オジャー魔女
「ハッハァ!」
クリスは高く舞い上がり、インフェルノカイザーの上を取った。
インフェルノカイザーは見上げるが、太陽が眩しくてクリスを視界に捉えることができない!
「十連槍ッ!」
クリスの周辺に十本の槍が召喚され、それらがインフェルノカイザーに向かって勢いよく放たれた!
インフェルノカイザーは静かに目を閉じる。
「己と向き合って分かった事…それは俺の…諦めない心!」
Never give up!
シュンシュルシュンシュン
インフェルノカイザーは雨の様に降り注ぐ槍を隙間風の如く全て避けた。
クリスはチッと舌打ちをし、地に着地する。
インフェルノカイザーは勢いを止めず
「覚醒―バーストォッ!―」
インフェルノカイザーの右腕に再度、凄まじい量のオーラがまとわりつく!
それはまるで黒い巨塔…DDTのような…。まさに、闇使い。恐ろしい逸材である。
「ほう…オーラ量が前よりはるかに増加している。そして…精神も…」
クリスは前戦った時のインフェルノカイザーよりも遥かに今のカイザーは強くなっているという事を確信した。
槍を召喚し構え、慎重にカイザーの動きに対応する。
「喰らいやがれッ!これが覚醒の新技!暗黒十斬ッ!!」
「モノォッ!」
キィンッ
初動、一発目。凄まじい速さで突進し、その剛腕なる右腕で払う。
クリスは何とか槍でそれを受け止めるが、反動で後ろに下がる程だ。
「ジイッ!」
キインッ
「トリッ!テトラァァァァ」
キンキイインッ!!
(何という凄まじい連鎖…!?何とか隙を見て脱出を図らねば)
「ペンタァッ!!!」
カイザーが右脚で槍を跳ね上げた。
その一瞬のクリスの思考が身体に一瞬の隙をカイザーに許す事となった。
「ここからが本番だァァ!ヘキサァッ!」
ドゴオオオオム 鳩尾に右腕がクリーンヒット。
クリスは吹っ飛ばされるが、吹っ飛ばされたクリスのスピードよりも遥かにインフェルノカイザーのスピードが超越、吹っ飛ばされるクリスを追い抜き
「ヘ・プ・タ」
ドゴム!!
かかと落とし。
「オクタ!!!」
闇の弾丸を八発噴出。
「ノナッ!!!」
九尾の如くしなやかな手つきで地に叩きつけられたクリスにヤミノマを放つ。
そして
「デカ…」
インフェルノカイザーの身体が輝く。
ドゴオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!1
そして、大爆発。
「暗黒十斬…!?あやつ、どうしてその名前を…?」
永遠の闇は驚嘆する。
暗黒十斬とは並の闇使いには使いこなす事はできない隠された奥義。
B級技の暗黒五斬はその難易度、テクニックの高さにおいて有名だが、これは割とメジャーな技である。
インフェルノカイザーはその暗黒五斬を体得しておりなおかつ真の闇使いともいえる程の闇のオーラ量かつ精神力、器をかねそろえているが、永遠の闇はカイザーに暗黒十斬を教えていない。
更に、これを教える者もいない。
何故なら暗黒十斬はインフェルノカイザーの父のみが使えるいわばオリジナル技。それも父はその技は封印した筈だった。
「一体何処で…ワシも見た事が無いというのに…。しかしあの技…難易度からすればA級。いやSもありうる…」
永遠の闇はインフェルノカイザーを眺め、その背中が父に見えてきた。
「いやぁ…なかなか素晴らしいコンボを見せていただいた」
「!?」
気がつくとクリスはインフェルノカイザーの眼前にいた。
しかし衣服はズタボロである。幹部の患部が露出されている。
「あの技を喰らって、それでもなお立っているとは…思ったよりやるな」
「クク…私も驚きましたよ。貴方が、この短期間で此処まで成長している事に、ね…」
「もう一度、喰らわせてやろうか?テメーは色々やってくれたからな」
「フフ、自信にあふれている…力を手にした事は嬉しいでしょう、しかし」
クリスの身体が太陽の様に急に眩い光を放つ。インフェルノカイザーは思わず顔を手で覆った。
―その自信、力が時に最悪のシナリオを手掛ける事になるのかもしれない。くれぐれも気をつけるよう―
光が止み、目を開けるとそこにクリス・ディオールの姿は無かった。




