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継承惑星  作者: 室木 星嶺
第一部 遺された者

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第十話 世界の異変

東京。


内閣情報管理局・地下統制室。


巨大モニターに、世界各地の異常データが映し出されていた。


重力波異常。


地殻変動。


磁場変化。


海洋振動。


白衣の男が震える声で言う。


「同期率が上昇しています」


部屋の空気が重い。


中央に立つ老人が低く問う。


「現在値は」


「前継承者死亡時の三十パーセントを超えました」


沈黙。


誰も口を開かない。


老人はゆっくり画面を見る。


そこには神谷玲司の顔写真。


「……若すぎるな」


その時、新たな警報が鳴り響いた。


《局地空間歪曲を確認》


《発生地点・東京都湾岸区域》


室内がざわつく。


「またか……」


「反応が強くなっている」


老人は静かに言った。


「世界が、新しい継承者を認識し始めている」


一方。


湾岸道路。


玲司達は凛の車で逃走していた。


後方では追跡車両が迫っている。


玲司は窓の外を見ていた。


さっきの地震。


倒壊。


異常。


偶然とは思えなかった。


凛が前を見たまま言う。


「今、世界中があなたを探してる」


玲司は乾いた声を漏らす。


「……笑えねえよ」


「各国政府、企業、宗教組織。全部」


「何でそこまで……」


凛は少しだけ黙った。


そして言う。


「あなた一人の命で、世界が終わる可能性があるから」


玲司は目を閉じた。


理解が追いつかない。


だが一つだけ分かる。


もう普通には戻れない。


その瞬間。


前方の高架道路で爆発。


車両が横転する。


凛が急ブレーキを踏んだ。


「っ!」


炎。


煙。


道路封鎖。


そしてその向こう。


黒いスーツの女が立っていた。


長い金髪。


黒いコート。


異様な存在感。


女は微笑んでいた。


「初めまして、神谷玲司」


玲司の背筋が凍る。


女は優雅に一礼した。


「私はアリシア・レイン」


その目が玲司を真っ直ぐ見据える。


「あなたに会いたかったわ」

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