第八話 告白
映像の中の恒一は、酷く痩せていた。
目の下には深い隈。
背景はこの地下室だった。
『……玲司』
映像越しでも分かる。
父は追い詰められていた。
『これを見ている時、俺はもう死んでいる可能性が高い』
玲司は無言で画面を見つめる。
『まず謝る』
恒一はゆっくり頭を下げた。
『お前を巻き込みたくなかった』
玲司の胸が痛む。
『俺達の血は、普通じゃない』
『代々、“継承”を受け継いできた』
映像が切り替わる。
古い写真。
江戸時代らしき家族。
戦時中の白黒写真。
古い肖像画。
全て同じ紋章が記されている。
『歴代継承者は皆、秘密を抱えたまま生きてきた』
『誰にも知られず、世界を崩壊させないためだけに』
玲司は思わず呟く。
「……何なんだよ、それ」
恒一は続ける。
『本来、この秘密は継承者しか知らない』
『だが今、世界が気づき始めている』
映像に衛星画像や異常データが映る。
『科学技術の進歩で、異常現象との関連を解析され始めた』
『さらに俺は、解除方法を探すため動きすぎた』
玲司は目を見開く。
『俺のせいで痕跡が広がった』
恒一は苦しそうに笑った。
『……馬鹿だよな』
そして真顔になる。
『だが、お前にだけは普通に生きてほしかった』
沈黙。
玲司は唇を噛み締める。
『だから解除方法を探した』
『継承を終わらせる方法を』
凛の表情が変わる。
恒一は続けた。
『まだ確証はない』
『だが“始まりの場所”に答えがある』
映像が乱れる。
ノイズ。
その瞬間。
地下室全体が微かに揺れた。
凛が顔を上げる。
「……来た」
外で複数車両の急停止音。
玲司の顔が強張る。
凛は即座に拳銃を抜いた。
「見つかった」
その時。
映像の恒一が最後に言った。
『玲司。絶対に、“あの組織”へ捕まるな』
画面が途切れる。
同時に。
地上で銃声が響いた。




