ダンジョン調査の打ち合わせ②
「勝手に入らないで下さい!」
女性の声がする。
さっき、勇者パーティーって聞こえてきた。
…どうやら勇者君が、騒いでいるみたいだな~
僕がそう思っていると、会議室のドアが勢いよく開く。
そして勇者君が、ズカズカと部屋の中に入ってきた。
勇者君は支店長に「何故、僕達を参加させてくれないんだ!」と大声で叫ぶ。
…暫く部屋の中が沈黙する。
支店長が「君達では、実力不足だと判断したからだ。許可も無く勝手に入ってくるなんて、態度も悪い。とても皆と連携が取れるとも思えない。残念だが君達を一緒に連れて行く事は出来ない」
「だから!経験を積ませてくれないと、実績だって作れないし、実力だって身に付かないじゃないか!!」
「勇気!いい加減にしなさい!」
梓さんに怒られても、勇者君は引き下がらない。
それを見ていたサンダーブラックのメンバー達が「煩いぞ!カッパ!」
「そうだ!呼ばれても居ないのに勝手に入ってくるな!カッパ!」
…皆がカッパ・カッパと連呼する。
カッパって何だ?
昔話に出てくる妖怪の河童の事か?
河童って本当にいるのだろうか?
僕がそんな事を考えいると、美鈴さんが「カッパって何だろう?」と一人言を言う。
するとバッハが「美鈴様。係わらない方がよろしいかと…」
「そうよね!私には関係無いし…」
僕達が事の成り行きを見守っていると、勇者君とサンダーブラックの言い争いがヒートアップしてゆく。
「煩いぞ!おじさん達の意見なんて聞いて無い!黙ってろ!」
「なんだと!新人の癖に生意気なんだよ!カッパ野郎!!」
「誰がカッパだ!僕はカッパじゃ無い!勇者だ!!」
「だから、カッパの勇者だろう!早く出て行け!このカッパの勇者野郎!!」
僕は支店長を見る。
うん。
あの顔は、怒った顔だ。
タコ常務~!と怒鳴っていた時の顔だ。
「煩いぞ!お前達!静かにしろ!!」支店長が怒鳴り声をあげる。
し~ん。
やっと静かになった。
「君は…確か…正木だったね。どうしても参加したいのか?」
「はい!参加させて下さい!」
「う~ん…確かに経験も必要か…勇者パーティーだしな…」
「よし、良いだろう。但し条件がある」
「条件ですか?」
「ああ、そうだ。ダンジョン内で、勝手な行動を取らず、我々の指示に従う事。他の探索者達と助け合う事。それから、ダンジョン内では、何があっても自己責任」
「どうだ?守れるか?」
「はい!守ります!」
「他のメンバー達はどうだ?」
すると、静香さんや梓さん達が、互いの顔を見合せ…「守ります!勇気を一人に出来ません…それから、勇気に約束を守らせます!」梓さんが答えた。
梓さんは、勇者君のお母さんみたいだな~と思っていると、支店長が「分かった。では空いている席に着きなさい」
どうやら、一件落着したみたいで、ホッとした。
僕が一番右側に座り、美鈴さんは僕の左側に座っている。
空いている椅子は、美鈴さんの左側に2つ。
静香さんが美鈴さんの左側に座り、梓さんが更にその左側に座る。
これで、この列には空いている椅子は無い。
孝之君は「すみません。ここ良いですか?」と言って、ファイブスターが座っていた横の椅子に座る。
早速、僕の左側に座る女子達のひそひそ話が始まった。
前回、一緒に探索に行き、今でも連絡を取っていると美鈴さんが言っていた。
ロボットさんは…静香さんの後ろに立つ。
そもそも、全身甲冑を身に付けているから座れない。
あと空いている椅子は、サンダーブラックの所の椅子だけだ。
さっき言い争いをしていたし…
大丈夫かな?
僕がそう思っていると、勇者君が「何で僕が、こんなおじさん達と一緒に座らないといけないんだ!」と言う。
するとサンダーブラックの人達が「おい、カッパ!座るのが嫌なら立つてりゃ良いだろが!新人の癖に生意気なんだよ!カッパ野郎!」
「だから僕はカッパじゃ無い!バカか?バカなのか?さっきから何度も言ってるじゃないか!」
「なんだと!!テメー!このカッパが!実績も無いくせに生意気なんだよ!このカッパ野郎!!」
「煩い!静かにしろ~!!」再び支店長が怒鳴る。
し~ん。
「まったく…お前達は、静かに出来ないのか?良いか、今度騒いだら退出させる。分かったな!!」
「はい…分かりました…」
やっと静かになり、説明が始まった。
支店長がAチーム。
副支店長がBチームを率いて、ダンジョンの調査をするそうだ。
そして探索者は護衛担当だ。
支店長率いるAチームは、元々ここにあったダンジョンの調査。
副支店長が率いるBチームは、新しく繋がった方のダンジョンを調査する。
そして護衛の探索者の割り振りの説明があった。
僕達サンライズはAチームの護衛を頼むと支店長から言われた。
まあ、何度も潜ってるし、上位精霊達にも会えるから、文句は無い。
しかし、意義を申し入れる者が1名。
「どうしてジャスティスがBチームなんだ!Aチームに変更して欲しい!」
またしても、勇者君が騒ぎ始めた。
「Aチームは、サンライズだけで十分だと判断した。先日のダンジョンスタンピード時の活躍を君も見ただろう!」
「それより、Bチームが心配だ。だから、君達にはBチームの護衛を依頼するんだ!」
「でも、それじゃあ、み…」
「うん?なんだね?正木君」
「み…皆の参考の為に、サンライズと一緒に行きたいんです!パーティーメンバーの為なんです!」
「ちょっと勇気!勝手な事言わないで!」
「支店長!勇気がすみません。私達はBチームでお願いします!!」
申し訳なさそうに、梓さんが言った。
「梓!何を言ってるんだ!パーティーリーダーは僕だぞ!!」
「あんたが、皆の足並みを乱してるの!静かにしなさい!!」
またしても勇者君は、梓さんに怒られた。
「正木君!納得がいかないなら、参加してもらわなくて構わないぞ!」
支店長からダメ出しされて、やっと勇者君が静かになった。




