エピローグ〜冒険者フィデリスとその妻アマリリス〜
フィデリスが無事冒険者になることが出来た、
その14年後の話になります。
◯登場キャラクター
フィデリス 人族 30歳
冒険者になり、アマリリスを娶る。
アマリリス 人族 30歳
フィデリスの幼馴染だったが、フィデリスの妻となりそれを支える。
ナターシャ 人族 43歳
フィデリスの元水泳の教師 ルミノース王国騎士団長
吟遊詩人のエルフさん エルフ族 304歳
マグヌス伯爵 ラグルス・ラジール 人族 26歳
ルミノース歴903年。
俺が冒険者の資格を取得してから14年の歳月が流れた。
アマちゃんと共に過ごす日々はとても楽しくて、満ち足りていた。
俺の仕事柄、どうしても収入が不安定になっていて、生活を困らせてしまうこともあったが、それでもアマちゃんは文句も言わず(あ、たまに言うときもあるんだけども)上手にやり繰りをして、いつも俺に可愛い笑顔を見せてくれた。
そして、俺にはもう一つ楽しみなことがあった。
「アマちゃん、あまり無理しちゃダメだよ、身体に障るからな。何かあったら言ってくれたら俺がするから、いつでも言ってくれよ」
アマちゃんは大きくなったお腹をさすりながら、それでも元気に言う。
「フィードくんは心配性だね〜、全然大丈夫だよ。むしろ少し身体を動かしてるほうが楽だもの。出ないと赤ちゃん産まれたあと、体型戻らなかったら嫌でしょ?」
そうなのだ。ずっと子供を授かることがなく十年以上が過ぎたのだが、あともう少しで俺とアマちゃんの子供が産まれるのだ。
これも光の女神ルミノース様の思し召しに違いない。
「体型なんて気にしないさ。俺はどんなアマちゃんでも愛してるからな。それより身体の無事のほうが大事だろう?」
「フィードくんありがとう、私も愛してるよ。あっ、今赤ちゃんが動いたよ!」
お腹の赤ちゃんはとても元気なようだ。きっと男の子に違いない。
「お、お、ホントだ! あぁ、早く出ておいで、我が息子よ! きっとめちゃくちゃ可愛いに違いない!」
アマちゃんは少し呆れたように俺に言う。
「もうフィードくん、産まれる前から親バカ全開になってどうするのよ〜! それに男の子ってまだわからないよ」
いや、これは俺の勘なんだが、赤ちゃんはきっと男の子だ。
そして、きっと優しくて逞しくて、みんなに愛される男の子になると、俺は思う。
◇ ◇ ◇
その後、無事に赤ちゃんは元気な産声をあげて、産まれてくれた。
「アマちゃん、ありがとう! ありがとう! 大変だったろう。ゆっくり休むんだよ」
出産疲れで疲労困憊だったアマちゃんをねぎらい、俺は赤ちゃんを抱っこさせてもらった。
「よーし! お前の名前はアルドだ。何事にも情熱を持って挑んでほしいからな。新しいことにもどんどんチャレンジしていく、立派な冒険者になれよ〜!」
俺はまぁまぁ勝手なことを言ったが、大きくなってから、どうなりたいかはこの子次第だからな。自由に、生きたい道を選んでいってくれたらと願う。
水が大の苦手だった俺が、冒険者になるために特訓をして、今ではこんなに可愛い奥さんと、そして玉のように可愛い息子も授かり、幸せに暮らせている。
冒険者という仕事をしている以上、いつどんな危険があるかもわからない。もしかしたら寿命を全うすることなく死んでしまうこともあるかもしれない。
でも、俺はこの命が燃え尽きるまで。ここにいるアマリリスと、アルドをずっと守っていこうと思う。
◇ ◇ ◇
フィデリスの物語はここで終わりになりますが、フィデリスと関わったみんなのその後も少し追いかけてみようかと思います。
ナターシャ先生は、その後王国騎士団長となり、王都に配属され、ルミノースの治安と国民の暮らしを生涯守っていくことになる。
獣人族のラスキーは、フィデリスが23歳の時に寿命を迎えました。ただ、多くの子供、孫に恵まれ、息を引き取る時も、皆に囲まれて亡くなりました。
お助け魔族のラーナくんは、今でも誰かのサポートをしたり、たまに毒を吐いたりしているようです。
そして、14年前にフィデリスが川で溺れているところを助けた貴族の子供。マグヌス伯爵の子息ですが、父の跡を継ぎ、中央都市マグヌスを治める大領主となりました。
そうそう、ちょこちょこ出てきていた吟遊詩人のエルフさん。あのエルフさんはどうしてるのかな?
「いやはや、人族の成長って早いもんだね〜。ついさっきまであんなチビっ子だと思ってたのに、今はもう立派な大人になってしまって。でも、獣人族にしろ、魔族にしろ、人族にしろ。寿命の長短ではなく、能力の有無ではなく。どうしても利己的な個体のほうが多いのは多いんだけど、たまーにグッとくる子もいるよね。僕は色々なところを旅しながら見聞を広めるのが趣味なんだけど、あの子たちのことは少し気にかけていようかなと思ったよ」
あれ、なんだか結構話してくれましたね。
冒険者フィデリス。そしてその息子アルド。これからどうなっていくかは、またの機会にお話しましょう。
皆様に、光の女神ルミノース様の御加護があらんことを。
完
「私に水飛沫をかけないで〜冒険者を目指すフィデリスの水泳教室〜」はこのエピソードをもちまして完結となります。
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