1/7
春高楼
鶯が囀り、梅の香りが漂う季節。
国を治めた証である我が城には桜の雨が降り注ぐ。
血と血で洗う醜い争いの面影はそこには無く、桜の木の下では民たちが宴会を開いていた。
聞こえてくるのは、歓喜と囃子。
酒を飲み、囃子に合わせて踊る者もいた。
この城の天守閣から見ていた私は、ようやく争いのない平和な日々がこれから始まることに、あまりの嬉しさに涙ぐむ。
しかし、私は思ってしまう。
この景色もいずれ、時代とともに過ぎ去るのだろうか。
そして、民たちは幸せなのだろうか。
国のため、民のために奮闘し、手に入れた安寧は偽りではないのか、と。
酒の入った盃に落ちた桜の花びらは何も語らない。
水面に映る私の顔が波紋で歪む。




