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オリエンテーリング

学校に入ってから1週間が経った、この生活にも大分慣れて来た。最初はバタバタしていたが大分落ち着いた、まぁまだ寮での生活は相変わらず慣れないが…ヤッパリと言うかセレスとの生活がいまいち慣れない、それは仕方無いここは寮なんだし自分だってセレスからすれば嫌かも知れないんだし、それは言いとして問題なのは部屋での沈黙だ前から何となくは分かっていたが…セレスは全くと言って良いほど喋らないと言う事が分かった、まぁ喋るときは喋るけど普段からそんなに喋る人ではないらしい、自分も率先して話し掛ける方でもないせいで…部屋には変な緊張感が張りつめている、自分から喋った方が良いのだろうか?でも…セレスは貴族だし何か気に障るような事をして追い出されてでもしたらと言う思いで何も出来ずに膠着状態が続いている…まぁ自分の所はカーテンで仕切られていてプライバシーが守られる様になっているし、こっちからもセレスの所は見えない仕様なので双方喋らなくても自分のスペースに行ってしまえばそんな苦でもないけど…それでも、たまにセレスが何か言いたそうな顔をするが自分も勉強やら授業の復習で大変で構ってられない。でも良い事もあった、それはクラスメイトが自分に話しかけてくれる人がいて嬉しかった。クラスの皆はスノッブ達みたいに自分の存在が嫌だと思っていたけど、そんなに嫌われて居ないと分かって嬉しかった、でも相変わらずスノッブ達からの嫌がらせはあるけど、それほど気にならなくなっていた、今一番大変なのは授業だし…産まれてこのかた働く事しかしてこなかった人生だったせいで勉強のべの字も知らなかった常識な事ですら分からない…こんな事では皆に迷惑かけてしまう…必死に足だけは引っ張らない様にと勉強をしている、分からない事があればラゴ達が一緒に教えてくれる、中々スパルタで根をあげそうになるけど、なんとか頑張っている。

その日も何とか授業が終わろうとした時オッペンハイマー先生が思い出したように


「そうでした…皆さんに言っておかなければいけない事がありました、来週に新入生合同でオリエンテーリングが行われます」


オリエンテーリング?ラゴ達に向き


「何、オリエンテーリングって?」


ああ、と


「オリエンテーリングって言うのは簡単に言うと遠足みたいなもんだよ、地図と時計とコンパスを持って野山に設置されたチェックポイントを通りながら時間を競うものだよ」


「へーそんなのがあるんだ?何だか楽しそう」


感心してると、モモとエンデが嫌そうに


「えー…オレあれ嫌いなんだよな!ただ真っ直ぐにゴールすればいいじゃなくて、チェックポイントが一々面倒なんだよな~きちんと通過しないといけないのがな…」


はぁとモモがため息を付き


「そうなんだよね~山道だからぬかるんだ道とかあって歩くの大変だもん…ボクも嫌い」


どうやらクラスの皆も同じ考えなのか教室から不満が起こっている。それにオッペンハイマー先生は手を叩き


「ハイハイ、皆さんが嫌なのは分かりましたが、これは新入生がやる恒例行事なので我慢して下さいね!それで皆さんには各グループになって貰いますが、それはこちらがクジで決めさせてもらいます」


するとまた教室から


「えー!勝手に決められるの?私知ってる子と一緒が良いのに!ダメなんですか?」


「そうだよ、まだ良く知らないのに…」


誰と一緒になるのか分からない不安でざわめいている、そんな事をお構い無しにオッペンハイマー先生は我関せずにクジを用意している、自分達も


「ボク達もバラバラになるって事かな?大丈夫かな他の人とうまく出来るかな?心配だよボク」


「ああ、それもあるけど、あいつらとだけは勘弁して欲しいぜ間違ってもスノッブ達と一緒だけは嫌だ!」


エンデの言葉にラゴとモモと一緒に頷いたが、うまくいかないのが人生なのか…それとも自分の運の悪さはだてじゃないのか…よりによって…スノッブ達3人と一緒のグループになってしまった、これにはクラス全員から同情されてしまった、ラゴ達にも心配され、ラゴ達3人は同じグループなのに…一体どうなっているのだろうか…よほどクジ運が悪いのかと一人悩んでいると


「オイ!聞いてんのか!」


怒鳴る声で慌てて振り返ると、スノッブ達が自分を睨んでいる、もう気が重い…嫌々


「何ですか?」


フンと腕を組ながらスノッブが馬鹿にしたように


「何がじゃねーよ!くれぐれもオレの足を引っ張んなよ!わかってるのか!田舎者」


スノッブの嫌味に言葉に見ていた2人もニヤニヤと


「オイ!何だ?口も聞けないのか?スノッブさんがおっしやってるんだぞ!喋れよ」


「そうだ!生意気な奴だな!ちゃんと言えよ!」


大声でクラス中に聞こえるように言い、クラスメイト達もチラチラとこっちを気にしている。それに気を良くしたスノッブ達は収まる様子が無い。仕方無く


「…分かりました。」


言うと、スノッブは顔を真っ赤にし


「ああ!何だその口の聞き方は!オレ様はなぁ!お前みたいな人間が口を聞ける人間じゃ無いんだからな!いい気になるなよ!」


ネチネチと嫌味を言われ、別にこっちだってお前みたいな人間と一緒だなんて願い下げだと心の中で考えていると心配そうにしているラゴ達と目が合った。ラゴ達は今は我慢だと言う目でこっちを見ている。はぁとため息が出てスノッブに頭を下げ


「あの、すいませんでした、スノッブさん達の足を引っ張らないようにしますから、自分も宜しくお願いします」


言うとスノッブは気を良くしたのか、満足そうに頷き


「それでいい」


勝ち誇った顔で言った。このオリエンテーリングが終わるまでの辛抱だと自分に言い聞かせた。

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