょう。これはオーウェンの存亡に関わる重大な事態です。皆さん、オーウェン都市長は、冒険者ギルドのメンバー全員に対して動員令を発しました!」


 受付嬢の言葉に、冒険者たちは真剣な表情になった。彼らは、受付嬢の指示に従って行動し始めた。


⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️


 魔物の大軍に対する防衛戦で、ソフィアは市壁の外の防衛隊を志願した。市壁に守られていないので、もっとも危険なその配置は、誰もやりたがらなかったので、ソフィアはすんなりとその配置に就くことができた。


 彼女は自分がレベル556であることを隠していたが、それでも魔物の大軍に対抗する自信はあった。彼女は魔法使いだったが、魔法を使わないことにしていた。彼女の魔法はあまりに強力であり、手加減することができなかったからだ。

 彼女は杖を持っていたが、それは魔法を発動する道具ではなく、ただの武器だった。彼女は杖で殴ることしかできなかったが、それでも十分だった。

 東の森から魔物の大軍が現れた時、ソフィアは一人で迎え撃った。彼女は杖を振り回してオークやゴブリンを次々と倒していった。


 オーガは巨人とも鬼とも言われるとおり、その姿は大きな人間のようである。ただ神話の巨人のように雲を突く大きさと言うほどではなく、せいぜい3メートル前後だった。彼らの赤い肌は、非常に硬く、人間の剣や弓はほとんど通用しない。また、オーガは角と牙を持ち、見た目どおりに凶暴で、残忍な性格である。彼らはオークやゴブリンを従えて、人間の領土に侵攻してきたのだった。


 ソフィアは魔物の大群が森から姿をあらわすと、疾走を開始。単独で大群に立ち向かう。そして、オーガの一団に向かって杖を振り下ろした。杖はオーガの頭蓋骨を粉砕し、そのまま体を貫いて地面に突き刺さった。ソフィアは杖を引き抜いて、次のオーガに向かって走った。彼女は杖で殴るだけでなく、時々足や肘や頭突きなども使ってオーガを倒していった。彼女はレベル556であることを隠していたが、それでも彼女の力は圧倒的だった。


 オーガたちはソフィアに対して怒りと恐怖を感じた。彼らは数で圧倒しようとしたが、ソフィアはそれをものともしなかった。彼女はオーガの攻撃をかわし、反撃し、一撃で仕留めた。彼女はオーガの血で真っ赤に染まっていたが、それが彼女の美しさを際立たせていた。


 ソフィアはオーガの大将に辿り着いた。彼は他のオーガよりも一回り大きく、鎧を身にまとい、斧を持っていた。彼はソフィアに向かって咆哮した。


「お前は何者だ!? こんな小娘が俺たちに立ち向かうとは!」


 ソフィアは冷静に答えた。


「私はソフィアと言います。冒険者です。あなた方がこの街に迷惑をかけるから、私が止めに来ました。」


 オーガの大将は怒りに震えた。


「生意気な娘め! 俺がお前を斬り捨ててやる!」


 オーガの大将は斧を振り上げてソフィアに振り下ろしたが、ソフィアは杖でそれを受け止めた。杖と斧が激しくぶつかり合ったが、ソフィアの方が力が強かった。ソフィアは斧を押し返してオーガの大将のバランスを崩し、杖でその顎を打ち砕いた。オーガの大将は後ろに倒れて動かなくなった。


 ソフィアは周りを見渡した。オーガやオークやゴブリンの死体が山積みになっていた。ソフィアは一人で魔物の大軍を撃滅したのだ。ソフィアは杖を拭って、街に向かって歩き始めた。彼女は魔法を使わなかったが、それでも十分だった。

おしまい。

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