隅田川のスペシャリスト
「俺に闇を…教えるだと?」
圧倒的闇オーラの前にインフェルノカイザーはただ立っていることしかできなかった。
老人は
「そう…お主はまだ闇というものの本質が分かっておらぬ…1mmもな」
「クッ…俺は闇の中で生きてきた男だぞ?お前みたいな根も葉もないジジイに…」
「黙れェ!!」
ドゴオオオオオ
「うごォ」
「髪くらいあるわ…雑魚が」
パサァ
老人は白髪を撫でながら言った。
「ククッ、さて本題に戻ろう…お主は本物の闇というものを、見たことがあるのか?」
「当たり前だ。生まれも育ちも闇の世界だ、見ているのは闇ばかり、お前は一体何者なんだ?」
「ワシは闇の世界の住民だが此処ブルジョワシティに移住した者だ」
「ほう…で、その住民が俺に何の用だ?」
「本物の闇を見せるっつったろ!!」
ブオワアアアアアアアアア
「とんでもない闇のオーラ…インフェルノカイザーをも凌駕している!」
ダークウルフはこの老人の油田のような闇のオーラにただ圧倒されている。
エルリークも、腰を抜かしていた。
「ハン、それがどうした!俺に闇を教える?馬鹿馬鹿しいぜ!じゃあな」
「こすかやつやのー!!こいつはどげんかせんといかん!!」
ドガアアア
「クッ…!」
「言うことばききんシャイ!!」
ドガッドガッ
「うっ…」
バタリ…
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「う…んん…」
「目覚めたようだなインフェルノカイザー」
目が覚めるとダークウルフがインフェルノカイザーを覗きこむようにして心配そうに佇んでいた。
「此処は…」
「あのおじいさんの家だよ。お前、じいさんに鳩尾キックされてから失神してたんだ」
「マジかぁ…」
インフェルノカイザーは項垂れる
こんな老人に負けるとは思ってなかったからだ
「しかし、お前どうしたんだ?普段は鳩尾に銃弾100発撃たれてもなお立ち上がろうとしていたのに、老人のキックだけで飛んじまうとは…」
「ああ…俺もよく分からにい…あのジジイ、何かとてつもない闇のオーラ…いや、闇のオーラだったのかも分からない程だ」
「その通り、闇とは闇であり闇なのじゃ」
老人がやってくる
「クソジジイ!!」
インフェルノカイザーが襲いかかろうとする。
「やめろインフェルノカイザー!お前に勝ち目はない」
「血の気があるのォー!お主そんなことでは世界は救えんぞ」
「え?」
インフェルノカイザーは驚いた様子で振りかぶっていた拳を収めた。
「なぜ、俺が光の連邦軍を倒す為に旅を続けていることを知っているんだ?」
インフェルノカイザーが質問する。
「ククッ闇の住人は全てお見通しなのだ」
(この笑い方…まさか、おじいちゃん…?!)
「ワシはある人物から遺言を承っていた。そう、お主のジジイじゃ…」
「えっ…」
インフェルノカイザーは戦略した。なぜならおじいちゃんはまだ生きていると思っていたからだ。
父からはおじいちゃんは闇の老人ホーム「暗黒会」でゆっくりと老後を暮らしていると伝えられていた。
「馬鹿な…おじいちゃんは暗黒会にいるはず…」
「……残念だったな。お前のおじいちゃんは死んだ。四年前、風呂場で足を滑らせてな…」
「クソッ…!!なんで、助けてやれなかったんだ…!!」
インフェルノカイザーは涙を流す。
ダークウルフは黙って見ていることしかできなかった。
「…で、カイザーよ、お主が祖父を嘆く気持ちも分かる…だが、主には時間がのうて…わしゃアイツからインフェルノカイザーが来たら真の闇というものを教えてやれと伝えられた」
「真の…闇?じゃあ今までの闇は何だったんだ?」
「お前は、闇とは何か分かるか?言ってみなさい」
インフェルノカイザーは驚愕した。なぜなら、闇というものが何なのか分かっていなかった、いや、説明できなかったからである。
「…闇っていうのは、こう、黒くてモワモワ…いや、そうじゃなくて…」
「要するに貴様は感覚でしか闇を感じていない…それは見せかけの闇、所謂偽りの闇というやつじゃ。これは他の闇でもない住民が『ウオオオ俺の左手が唸る』って言ってるのと同じことじゃ」
「…!!」
更に老人は続ける。
「真の闇について知りたければ、外に来い…。だが、飲まれてもわしゃ知らんぞ」
そう言うと老人は扉を開け外に出て行った。
「真の…闇?それじゃあ、俺の闇も偽りの闇だった…ってことか?」
ダークウルフが両手を眺めながら言う。
「そうみたいだな…ウルフ、お前真の闇って何か分からないか?」
「ああ…だが、確かに俺は疑問に思っていたことがあった。本当の闇ってなんだろうってな…」
「ククッ…どうやら俺達はまだ闇の住人になりきれていなかったらしい。さあ、いくぞ」
「俺はどうすればいいんだ?」
エルリークが言う。
「そこにいろハゲ」
「おう」




