正木君の妄想が止まらない①
僕は正木勇気。
勇者になる男だ!
だが今は、まだ、僕のJOBは魔法剣士だ。
だが何れは勇者のJOBを得る!
信じるものは救われるって言うしな。
パーティーメンバーの梓を焚き付け、サンライズとの同行を依頼させた。
そして今日は、サンライズと一緒にダンジョンに入る日だ。
梓もたまには良い仕事をするな!
流石はサブヒロインだ。
僕は探索者協会の更衣室で装備に着替える。
先日、探索者協会に併設されている売店を見たが、美鈴さんが着ている装備は見つからなかった。
ネットで検索したが、やはり見つからない。
僕が白石を倒した後、美鈴さんと同じ装備を身に付けて颯爽と美鈴さんの前に立つ。
すると美鈴さんは「白石君より似合ってるわ!」
うん。
きっと、そうなるに違いない!
僕と美鈴さんは、ペアルックでダンジョンを探索し、そして大活躍するのだ。
僕は美鈴さんとのペアルックを夢見て、毎日ネットで検索を続けている。
白石が美鈴さんとペアルックで探索を続けるなんて、あってはならない!
まあ、何れ時期が来たら手に入るだろう。
僕は、まだ、闇精霊使いの白石を倒していない。
つまり、女神様の試練をまだ乗り越えていないのだ。
だが勝負はこれからだ。
今に見てろよ、白石拓哉!
お前を倒して、美鈴さんを闇から解放するのは、この僕だ!!
★★★★★
ダンジョン地下1階の丘の上で、僕達はサンライズと合流した。
先頭を美鈴さんと白石が並んで歩く。
しかも、手を繋いで…
僕は思う。
美鈴さんは、白石と繋いだ手を、ちゃんと手を洗っているのだろうか?と。
石鹸で綺麗に手を洗い、白石菌を洗い流すべきだ。
僕はそんな事を考えながら歩く。
ダンジョンの階層を繋ぐ洞窟を抜けると、両側が絶壁になっている、赤茶けた道にたどり着く。
白石が「崖の上を調べたい」と言う。
こんな何も無い場所を調査すると言い出すなんて…何か?企んでるんじゃないか?
僕は白石を警戒する。
足場を登ると、先の方に洞窟が見えた。
中は真っ暗だった。
不味い。
僕達は懐中電灯を持ってない。
先頭を引き続き白石と美鈴さんが歩く。
こんなに暗い場所なんだぞ!
美鈴さんの手を離せよ!白石!
美鈴さんが本当に可哀想だ。
そんな事を考えていると、不思議な事が起こった。
先頭を歩く美鈴さんと白石の少し前に、灯りが現れたのだ。
何だ?
僕がそう思っていると「光精霊に灯りをともしてもらった」と白石が言うと、梓が「凄いですね!」と言った。
梓!
お前は馬鹿か?
あんなのは手品か何かに決まってるだろうが!
あいつは闇精霊使いなんだぞ!
光と闇は相性が悪いんだ。
だから、闇精霊使いの白石が、光の精霊と契約するなんて、ある訳ないじゃないか!
だから僕は何時も、ライトノベルを読めって言ってるのに…
本当に単純なやつだ!
そのまま進んで行くと、レイスと言う魔物が現れた。
「キャー!!」
静香さんと梓が悲鳴を上げた。
…馬鹿じゃないのか?
あんなのは、闇精霊が作りだした幻覚だ。
「コンコンコロロ…」地面に何かが落ちた音がする。
白石が地面に屈んで魔石を拾った。
周りが薄暗い事を良い事に、レイスが消えたタイミングで、ポケットに忍ばせていた魔石を地面に落としたんだろう?
そんな単純なトリックなんて、僕にはお見通しだ!
そして洞窟の奥に到着する。
白石が「リッチが復活していなくて良かった~」と言う。
こんなに浅い階層にリッチなんて協力な魔物が、現れる訳が無いだろうが!
そうか…皆の注目を集める作戦だな?
そんな事は、お見通しだ!
僕は騙されない!!
その後洞窟を出て足場を降り、また、歩き始める。
僕達はダンジョン地下3階に到着した。
草原と大きな湖が幾つもある階層だった。
すると白石が「僕達は水の上位精霊のところに行ってくるから、君達は角ウサギ狩りでもしながら待ってて!」と言う。
何が精霊だ。
僕達には見えないから、幾らでもテキトーな事が言える。
白石が美鈴さんと手を繋いで歩いて行く。
不味い!
美鈴さんを白石と2人切りにする訳には行かない!
僕は慌てて後を付いて行こうとするが、何か見えない壁?みたいな物が邪魔で進めない。
くそー!どうなってるんだ!!
これも白石が契約している闇精霊の力なのか?
そのまま2人は見えなくなった。
チキショー!僕が後ろを振り返ると、他のメンバー達が角ウサギ狩りをしていた。
僕は地面に座り込んだ。
そして僕は、昔読んだ本の事を思い出していた。
僕が中学生の時に読んだライトノベルの話だ。
ストーリーは、主人公が通う学校のクラスごと異世界に移転する。
しかし、主人公が得たスキルがショボかった。
そこで、ボッチの主人公がクラスメイト達から追放される。
しかし、主人公は、以前やっていたゲームに似た世界だと気付く。
そして主人公はゲーム知識を活かし、クラスメート達より先に、強力なアイテムを手に入れて、自分を追放したクラスメイト達に“ざまあ”する。
そんな話だった。
そして僕は気付いたのだ!




