0日目 : 運よく主人公席の隣になったので、ヒロインをはじめたいっ!
主人公?の東雲君の次は、ヒロイン?の菜々瀬心春ちゃんのお話です
私、菜々瀬心春は小さな頃から人と話すのが苦手だった。
目を見て話そうとしても、緊張して上手く言葉が出せなかった。
でも、中学一年生時私は変わった。
きっかけは小学校六年生のころ、ふと手に取った漫画。
その漫画には、ある一人の内気な女の子と、天真爛漫な男の子の恋のお話が描かれていた。
女の子は、自分の気持ちを素直に言うことができない内気な性格で、
どことなく私に似ている気がした。
その女の子は憧れました。
自分とは正反対で、自分の思ったことをそのままなんでも言えてしまう男の子に。
女の子は、恋をしました。
誰にでも優しくて、かっこいい男の子に。
女の子は、努力しました。
男の子に想いを伝えるために。
努力の末、女の子は男の子にずっと憧れていたこと、
ずっと好きだったという想いを伝え、二人は結ばれる。
そんなお話。
女の子は、暗い印象だったけれど、私には一番輝いて見えた。
世間ではそんな女の子を
『ヒロイン』
と呼ぶらしい
その時私は女の子に、ヒロインという存在に憧れた。
きっとヒロインなれば私だって輝ける。
臆病な自分にさよならが言える。
そう思った。
入学して約四か月、高校生活には随分と慣れてきた。
まだちょびっと緊張は取れないけど、二人も気軽に話せる友達ができたんだよ。
すごいでしょ
「はるっちー、席替えどこの席なった?」
古上萌衣ちっちゃくてすごく可愛い。そして、すごく可愛い。でも思ったことは結構ズバッと言っちゃう子。
「ん?私はねえーっと……ここだよ」
あれ?ここって……漫画で見たことある。
主人公席の隣……ヒロイン席じゃない?
嘘……ほんとに?ずっと憧れてた席だ……!嬉しい
「お、私心春の右斜め前の席じゃん。近いね、よろしく」
彼女は八重倉佐奈、面倒見が良い。萌依と小学校から一緒でとっても仲良し。
この二人が私の唯一の友達
「あ、ほんとだ。よかったー……喋れる人が近くに居て」
「心春、人と喋るの苦手だもんね。まだ私たちとしかまともに喋れてないしね」
「そ、そんなことないよ!喋れてはいるもん……」
「そかそか。でも、変なもんだよね~こんなにも人とのコミュニケーションが苦手なのに、スクールカースト上位だなんて言われて」
「え、なにそれ」
「嘘だろ……」
私と佐奈の間に小さな何かがひょこっと割り込んできた
「ちょっとちょっと、私を置いて何二人で楽しそうにしてんの~」
萌依だ。可愛い。
「ああ、萌依はどこなの?席」
佐奈が訊ねる
「私はね……教卓の前……」
「「あ~……」」
「最悪だよ。めっちゃ先生に見られるじゃん。お昼寝のひとつもできなくなるよ」
「寝るなよ」
「やだよ。眠いもん」
「夜中までゲームばっかしてるからでしょ、ちゃんと寝なさい」
「いやだ!」
「寝なさい!」
始まった。わがままと母性のぶつかり合い。身長差的にはギリ親子に見えないこともない。可愛い。
この闘いはいつも10分くらい続くので、私は大人しく席に戻った。
そういえば隣の席の人まだ見てなかった。誰だろ。
ここが肝心だよね!私が、ヒロインをはじめられるかどうか、私をヒロインにしてくれるかどうかの分岐点。
隣は……
隣の席に視線を向ける
東雲君だ。
東雲君とは接点が無い。ほんとに、これっぽちも接点が無い。
でも、ラブコメじゃ接点のなかった二人がコツコツとお互いを知ることで仲が深まって、最後には……って感じだよね。
案外良い相手なのかも。失礼かな?
とりあえずは、これから隣の席で授業を受けていくんだし、よろしくくらいは言っておかないとだよね。
う~……でも、緊張する……
頑張れ私!ここを上手く進めないと、これからなにも変わらないぞ!頑張れ!あいさつするだけじゃん!いけるいける!
ふ~……よしっ!
「あ、東雲君……?えっと、これからよろしくね」
どうかな……?不自然じゃないかな……?なるべく目を見て言うようにしたんだけど……
東雲君はなんて言うんだろ。
「あ……はい。よろしくお願いします……」
ちょっと愛想が悪くないかな。
いや、でも私も似た感じだったかも。
ここからどうしたらいいんだろ、どう話を続けよう……
「はるっちー、次移動教室だぞー」
「化学室で実験だってさー」
闘い終わってた。今回は短かったね。
「うん!今行くー」
あ、そうだ。ここだ!ここで東雲君にも移動教室だってこと教えてあげればいいんだ!
「東雲く……」
……なんだかすごく真剣な顔で考えてるみたい。
お邪魔しちゃ悪いかな。
まあ、これから隣の席なんだし、いつでも接点づくりする機会はあるでしょ。
私は化学の用意を持って教室を出た。
「はるっち、隣の席誰だった?」
「東雲君だよ」
「あー……ずっと本読んでる陰キャなイメージしかないわ」
陰キャ……これもお決まりだよね。少しワクワクしてきた。
「こら。萌依、そんなことないでしょ。東雲は……うん。別にずっと本読んでるわけじゃない……と、思う」
「佐奈、自信ないんじゃん」
萌依がクスクス笑う
可愛いなぁ、もう。
東雲君、か。正直まだどんな人か分からないけど、なにか始まりそうな予感。
そんな淡い期待を抱いて、私は教室に入った。
今日は布の染色の実験だ。
隠実です。このお話はヒロイン……かもしれない菜々瀬心春ちゃんのお話でした
それに二人も!新しいキャラクターが出てきました。古上萌依ちゃんと八重倉佐奈ちゃんですね。彼女達が今後どんな物語を広げていくのか、自分で書いていながら楽しみにしています。
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