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「じゃあ、よく寝るんだよ。明日は、早いから」
ルーはなんか浮かない顔をしてそう言って戻っていったけど、なんだか、それでも、私は楽しく会話が出来て、良かったと思えた。
まがいものだけど、人間の姿で・・・
これで、魂抜かれて、魔王を倒す武器として死んでも悔いはないわね。
そう思うはずだった。
でも、本当は、私、こんなことしたくなくて・・・
最後に、人間として会話するの、本当の私でなくて、良かった?
私は後悔した。
これで願いが叶ったと言ったルーの願いなんて、一つも叶えてないじゃない、私。
私の馬鹿。
どうして嘘ついたの。
どうして、自分にも嘘ついたの。
しばらく後悔して、私はため息とともに、打ちのめされたまま、別のことを考えた。
(でも、本当に何でも望みが叶うのね、文字主のキャパ次第だけど)
文字の中に、一つ、万能の万という文字があることに、私は気づいた。
古代語だけど、現代でも使われている文字と同じだから、すぐに分かった。
(これは、一つ、とても凄い力を発揮しそう)
私は自分の体を見て、気を取り直した。文字の実験は終わった。私はこうして、巾着に刻まれた呪文を唱えることが出来ることに気づいた。
一つ一つは、私の命令を聞く。十文字すべてを読み上げれば、地水風などの強力な攻撃防御魔法として力を発揮する。文字列の文字が減った分は、能率が割合として減って行く。そうしてどんどん乱用をすると、どんどん命が削られていって、最後には己が滅ぶようになっている。
今までエリーレッド公を助けた時、あの最大防御魔法がこれだったみたいだ。
あれほどの力があるなら、ある意味すごい。
おのれ、魔王。
私は改めて、魔王が憎たらしくなった。
こんなところに来たのも、魔王のせい。
ルーに偽物の姿を見せて、最後の最後に、心許せる関係を築けたかもしれないのに、全部、ぶち壊したのも、それも、ぜんぶ、魔王のせい。私のせい・・・でもあるけど、魔王がほぼ悪い。ほとんど、ぜえーっったい悪い。
(こうなったら、魔王を私が倒してやる)
私が失敗したのは、全部、魔王のせいと頭に血が上った私は、私の力で、全力で魔王を倒してやると誓っていた。




