衝突
「へぇ?ようやく本気って所かい^^」
チャンは激昂しオーラを全開にまで引き出したインフェルノカイザーの圧力を受けてでさえ、顔色変えず微動だにしなかった。
その笑顔はまさに恐怖を超え、気味が悪いと言ったところか。常人には理解できない。
しかしインフェルノカイザーにはそんな事どうでも良かった。
インフェルノコンボ―暗黒十斬―それを邪魔し得、更に自身と対等に渡り合えそうな敵―それを見、カイザーの中には憤怒の奥にうっすらと期待が見えた。
正味クリスとの戦いは自身が圧倒的に上回っていた事はカイザー自身にも把握できた。それはインフェルノカイザーが実際に戦い、物足りなさを感じたのも決定的な一因である。
「テメェの様なうざったらし~野郎は分からせてやんねぇとな!」
真の闇のオーラを最大限にまで引き上げたインフェルノカイザーの姿は一瞬にしてその姿を消した。
直後、チャンの背後に回っていた。黒転移である―しかし前の黒転移とは速さが違う。
一瞬で敵の背後を取るという技だが、使用後(ワープ後)に若干の隙を要するのがこの技の弱点、相手に気付かれればすぐに間合いを取られる。
しかしこのカイザーの黒転移、その弱点を完璧に克服している。隙が全く持って皆無。
チャンは察知すらしていたものの振り返る間も無くカイザーの拳を頬に受ける事となる。
ズザアアアアアアアアッ!
闇の掌底を受けたそのチャンは地を滑り、コンテナに激突する。コンテナにはヒビが入る程の衝撃であった。
しかし、頬にブスブスと煙を立てている闇のオーラを残しながらもチャンは笑顔を絶やさない。不気味―まさにその三文字である。
「くっくっく^^そう来るかと思ったよ^3^」
「攻撃を喰らってる癖にこの余裕は何だ…?しかし妙にうざってェ!それならばもう一度喰らいやがれッ」
シュンッ!
直後、チャンの周囲に膨大な光のオーラが突如現れた。
その光のオーラはチャンの身体を纏い、チャンの身体は黄金色に染まった。
「天衣~ヘブンズクロス~」
シュンッ
カイザーはチャンの数メートル先に現れる。
「あぶねェ…光に飲まれる所だったぜ」
「へぇ…?また背後に回るかと思ったからこれを喰らわせてやろうと思ったけど^^どうやって分かったのかい^^」
「はっ、闇使いの第六感ってとこよォ!」
インフェルノカイザーはチャンの周囲にヤミノマを放った。
「あいつ…ヤミノマを直接当てずに…?!一体何を」
インフェルノカイザーの奇怪な行動に雑魚を処理し終えたダークウルフは、一つ距離を置いた所でその様子を眺めていた。
驚く事はヤミノマを直接チャンに当てる事ではなく、周囲に放ったことである。
闇使いにとってヤミノマとはいわゆる必殺技のようなものである。かめはめ波であり霊丸であるのだ。
つまりは多大なエネルギー量を消費する(といっても今のカイザーにとってヤミノマはそれ程エネルギーを消費するものでもないが)ものである、必殺技を牽制で使うものである。
しかしヤミノマを直接チャンに放ったところで光のオーラで掻き消されるのがオチであろう。
「目くらましか何かで使ってんじゃねぇか?煙幕みたいにな」
エルリークも斧を地に下ろし、そう言った。仲間と言えど斧兼ドラゴン使いにとって闇とは無縁の代物であるため、軽くそう言い放つ事が出来た。
「信じらんねェ…あいつ、ケタ違いに強くなってねぇか?」
ダークウルフは地獄の山菜取りで己の精神力を底上げしたつもりであったがインフェルノカイザーは遥かにそれを凌駕していた。
まさに、全てを飲み込む闇―ダークウルフは友の存在が段々と自身を飲み込んでいくような気がした。
いや…離れて行くといった所か…。
「おやおや^^これじゃぁ辺りが見えないなァ…どうしようかな^^」
チャンディオールの視界は真っ暗だ。ヤミノマにより空間は一時的に闇に飲まれる。しかしチャンはこんなヤミノマ等掻き消すのは容易だ。
チャンが拳を上に掲げる。すると黄金色に染まったそのチャンの身体からオーラが爆発。辺りの闇は光に掻き消された。
チャンの天衣は衣のような光のオーラを纏う技だが、チャンの意図によりそれを解放し周囲に強烈な光のオーラを放つ事も可能だ。
勿論その威力は計り知れない。あのインフェルノカイザーのヤミノマを掻き消すレベルなのだから。
しかし…掻き消したはいいが、インフェルノカイザーの姿が見当たらない。
(ヤミノマで目くらまし、そして姿を消そうって戦法…安いねぇ^^)
チャンの目から光のオーラが放たれる。
「光視―ロックオン」
チャンの視界は真っ白に染まった。
その中に、光速で移動する黒い影が目に捉えられた。
勿論これがインフェルノカイザー。チャンはニヤリと笑うと球状の光のオーラを放った。




