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11:第一印象なんて当てにならない




「先生、お久しぶりです!」

「あぁ。久しぶりだな、イル。元気そうで何よりだ」

「はい。最近は書類を捌くのにも慣れてきて、十分な睡眠もとれているのでバッチリです。ちゃんと先生の言い付けも守ってますよ」

「そうか。・・・よくやってるみたいで安心したよ」


ディアさんが子どもを見守る親のような顔で王子様のイルさんを見つめる。

イルさんはイルさんで、大好きなご主人様に褒められて尻尾を振り回す犬の如くキラキラした眼をディアさんに向けている。


うん。2人の関係が良く分かる光景だ。

イルさんはディアさんが大好きなんだろうなぁ・・・。


「ぐっ・・・イルの野郎ぉ、ディアにはデレデレしやがって。・・・・いてて」


腰をさすりながら立ち上がるゼオさん。

扉を開けて突入してきたイルさんが、その勢いのままゼオさんに飛び蹴りを喰らわせたからだ。

王子様なのになかなか行動的というか感情的というか・・・・・

お父さん・・・しかも王様にそんなことしても良いのかな?


「ヒナ」

「へ?あ、はい!」


ちょっと離れてみんなの様子を眺めていた私に、ちょいちょいとディアさんが手招きする。


う、王子様もこっちを見ている。

凝視されているわけではないけど、やっぱり緊張するものはするのだ。

なんてったって、この王子様も例に洩れず美青年。

お父さん譲りであろう黒髪蒼瞳。黒い髪は肩で綺麗に整えられ、蒼い垂れ目がちな眼が大人の艶を出している。あんな入場をしてきたとは思えない程、高貴な雰囲気が溢れていた。まぁ、ディアさんには敵わないけどね!ディアさん以上の美人がいたら、きっと直視した瞬間倒れると思う。


「イル。こいつが“渡り人”のヒナ・サクマだ」

「は、はじめまして」


ディアさんの隣に立つと、そう紹介された。

背中に添えられたディアさんの手に安心しつつイルさんを見る。

イルさんはにこりと笑うと、片膝をついた。私の眼の前で。


「え?え?」


混乱しているうちに右手を優しく持ちあげられる。


こ、これはもしかして・・・!


「はじまして、可愛らしい“渡り人”。私の名前はイラルディ・ヘアリッヒ・セルクル。イルと呼んでください。よろしく、ヒナ嬢」

「・・・は!はい!よろしくお願いします、イルさん!」


私の返事を聞くと、さらに笑みを深めたイルさんに右手の指に軽く唇を押し付けられた。


ひぇぇぇええ!!やっぱり!これって見るのも、されるのも恥ずかしい・・・!

どうせ残念な王子様だろ!とか思っててごめんなさい!!


顔が火照ってきた私とは違い、顔色を変えることなく立ち上がったイルさんは「可愛いですね~」とか言いながら私の頭を撫でている。これ、なんて拷問?


そんな私に追い打ちをかけるように、ディアさんが私の肩に腕を回して、キス(キス・・!)された手を覗きこんだ。ひぃぃ、顔が近い!心臓止まる!私が全て悪いんですぅ。もう勘弁して下さいぃぃ!


「へぇ・・加護をやったのか」

「簡易版ですけどね。無いよりは良いでしょう」

「まぁな」


か、加護ですか?なんてまたファンタジー。


言うだけ言って説明しないままディアさんが離れた。

ほ。一安心。

赤くなっている頬をぱちぱち叩いて、ごまかす。

この世界は美形頻度が高くて困る。王様が住んでる場所だから召使いさんとか給仕さんが美人なのは在る程度納得できるんだけど、廊下ですれ違った文官のような人達でも中の上くらいの顔をしていたのだ。

そんな馬鹿な!ありえない!私が1人浮いてしまうじゃないか!


