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朝の1番歌  作者: 睦月微糖
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就職活動

日が沈み始めると次々と淡い光のネオンが灯り始めるとある歓楽街。





それと同時に我先にと通行人に絡んでは店の中へと連れ込む客寄せ達を横目で流しつつ歩みを進めるのは




「はぁぁぁ……これで面接落ちるの5回目だよぉ……最悪すぎるぅぅ…!」




普段着用しない黒色のスーツを着用しては栗色のポニーテールを揺らしながらスマホ画面にデカデカと映る"見送りとさせていただきます"を眺めてため息をつく朝神一歌あさがみいちかであった。




落ちたショックでゾンビのように項垂れながら人混みを避けながら進んでいると、少しでも店の売上を上げたい人寄せが一歌を誘おうと近づくが就職活動での連敗続きで殺のオーラを放つ一歌に睨まれて思わず足を止める。




「……悪いけど私、男の人と飲みたい気分じゃないんだ。ごめんね」


「い、いえ!失礼しましたッ!」




首が取れるんじゃないかと思うぐらいのスピードで一歌に向かってペコペコ頭を下げると、客寄せを雇っていると思われるホストクラブの店内へと飛び込むように入っていった。




溜め息をつきつつ、視線をホストクラブから道路へと向けると一歌に話しかけようとしていたであろう別の客寄せ達の視線が彼女から別の方へと向けられる。




別の仕事を見つけても落とされる……こんな日々が続くならいっその事、ひと暴れして刑務所暮らしでもしてた方がマシなのかもしれない。通常では考えられない事を思い浮かべながらホストクラブの前に佇む赤色のパイロンを触りながらスマホを弄る。




「次の就職活動で落ちたら歓楽街ぶっ壊す勢いで暴れてや………ん?」




この街一体の求人サイトが映る画面をスワイプしてると、とある企業の求人情報に目を奪われその企業のリンク先をタップする。




「ひがし、ぎ……いや、とうぎ組?急遽人求む??」




あれこれ求人チラシを片っ端から見たり、ハローワークに通ったりもしたのだが"東義組"という会社なんて1度も聞いたこともないし目にしたことがない。疑問を抱きながら東義組について少しでも情報を仕入れていた方が良いなとゆっくり画面をスワイプしながら画面を見つめてると別の疑問が一歌を悩ませた。




「この会社、なんで会社名と電話番号以外何も記載されてないんだろう?」




何度も上下に画面をスワイプするが会社名と携帯電話以外何も記載されていない。これって裏関係の仕事なのでは……?と思い始めたが一番下に記載されているサイト制作日時を確認すれば新規5分前との文字が見えた。




「急遽って書かれてたから多分急いで作ったんだね。そんなら、電話しても大丈夫でしょ!」




一応東義組の求人サイトをスクリーンショットをして、求人サイトに記載されていた電話番号をスマホに打ち込む。電話越しでも第一印象が大事だ!と己に言い聞かせスマホを耳に当てるとワンコールが鳴り終わる所でガチャと繋がったと知らせる音が一歌の耳に響いたので軽く深呼吸して電話の相手に一声を聞かせようと口を開いた瞬間、電話の向こうから凄まじい音が響き思わず耳を塞いだ。




「あ、がぁ……み、みみぃ…ぎ、ぎゃがぁぁぁ……しぬぅ……。」




耳がキーンとするぅ〜……!




突如一歌の耳を襲った爆音(?)で混乱しつつ、恐る恐るスマホを耳に当てると聞こえてきたのは爆音ではなく男性の声。




(君、返事してくれ!大丈夫か!?)


「が……ぁ、はい。大丈夫です」


(そ、そうか!それは良かった)




鼓膜が壊れたかと思ったが会話が成立してるので一歌の鼓膜は無事であったようだ。




若干痛む耳を擦りながら電話の相手に求人サイトでここを見つけたので是非面接を受けさせて頂きたいとの事を伝えれば声の主は快く受け入れてくれた。




「あ、ありがとうございます!それでは日時はいつ頃でしょうか……?」


(……え?あ、日時?日時ねぇ、うーん………)




何故か黙り込む電話の主の返答を待っていると、電話越しからガタガタと何かが倒れたような音がしたので相手の安否を確認するため声を掛けようとした時に、相手の一声によって耳を擦っていた一歌の動きが止まった。




(え、えーと、朝神一歌さんだったよね?今おやじぃ……じゃなかった、社長から言われたんだけど、君採用だって)


「……はい??」


(あれ?聞こえなかった?)


「あ!いえ!さ、採用でございますね!?ありがとうござります!」


(ははっ、緊張しなくてもいいよ。あ、そうそう一応明日から仕事頑張ってもらうつもりだから後でメールで事務所の場所と時間を送らせてもらうね、そんじゃよろしくぅ!)


「はい!」




一歌の返事と共に通話が終了する。





それと同時にガッツポーズをしながら、帰宅を急ぐ様子を見ていた客寄せが何事!?というように遠ざかる彼女の背を眺めていた。

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