表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私に水飛沫をかけないで〜冒険者を目指すフィデリスの水泳教室〜  作者: くろくまくん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/3

キック アンド スティック

少年フィデリスは、幼馴染のアマリリスと会話をしている中で、冒険者になる決意を更に固めた。


その真意は……?



◯登場キャラクター


フィデリス 人族 12歳

冒険者になるため、苦手な水泳を克服するべく特訓をする


アマリリス 人族 12歳

フィデリスの幼馴染の少女 


ナターシャ 人族 25歳

フィデリスの水泳の教師 王国騎士団所属

 ルミノース王国は多種族国家だ。俺たち人族の他にも、獣人族や魔族、エルフ族も住んでいる。


 それぞれに寿命も生き方も、考え方も違う種族がこうやって同じ国で混じり合って生活できているのは、やはりこの国が住みやすいからもあるんだと思う。


 気候は穏やかで昼夜の気温差も少なく、程よく雨の恵みもあるし、あまり自然災害も少ない。


 ただ、住みやすいからと言って、やはり色んな種族の中では上手く生活できない種族もいるにはいる。


 だから、魔族だけの住む国や、獣人族だけの国もあるわけだ。エルフ族だけの国……は聞いたことないけど、父に聞いた話では海の向こうには人族だけの国もあるらしい。


 なんでこんな話をしているかと言うと。


 俺は水泳が苦手なんだけども、種族によってはめちゃめちゃ上手なやつもたくさんいるということなんだよ。泳ぎが得意な種族はと言うと……


「ぶはぁっ、先生もうムリです!」


 俺は、箱型水泳特訓装置の端で、水に顔をつけた瞬間にすぐ顔をあげた。


「フィードくん、朝ちゃんとお水で顔洗った〜? してないでしょ?」


 ナターシャ先生は鋭い。もちろんしていない。


「フィードくん、いつになったら泳げるようになるの〜?」


 アマちゃんが装置の外から言ってくる。


「きっとすぐだよ! もうすぐ!」


 その俺の横を水飛沫をあげながら華麗に泳いでいくヤツがいた。


 ばしゃばしゃばっしゃん


 その水飛沫が俺の顔にかかって、俺はそれを両手で拭う。


「ラスキーくんは、犬かきが上手ね〜。さすが犬の家系だけあるわ〜」


 ラスキーは犬の獣人なのだ。年齢は三歳で俺のほうがいくつも歳上なんだけど、体つきは同じくらいかな。


「ラスキーなんて、生まれたときから泳いでたんだろ。そもそものスタートが違うよ」


「フィードくん、言い訳をしてはいけませんよ。種族によっての得手不得手はあるにしても、努力によってそれを克服できることもあるのです。不可能なことを言ってるわけではないですからね。はい、顔つけ10秒〜〜!!」


 言いながら俺の顔を無理やり水につける。


「がはっ! 先生っ! ムリ〜!! ごほっ!」


 ナターシャ先生は綺麗な顔をして、まぁまぁ鬼教官である。


 さすが王国騎士団の中で、鬼のナターシャと呼ばれるだけはある。


 俺はもがきながら、ばしゃばしゃしながらも、でも、顔つけを少しずつはできるようになっていった。


「おい、フィード! 俺が死ぬまでにせめてこの装置の一往復くらいはできるようになれよ〜!」


 ターンして戻ってきたラスキーが俺に偉そうに言う。


「そんなにかからず泳いでみせるさ! 俺はこの夏の間に、装置五十往復してみせる!」


「はいっ! その意気だよー! とりあえずフロッグスイムの前に、壁を蹴って棒のようになって進む、キックアンドスティックをしてみようか」


 キックアンドスティック??


「先生、それってなんなんですか?」


 先生は、両手を頭上にまっすぐあげて、ピシッとまっすぐになって俺に言う。


「私が今やってるみたいに、身体を一本の棒のようにして進む泳ぎ方よ。これが水の抵抗も限りなく減らせる最も効率の良い基本形と言われているわ」


 それ、はじめに教えてほしかったやつ……なんか手とか足とか動きを言われてもわからないもんな。


 俺は言われた通りに、装置の端っこから、壁を蹴って、身体をまっすぐに伸ばし、キックの推進力を使って進む……!!


「ぶは〜〜っ! 先生、だいぶ進んだんじゃないですか??」


 顔つけ特訓の成果もあって、俺は水に少しつかっても大丈夫なようになってきていた。


「んーとね、まぁまぁ進んだんだけど……10フィートっていうところかな? まぁまぁキックアンドスティックだとこんなもんかな」


 この特訓装置の片道が約80フィートだから……これを八回すればいけるということか。


 あ、でも、装置の途中には壁がないんだよな。


「先生、装置の床を蹴って進むんですか?」


「あのねぇフィードくん、そんなの上に飛び上がるだけに決まってるでしょ? これからは泳ぐのよ」


 やっぱり手足の動きはいるのか。


「ねぇ、フィードくん、かき氷食べに行こうよ〜。私お腹空いちゃった」


 これはアマちゃん。


 俺もお腹ペコペコだよ、ずっと動いてるし。


「よし、今日のところはここまでにしときますか。次からは、本格的に泳いでいくよ〜」


「はいっ、ありがとうございました!」


 獣人のラスキーはいつの間にかいなくなっていた。


「アマちゃん、出店にいこうぜ〜!」



キックアンドスティック(蹴伸び)を習得したフィデリス。


ただ、それだけではもちろん泳げない。


この夏の間に泳げるようになるのか??



※1フィート=約30センチです。

80フィートだと、25メートル。箱型水泳特訓装置は、片道が25メートルです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