「お~い。俺の事、忘れないでくれよー」

「なんだ、いたのか」

「父上、まだいたんですか?」

「ひでぇ!・・・・・・・ディア、茶ぁ淹れてくれ」

「・・・・はぁ・・・まぁ、いいか」

「あ、先生!私も手伝います」

「あぁ」

「ディ、ディアさん!私は・・・」

「ゼオの相手してやってくれ」

「子守りですね!了解です」

「おいこら、ヒナ!」

「良く分かってるな。頼んだぞ」


大真面目に頷くディアさんに私も真剣な顔で頷き返した。


「こらこらこら!なんでお前らはそんな失礼なことしか言えないんだ?ヒナまで感染しやがって」

「感染って・・・・・嫌な言い方しないで下さいよ」

「間違ってはないだろ~」

「う、う~ん?」


確かに王様に気安くしすぎだとは思うけど・・・・・・・・・・・・・・・・・ゼオさんだもんなぁ











○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●











「仲良くできてるみたいで安心しました」

「うん。みんな親切にしてくれてるよ」

「うんうん。仲好き事は美しきかな!ですね」


ここはディアさん邸のリビング。

私の前に座っているのはロッソ君だ。


ゼオさん、イルさん、ディアさん、私の四人でお茶を飲んだ後、イルさんがお仕事に戻ったのをきっかけになんとなく解散した。もう二度とごめんしたいけど、ゼオさんの子どもはまだ2人残っている。こ、こんなやり取りを後2回も・・・・・。うん。考えるのやめよう。


で、家に帰って来ら居たのがロッソ君だ。

私に会いに来たらしく、フィルちゃんとお喋りして時間を潰していたらしい。

ディアさんが遅い昼食を作るのを待ちながら、ロッソ君と無駄話をする。


「昨日はクドナさんのお説教で1日が終わっちゃいました・・・僕、クドナさんのこと尊敬してるんですけど、あの説教の長さだけはなんとかならないかなぁ。昼ごはん食べ損ねちゃいましたよ」

「クドナさんってどんな人なの?」

「クドナさんは凄いんですよ!ディアさんの元弟子で、水、火、土の3柱の精霊と契約を交わしてるんです。1柱の精霊と契約するだけでも凄いのに、3柱ですよ!3柱!」

「へぇ~」


ロッソ君の眼が輝いてる。ほんとにクドナさんを尊敬してるんだな。

・・・でも、机の上に乗り出すのは行儀が悪いぞ。せっかく私が拭いたのに。


精霊っていう単語がこうも普通に出てくるあたり異世界だなぁ・・・

何度実感しても足りないや。


「クドナさんがすごいのはよく分かったけど、精霊と契約するってどういうことなの?」

「う、えーえっとですね。精霊との契約っていうのは、あ、あれです!前約束です!」

「前約束?」

「はい。僕たちは魔法を使うときに精霊の力を貰っているんですが、え~と。ある場所に1柱の水精霊と2人の精霊師が居たとします。あ、僕達は精霊のことを柱で数えるんです」


日本で神様を柱で数える感覚と同じなのかな?


「・・・で、精霊と契約していない2人が同時に同じ水系統の魔法を放つと、合い打ちして終わります。魔法を使うことに契約の有無は関係ないんですよ。

・・ここで、2人の内のAさんがその水精霊と契約をしていたとしましょう。この時、さっきと同じ事を起こすとAさんの魔法がもう1人の魔法を押しやってしまいます。つまりAさんが勝ちです。

つまり、契約しておくと魔法を使ったときにその精霊に優先的に力を譲ってもらえるってことです」


ここまで言ってロッソ君が不安そうに私の方を見た。


「あ、あの、分かってもらえでしょうか?僕、説明とかどうも苦手で・・・分からなかったらバシバシ言って下さい!」

「あ、大丈夫だよ!契約すると他の人より力をたくさん貰えるってことだよね?」

「ほっ・・・そうです、そうです。そんな感じ」


安心したような顔をしたロッソ君を見ていると、どうも母性本能が擽られる。

こう、犬を見てるとわしゃわしゃしたくなる感じ。


ふと、美味しそうな匂いが漂ってきた。

ご飯だ!!






前回の更新から約3週間も放置してしまってごめんなさい!!!

部活の合宿とか、その合宿の疲れと日ごろの不摂生で熱出したりしていたら

こんなに時間が経ってしまっていました!

ほんっっとうにすみませんでした!!

ちゃんと早寝早起きします!




この小説は別に逆ハーレムを目指している訳でもないのに

男ばかり増えていきますね・・・

主人公を除いて女の子がフィルだけとか・・

クドナさんはまだ名前だけだし・・・頑張ります



PV18000越え感謝!!

本当にありがとうございます!

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