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時刻は18時。本当なら1人でドラマでも見ながら夕飯を食べているところだが、何せお客様(あまりお客様と呼びたくはないけれど)が来ているならそういうわけにもいかない。
「しっかしまぁーあのマジメちゃんが僕なんかを食事に招待してくれるだなんて、照れちゃうじゃないか。」彼はそう言いながらたいして広くない部屋をうろうろしていた。
「からかわらいでください。私はただ約束を遂行したいだけです。ほら、うろうろしてないでそこに座って居て下さい。」そう言って私は、彼を私が座る席の向い側に促した。冷蔵庫から【キャベツ】と【トマト】と【きゅうり】を取り出してまな板に乗せた。これで付け合せにサラダでも作ろうかな。
~数分後~
いただきますを元気よく合唱した後はとても静かな夕飯だった。お互いに食事中は特に話すこともなく、10分かそこらで夕飯は終了した。
「ごちそうさまでした。」
「お粗末さまでしたー。」
「さて、夕飯も終わったことだし、そろそろ本題に入ろうか?」と彼は言った。
「ああ、ちょっと待っててください。せめて洗い物だけでもやらせて下さい。結構溜めちゃって...。」と私は言った。
承諾を得た私は洗い物に取り掛かるとしよう。それと、本題に入る前にまずは彼のことを紹介しよう。
名前は 座敷 東谷25歳
【照れやすく】また【照らされやすい】特異体質の持ち主でもある彼の口癖は「照れちゃうじゃないか。」である。だから私は彼が本気で照れているところを知らない。【照れやすい】が故に【照れ】の日常化をしているからである。本人がそう言っていた。ここからは完全に私の感想なのだが、彼には【胡散臭い】とか【怪しい】とかの言葉は当てはまら無い。常にスーツ姿であるこの男は、ただ一文字、【不】という言葉が当てはまる。なぜなら彼は【不自然】であり【不可解】であり【不条理】なことをたびたび行うが、【不服感】や【不満感】や【不快感】をまるで与えないい。本当に【不思議】な人物であるからだ。
洗い物終わり。
「さて、それじゃあ本題に入ろうか。」彼はそう言いった。
私はお茶を2つ用意して、1つを彼の前に置いた。
「そうですね、それじゃあ聞かせて下さい。」
私は続けた。彼をまっすぐに見つめて、まるでこれから問い詰める様にして、私は続けた。
「私が化け物というあなたの考えについて。」
私の影が静かに笑った気がした。
「あぁ、いいよ。」そう言いながら彼もまた、とても静かに微笑っていた。