狐 狗 狸
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
さて、皆さんも、題名を見て連想されるのはただ一つ。
『コツ ク リ』 さ ま
一割? 二割?! ん、実経験されている方の割合は少ないが、ご存知の方は九割はいるはずと思うのだがどうだろうか。
『おやっ、九ですって』
八も意味する事ながら、九もこういう怪異には意味をなす。詳しくは調べて欲しいと思うが調べるのは面倒と思われる方に少しだけお付き合い願おう。
『八』は、八百万、八百比丘尼八雲、煩悩百八と言いますように、不思議にかかせず、『九』も、九十九、つくも、付喪神とこれはこれでいやはや何たることでしょう。
と・・・・・・・ね。
さて、本題です。
中学の体験談なのだが・・・・
代わり映えしない白い校舎に、茶色い板の体育館、そして野球グランドにテニスコート。多目的グランドはやたらと大きく、なにかと広い『庭』の持ち主の中学校だった。
放課後。教室で、友達を待つ間、本を片手に席に座り読むことに夢中だった。
「あれ、タッちゃん。帰らないの」
「あっ、うん。友達待ってる。一緒に帰る予定だからさ」
「ああ、そう。どう? 待つ間やらない」
同じように、教室に残る三人の女の子が、十円玉を振り上げ、ゲームでも誘うように、私に声をかけてきた。
「ごめん、いつ来るか分かんないからやらない。三人でどうぞ」
「面白いのに、そばで見てるぅ? 恋占するんだぁ」
「そんな、十円玉で止めなよ。知らんよ」
「大丈夫、大丈夫」
笑い合う女の子達は、紙を用意し鉛筆で何やら書き始める。
「・・・・大丈夫で済めば、こんなことは言わんよ。ほんとに」
「えっ、怖いこと言わんでぇよ」
「怖いって・・・」
各々が、訛りのある口調で会話を返し、受け答える。なんともおかしな会話が教室に響いていた。
(厭々、怖いのは、貴方達ですよ。学校の七不思議を知ってよくやるよ)
学校の七不思議はいつもの定番、トイレには「トイレの花子さん」音楽室には、「夜中のピアノ」ある教室には、「動く教壇」|に十三階段などなど、学校に寄っては少し違う所も在るだろうが、ほぼ似たようなものであろう。
ただ、この学校には、『八不思議』が存在する。
二階にある大きなエントランスに、約二メートル四方の鏡が壁に付いている。
本当かどうか解らないがそこには『鬼の手』が住み、度々、鏡に立つ者を招き入れると言う噂があり、学校の何人かは、身体を鏡に強打していると言う噂が持ち切りである。
(鬼の手は噂ではない。この子達は知らないから、呑気に構えているのだろうが、もし、知ったらどう反応するやろうなぁ。クックック)
心の中で、とんでもなく可笑しな笑いをしている。
度々、鏡の場所で『鬼の手』を目撃するとともに、何故かは知らぬが、よく『手』を振られた。その都度、呑気な『手』だと視て笑い、自分から手を振ることも、返すこともなかった。
「いやぁあ、お待たせ帰ろうか」
本を読んでいると、教室の入り口から歩み寄り笑って、手を振る友人がいたので、本を読む手を止め私も振り返した。
(生きている友には、さすがに手を振るよ)
友人は、フーちゃんと言うあだ名で、この友には私の変人的症状は伝えてある。
本来なら、ヘンな目で見て『はいっ、さようなら』の筈が、寛容なのか、このような阿呆な人物でも、一緒にいてくれるありがたい人である。
今は、そういう話題は無くなったがまだまだ、『友人』を続けてくれるありがたくあるとともに感謝が尽きない。
「えっ、あれは噂のコンコン様? うわぁ、よくやるね。早く帰ろうか」
「うん。帰ろう」
「でも、その前にほっといていいの。基本、やばいんじゃない」
