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「僕らの存在は、実際はただの影だ。自我は無く、意識も無く、ついでに形も一定に保てない。本当はとても弱く、とても脆い存在だ。」

【それ】は机の上で躍りながら、舞台の上で躍りながら語っていた。そして不意に目が合った。

「しかし僕は違った。いや、他と違うのは、他と比べて異常なのは、実は僕では無く君の方だった。雨街 正子。」

私は聞いていた。【それ】の目を見ながら、聞いていた。

「僕達は人間の嘘を喰らう。喰らえば成長して、進化して、確立される。」

「つまりあなたは、私が嘘つきだと言いたいの?私の嘘があなたを育てたと?」

「半分正解。」

半分?

「けど、それだと詐欺師とかはどうなるの?ああいう人達は当たり前の様に嘘をつくじゃない?その理屈だと、詐欺師には全員あなた達みたいな【虚住者】という存在が居ることになると思うんだけど?」

「だから言ったじゃないか、半分正解って。」

【それ】は笑っている。

「君の嘘が僕を育てたのは正解だ。しかし君は【嘘つき】では無い。そんな生易しいものじゃない。君は【生きていること全てが嘘】みたいな人だからね。」そう言って【それ】は嬉しそうに笑っている。

「回りくどかったかな?要するに僕達が喰らう嘘はね、【自分を騙す嘘】だけなんだ。詐欺師の様に他人を騙す嘘には、まるで興味がない。」

そう言った【それ】の目は、私が育ててしまった【それ】の目は、明らかに人間のモノではなかった。しかし私は、なぜか私は、さっきの様な緊張はまるで無く、さっきの様な不気味に思う気持ちはまるで無く、とても落ち着いて、とても心穏やかに、私は【それ】を、私は彼を、見据えていた。

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