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五、

『とにかく急いで神の領域ゴッドファイブへ向かわなければ』

気がつけば、そんなことばかり考えている。

なのに、足取りはゆっくりだ。

自分には、メディエイターとして、レマード様を見届ける義務がある。

人になってしまえば、レマード様にはもう会えない。

でも、人になれなければ…

そう思い、それを阻止しようとしている自分がいる。

これは一体、なんだろうか。


「よく来たわね、アリア」

「久しぶり、カオス姉さま。まだ老けてらっしゃらないのですね」

「あら?随分とはっきり言うじゃない」

「ごめんなさい。口が滑ったわ」

「アリアこそ、もういい年なのにその胸は何かしら?」

「っ………!ね、姉さま?貧乳はステータスなのですよ?」

「大きいのが好きな方もいるけどね」

そっとカオスの部屋に入ったロッドが見たのは、アリアとカオスの言い争いだった。

「………姉さま、本題に移らせてもらうわ」

「そうね」

言い争いは急に終わり、彼女たちは本題に移る。

「姉さまは、この私を‘人’にして下さるんでしょう?」

「ええ、そうよ。………ねぇ、アリア」

「何かしら、カオス姉さま」

カオスの顔が曇る。

アリアは、カオスの表情が変わったのに気付き、自分も表情を凛々しくする。

「本当に、‘人’になるのね」

「ええ、当然よ」

「考え直す気はないわね」

「ええ」

カオスの問いに、アリアは即答。

揺るぎないその瞳に、カオスは圧倒される。


大事な(アリア)は神の名を捨て、‘人’になることを選んだ。

・・・そんなの、辛いじゃない。


カオスは泣き出しそうになる気持ちを抑え、ゆっくりと唇を開く。

「そう、わかったわ。・・・ただし!」

カオスは下をむいたまま、動かない。

「ただし・・・何ですの?」

カオスの様子に気づいたのか、アリアの声は不審感に染まる。

だが、カオスは止めない。

「私と同じ立場を自ら捨てたのだから・・・人間を楽しみなさい!!そして・・・し、幸せに・・・なりなさいよ!!」

カオスが顔を上げた。

その瞳からは涙が溢れていた。

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