一時限目 『はじめまして!』
僕はごく普通の新米教師です。なにせ今日この桜山学園に赴任してきたばかりだからね。そんな僕はなんと!!担任に任命されたんだ!!
そして、受け持つ事になった『2年D組』の教室に若干緊張しながら向かっています。
なにせ、僕はここに赴任すると同時に引っ越してきたようなものだから、あまり土地に詳しくないし、馴染めるかどうかも不安なんだ…。まあ、十年近く前にはこの近くに住んでた事もあるんだけどね。昔の記憶はあまりあてにならなかったし…。
そんな僕は、教師歴2年だから担任とかやったことなくってちょっと緊張してるんだよね。…まあ、多分どうにかなると思う。
まあ、そんな感じで教室のドアを開けたんだけど…、次の瞬間全力で閉めちゃった。だってなんかドアの向こうに美形だけど思いっきり曲者ってかいかにも問題児っぽい子たちが思いっきり僕の方をガン見して来たんだよ。
そして僕は理解したね。これはアレだ。なにも事情を知らない新米教師に問題児とかの責任を押し付けちゃえってことだね。
でも僕はチキンなガラスハートの持ち主なんだよ。いくら新米だからってこの仕打ちはちょっとひどいと思うよ。せめて少しくらい説明があっても良かったと思うよ…。
チクショウ、今度会ったらあの校長の残り少ない希望を粘着テープではぎ取ってやる。
でもまあ、いうまでもここで突っ立ってるのもアレだし、諦めて中に入ろう。大丈夫、要は気持ちの切り替えが肝心なんだよきっと。僕こう見えても順応性高いし。…良し逝って見よう。
「おはよーございます。僕は今日から君達の担任になった月宮紫苑です。ヨロシクねー」
教壇に立って挨拶をしたら、なんかものっそい顔された。あれ?なんか変な事言ったかな?…とりあえず、クラスの事知らなきゃだよね、うん。
「とりあえず、クラス委員長って誰がやってるのかな?僕知らないんだけど。あ、もし決まってないんだったら今ここで決めてくれるかな?」
そしたら、なんかメッチャ喧嘩強そうで硬派な感じの不良っぽいワイルドな金髪イケメン君が立ちあがった。意外だ。
「じゃあ、朝の挨拶よろしくー…じゃなかった。まず名前教えてもらって良い?一応名簿見れば分かるけど、出来れば自己紹介してくれた方が嬉しいから」
そういってヘラリと笑えば、そこかしこからヒソヒソ声。でも別に僕を襲撃しようとかす言う感じじゃなさそうだから良いや。
そしたら、さっきのクラス委員長の子が話しかけてきた。
「俺は篠宮昴だ。…お前、変わってるな」
「ウンよく言われるよ。そりゃいやってくらいに。…ところで君…篠宮君はワルっぽく見えるけど意外と兄貴肌というか、面倒見良い方でいわゆるオカン体質だったりする?」
僕のその発言に、クラス中が固まった。ああ、視線が痛いよ…。でもやっぱ美形ぞろいだからちょっと役得って奴かもしれない。なんてちょっとした現実逃避をしてみる。でないと僕の胃に穴があきそうなんだもん。
若干遠い目をしながらも、全く震えてはいない僕に、再び篠宮君が話しかけてきた。まるで、何かを探るように。どこか怯えをはらんだ目で。
「お前は俺が怖くないのか?普通、そんな事を言ったら殴られるとか…ともかく怯えるもんだと思うんだが…」
「え?なんで?だって君からは敵意は感じないし。それに、なんか篠宮君ってハリネズミみたいじゃん」
『ハ、ハリネズミィ!!?』
「そ、ハリネズミ。あれって見た目痛そうだけど中身草食動物じゃん。しかもよく見れば可愛いし」
そう言ったら、教室のあちこちから堪え切れなくなったように笑い声がわき上がった。しかも笑いすぎて涙目になっている子もいる。…そんなに変な事言ったかな?
「ねえ、僕なんか変な事言ったかな?皆一寸笑いすぎでしょ?」
篠宮君にそう問いかけたけど、世k見たら篠宮君まで肩を震わせていた。
「ア、アンタってホント変わってるな…ブハッ」
「笑うんなら無理して堪えないで。逆にみじめになるから…」
こうして、教室にほのぼのとした空気になりかけた時、一人の少女――髪をサイドテールにした活発そうな美少女――が立ちあがり叫んだ。
「アタシは認めないっすよ!!お前みたいなチビな女が篠宮君に似合う訳ないんスから!!」
「「何言ってるの(んだ)?」」
篠宮君と声が重なったけど仕方ない。何言ってるのこの子。なんか変な電波受信したのかな?
「あのさ、僕これでも正真正銘の男だよ?出来れば普通に先生として認めてもらいたいなー」
確かに僕はチビだし女顔らしいし髪も長いし、今着ている白衣にだってどこか切られている感が否めないですよ。なんて考えている内に段々と落ち込んできたけど、無理やり浮上させる。どうせいつもの事だし。慣れてるよーだ。
「僕童顔だから、白衣着てないと生徒に間違われたりするんだよねー」
自分で言っててアレだけど、これそうとう情けないかも。
「まあ、僕は基本放任主義だけど、困った事があったら何でも言ってね?後、僕の胃に穴が開くかもだから出来るだけ問題は起こさないで」
「…アンタ、変わってるけど良い奴っぽいな」
篠宮君が、しみじみと、でもどこか嬉しそうな顔で笑って言った。
こうして、僕のちょっと変わった教師生活がスタートした。
連載初な上、更新も亀並ですが、気に入っていただけたら幸いです。




