私、巾着、脱ぎます
勇者ルーにはもう寝なさいよと言って、寝場所に戻らせた。今日はよく眠れそうだと、大事そうに人形を持って、勇者は戻っていった。
(この巾着から、脱出しなければ)
この中にいたら、私は命を削られて、しまいには死に、死んでも天国へ行けず、巾着内にずっと留まってしまう。
そんなのひどい。
(なんとしても、この巾着を、脱ぐ)
試すことはいくらでも試していいのじゃない。人類の発展の影には試行錯誤があったんだから。
私はなんとか脱出しようと思った。
エリーレッドにルーを守ってくれと頼まれたけれど、国の危機だけれど、世界の危機かもしんないけど、私は外へ出る。とりあえず。
それからのことは、それからのことで考える。いえ、お願い、考えさせて。まず脱ぐから、そのあと巾着について決着をつけましょう。
私は誰に対して発する言い訳かも分からないことを心の中で口走りながら、同じく誰に対してか分からないうしろめたさのごまかしかも分からないものを発して、いいからいいからと言いながら、中から巾着を服を脱ぐように脱ごうとした。
「やめろ、そんなことをしたって巾着は脱げない」
必死で巾着を脱ごうとする私に、何かが出てきた。
内部の黄金内の空間に、ぼやっと見える形だ。
「だ・・誰あなたは?」
布、おばけだ。
年輪模様の布がひだひだになって、人間の形を浮かび上がらせている感じだ。
長い髪が垂れ、細い切れ長の目で睫毛は長く、ほっそりとした輪郭をし、老女にも見える妖しい風貌をしていた。
体はヒダで布の衣服を着た感じになっていて、細長い体と手足をし、全体として白かったけど、ひだの年輪みたいに入っている筋は、茶色っぽかった。
人間の姿をしているが、この世の者ならざる異形の者だ。
「あなた、誰?」
「私は巾着主オーティカンだ。世界に散らばる全能神の神器、十宝種の一つ万能巾着の主、オーティカン」
「あなたが、巾着の主」
あまりに異様な風貌で、私は心打たれた。
この世のものではない。
けど、こうなったのは、こいつ(巾着)のせいよ。
「あなたね、私をこんなふうにしたのは?」
「昔、とある辺鄙な村で暮らす村娘がいて、暴漢に襲われそうになって、巾着が助けた。その時には、私は礼など要らぬと答えた。けれど、お前の祖先である村娘フォーリンは、あなたが大変な時は助けるわと笑って言って、帰っていった」
「え・・・それだけで?」
「私もその時は本気で取らなかったが、この魔王との最終戦争で、お前の魂を代わりに取るしかなくなった。もう、人類はほとんどいなくなってしまったから」
私は、マリース・フォイン。フォイン家の末裔。 王宮に勤める出勤係。
私の出身の西の辺鄙な村では、私の曾祖母の名は、フォーリン。その後、フォイヤと来て、その娘ファリナは私の母。
つまり、村娘フォーリンは、私のひいおばあちゃん。




