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【連載版】加護なしの第八王女は、前世が社畜だったので王宮生活がイージーモードにしか見えない  作者: 茨木野


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66.


 ミシェルはお姫様抱っこしていたギデオンの巨体を、魔導カーで駆けつけたフローラへと慎重に引き渡した。

 すぐさま、懐から一本の小瓶を取り出す。


「これが魔法国から至急手配させた血清です。早く彼に」

「わかったわ」


 フローラが手早く血清を投与すると、ギデオンの苦悶に満ちた表情がスッと和らぎ、呼吸が穏やかになった。

 その様子を確認し、ミシェルは短く息を吐く。


 彼女がゆっくりと立ち上がった時、その顔からは一人の妻としての不安は完全に消え去っていた。

 そこにあるのは、冷徹で計算高い戦術指揮官の顔である。


「ジュラララアアアアッ!」


 獲物を奪われた大蛇が怒り狂い、周囲一帯を溶かす致死の瘴気を再びばら撒き始める。

 しかし、ミシェルは冷たい瞳でそれを見据えたまま、一切慌てることはなかった。


「瘴気の成分解析は既に済んでいます。中和部隊、前へ」


 ミシェルの鋭い声が響く。

 転移魔法陣から次々と現れた後方支援部隊が、筒状の魔導具から特殊なアルカリ魔薬を一斉に散布した。


 シュウウウ、と白い煙が上がり、神話級の猛毒がただの無害な水蒸気へと変換されていく。

 自らの瘴気が通用しないことに、巨大な大蛇が戸惑うように首を揺らした。


「ミシェル先生っ」


 そこへ、実地訓練に参加していたマルコーたち学園の生徒が合流する。

 彼らは神話級の魔物を前にして、顔を青ざめて足をすくませていた。


「恐れる必要はありません。貴方たちの魔力量と最適化された魔法陣なら、必ず貫けます」


 ミシェルの氷のように冷静で、絶対的な自信に満ちた声が響く。

 その言葉に、生徒たちの目に再び強い闘志が宿った。


「大蛇の顎の下、三番目の鱗の隙間。そこに逆鱗に相当する魔力核が存在します。座標を共有しました」


 ミシェルは過去の文献から割り出した唯一の弱点を、全員の通信魔導具へと正確に伝達する。

 生徒たちは迷うことなく杖を構え、共有された一点へと狙いを定めた。


「座標固定。第三術式、一斉掃射」


 ミシェルの冷徹な号令が下る。

 無駄撃ちゼロの完璧なタイミングで、極太の魔法光線が幾筋も放たれ、大蛇の逆鱗へと一点集中の爆撃が叩き込まれた。


「ギャアアアアアアアアッ!」


 どんな力押しにも耐えてきた神話級の化物が、計算し尽くされた暴力の前に初めて悲惨な悲鳴を上げる。

 大蛇は苦痛に身をよじり、ズズンと地鳴りを立てて大きく後ずさった。


 ミシェルは後退する化物を見下ろす。


「彼に傷を負わせた罪、最大限の効率で支払ってもらいますよ」


 物理で圧倒する皇帝とは真逆の、冷徹な制圧戦。

 次々と追撃の準備が整い、神話級の化物すら哀れに思えるほどの完全包囲陣形が完成しつつあった。

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― 新着の感想 ―
最大限の「効率」・・・ 火力じゃないんかいwww
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