ダンジョンスタンピード!再び。
僕達は1本道のところまで撤退した。
僕はウエストポーチ型の収納袋から魔剣ティルフィングを出す。
すると魔剣ティルフィングが僕に話し掛けてくる。
《久しぶりじゃの~主殿》
ああティルフィング久しぶり!
君の力を借りたいんだけど良いかな?
いま、ダンジョンスタンピードが発生中で、これから魔物が押し寄せてくる。
だから君の力を借りようと思って…
《ホホホ!それは楽しみじゃ!存分に我の力を使いと良い!》
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暫くして、支店長達が走ってくる。
「拓哉!スタンピードと聞いたが、本当か?まあ…お前が言ってるんなら、本当なんだろう…下らない質問をした。すまない」
僕は「大丈夫ですよ!」と支店長に返事をする。
「それで、状況は?」
「はい。魔物が進行中です。もうじき洞窟から出て来ます。魔物が出て来たら、僕が魔剣を使い殲滅するので、決して僕の前には出ないで下さい!」
「それを皆に徹底して欲しいです!」
僕がそう言うと、支店長は「分かった!皆にも俺から伝える。だから、魔物の討伐を頼んだぞ!」
「みんな!良く聞け!魔物はサンライズが討伐する!お前達は、打ち洩らした魔物の対処を頼みたい。それから、決してサンライズより前に出ない様に!頼んだぞ!」
「お~!!」
探索者達が奇声を上げた。
そんな時、支店長に文句を言う者がいる。
「支店長!何で僕達ジャスティスに討伐させてくれないんですか!僕達は勇者パーティーだ!サンライズの白石拓哉より、絶対に活躍出来る!」
勇者君は、空気が読めないらしい。
みんなの意志統一の邪魔をする。
どうしたものか?
すると支店長が「サンライズはSランクパーティーだ。それに実績もある。君はサンライズを良く見て、実力の差を知りなさい!」
「悔しかったらランクを上げる事だな」
しかし勇者君は、まだ引き下がらない。
「最前線に配置してくれないと、実績が作れないじゃないか!」
「勇気!止めなさい!」
勇者君は、梓さんに怒られた。
そして梓さんがロボットさんと孝之君に指示をする。
勇者君は…羽交い締めにされながら、後ろに引きずられて行った。
…やっと静かになった。
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ダンジョンの奥から、足音が聞こえ出した。
かなりの数がいる様だ。
魔物が近付くにつれ、だんだん音が大きくなる。
僕と腕を組んでいた美鈴さんが「気を付けてね!」
そう言って、僕の左の頬っぺにキスをした。
美鈴さんが、僕の後ろに下がる。
ドドド!!
魔物がダンジョンの階層を繋ぐ洞窟から溢れ出て来た。
僕はギリギリまで引き付ける。
よし!今だ!!
僕は魔剣ティルフィングを左から右へ横に振った。
ドッカーン!!
斬撃が、遥か彼方のダンジョンの壁に傷を付ける。
僕からダンジョンの壁迄の間にいた魔物は、一瞬のうちに光の粒子になって消えた。
しかし、まだ魔物の進行が止まらない。
洞窟からどんどん出て来る。
僕は今回も魔物をギリギリまで引き付けてから、魔剣を振る。
それを合計6回繰り返し、そして魔物はそれ以上出て来なくなった。
「お~!やったぞ~!!」
探索者達が雄叫びを上げた。
美鈴さんが僕に抱き付く。
「拓哉さん!やったね!凄く格好良かったよ!」
美鈴さんから褒められて、僕は嬉しくなる。
そして僕は「ここに落ちている魔石は、今日参加した探索者の皆さんで分けて下さい!」と支店長に伝える。
「良いのか?拓哉。魔物を討伐したのはお前だ。だからこの魔石はお前の物だぞ?」
「良いんです。皆さんで分けて下さい」
これは美鈴さんと話し合った事だ。
前回のスタンピードの時、魔石はすべて僕達が貰った。
他の探索者達は、ここ暫くの間、ダンジョンに入れなかった。
つまり、収入がなかったと言う事だ。
生活に支障をきたしている探索者達も居るかも知れない。
だから、今回のスタンピードを僕達が押さえたら、その魔石は探索者にあげようと、美鈴さんと話し合っていたのだ。
僕の話を聞いていた探索者達が「ありがとう!」と言う。
すると支店長が「これはサンライズからのプレゼントだ!参加したみんなで平等に分ける。取り敢えず、みんなで手分けして回収してくれ!」
それを聞いた探索者達が「お~!」と歓声を上げ、みんなで魔石を拾い始めた。
ジャスティスのメンバーも、勇者君以外は、他の探索者達と一緒に魔石拾いをしていた。
勇者君は1人、地面に座り込んでいじけていた。




