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「それより、魔軍令、地上進出の手はずはどうなっている?」
「は、全世界に手下を送る用意は出来ています。今は地上口へ上がるため、魔界から手下を魔王城へ待機させているところでございます。勇者を殺してしまったら、すぐに侵攻させます。それまでは、全力を挙げて勇者を討伐します」
「それは素晴らしい。三百年前は、イントーン王家にやられてしまったが、今回は奇襲が成功し、地上は我らのものになった。今度こそ、我らの地上進出を成功させるのだ」
「魔王様、宿願の世界征服ですな」
魔王と魔参謀は面白おかしそうに、大声で笑い合った。
ひいいい。
世界征服って、あんたら、本気?
どうしたら、どうしたら、どうしたら?
(あ)
私は気づいた。
そうだ、私、今、巾着なんだった。
自分に刻印された文字を使えば、何とかなる。
(ここで、魔王を倒したら)
そう考えたら、私はこの魔法文字はいろいろ使えるんだということに気づいた。
「いい報告が来るまで、世はこの巾着で遊んでみよう」
「ぜひに」
魔王がまた私に興味を持ち、魔参謀は不敵な笑みを見せて、去った。
勇者をまた襲いに行くんだ。
そう思って焦ったけれど、魔王は尖ったごつい爪が生えた黒い手で私を握り締めていて、私は身動き取れなかった。
「おまえの体に刻まれた文字、これをお前が読めば、何かが起こる仕組みだな。これとよく似たもの、以前に何個か、壊したことがある。中には生きた人間がいる。中の人間よ、返事をしろ。でないと、お前の体、わしの爪で引き裂いていくぞ。魔道具は、壊れれば、終わり。さあ、いつまで耐えられるかな?」
ひいいいい。いい考え浮かんだ時に、ピーンチ。魔王、やっぱり、私の使い方、知ってたんだ!
どうしよう。いきなり、ピンチ。
(逃げろ)
その時、内側から声が聞こえた。
はっと見ると、内側の黄金空間に、布おばけオーティカンが現れていた。
「お前の魔句を読めば、木の防衛魔法が使える。まあ詳細は省くが、外から内側へ吸い込む容量で、お前自身を自分の穴へ吸い込めるのだ。取り寄せの逆で、別の出口へ逃げることができる」
「そんなこと?」
「自分で自分の穴に入れ」
分かったと言うより先に、私は逃げていた。