「ええ、言うぅても聞かんよ。まぁ、雑多が来るかもしれんけど」
「そうだね」
(まぁ、フーちゃんが心配するのもわかるけど、アレはアレで心のよりどころみたいなもんだから・・・)
鞄を手にし、フーちゃんと一緒に教室を出ようとしたとき、ほんの数ミリばかり、開いていた窓からなぜか強風が吹き抜け十円玉の下の紙を飛ばした。
「きゃっ、何これ」
「ええ、なんでぇ、なんでえぇ」
(あれっ、フーちゃんの心配していることがまさか────────)
三人の内、二人が騒ぎ立て席を立ち始めた。私は、慌てて注意する。
(げっ! 何故に強風、しかも紙を飛ばすということは。いかん、雑多だ! オキツネ様ではないというか、本来はきちんと手筈を踏まないとオキツネ様は来ない)
「あっ、やばいよ。動かない!」
叫んだ声に驚き、動きを止める三人がおり、十円玉は転がり落ちると同時に紙も床にひらりと落ちた。
─── その時のことだ ───
《ギャギィギィキィキキキキ───ィ》
教室の黒板に、三筋に白い爪痕が走ると音が響き、教室にいる者の耳につんざき入り、不快な気持ちにさせた。
「なっ、なになにこれぇ」
三人の内の一人の子が声を大にすると、開いてない窓のカーテンが激しく揺れる。
(雑多が顔出し、姿を隠したか)
変人的阿呆な人物の瞳には、狗のような形をしているが細長いイタチのような、俗にというか、世間で言うところの妖怪のようなモノを捉えた。
「あっ、なんかが視えたんでしょうね。あんたのことだからね。だから、帰ろお言うたのにね」
「ごめん、でも私悪ぅない。もん」
鞄を持つ手を、右往左往に振り、少し上目遣いで“ぶりっ子”風に言い放つとデコピンを食らった。
「可愛くない。似合わんね」
「ダハッ、やはり」
こんなやり取りをしている横で、三人の内の一人が不思議そうに尋ねている。
「えっ? タッちゃん今の何。どうして叫んだん。恐いなぁ」
「恐い? じゃあ、もうそれ、したらあかん。きちんと紙は燃やすか、川に流しや」
三人に手を振り、フーちゃんと教室を去ることにした。
「ほんま、困るわ。ああいうのがいるから、ヘンなモノが流行るねんな。止めてほしいねん」
フーちゃんが、珍しく文句を言うと睨んでいる。
(おお、珍しく文句を言うておられる。まぁ、こういうオカルトは、フーちゃん好きだけども、こういう呪術は嫌いなのよ)
怒るフーちゃんに歩幅を合わせ廊下を歩き、うなずいている。
それに関しては同意している。
こうして、ひとつの『怪異』は過ぎ去りイタチのようなモノも姿を隠した。
(いたずらだったのかな)
ため息を付いていると横でなにが見えたか尋ねられた。
「イタチっぽいなにかです。よくわかんないけど」
「ふうん。あの風を斬る。かまいたち?」
「たぶんかな。まぁ、害意はないでしょう」
確かに何ごともなく過ぎ、三人も紙はきちんと川へ流したらしく、今は、何もせず普通に一日を過ごしている。
日をはさみ、まったく違う子たちが、十円玉で何かしらをやり、言うとおりにして失敗して怒っていたのが笑えた。
(まぁ、やるなとは言わないがおかしなことになるなら頼らない方が良い。もしかすると人が動かしているかも知れないのだから)
そう思い、ますます笑うのだが、このあと珍妙なことが起きる。
あの時の『イタチ』が、かまって欲しそうによく姿を現すようになり、そっとしておくのが一番だとそう思っていたのが甘かった。
イタチは、ときおり迷惑をかけに姿を現し、それかしこに、見つけて欲しそうに物影に隠れたりし始めた。
『蓑をかぶる子ども』の次にイタチとのかくれんぼが始まる。
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