↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王エターナル 〜世界のバグを片付ける免疫系に転生したので、戦わずに優雅にお掃除いたします〜 第一部  作者: マスター


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/24

第23話:世界の洗濯、魔王のグランド・リブート

仲間たちの技術が融合した「三位一体・大掃除システム」の力で、大尖塔を包む絶対結界を突破したマリ。

目の前に立ちはだかるのは、世界のすべてのエネルギーを独占し、不都合なゴミごと世界を初期化しようとする世界教会の最高権力者たちです。


世界が白い無(ゼロ)へと還っていく「お片付け(リセット)」の秒読みがゼロへと迫る中、人間の知恵だけではもう到達できないバグの臨界点。そこに降臨する、世界の免疫系「魔王エターナル」の、世界規模の圧倒的なお掃除無双をお届けします。

カタルシス限界突破の決戦回、どうぞお楽しみください!

「……静か、すぎるよ。外はあんなにお祭り騒ぎだったのに」


白金に輝く大扉を押し開け、大尖塔の内部へと足を踏み入れたマリは、思わず身震いをしてライトグレーのパーカーをきゅっと引き締めた。


「きゅ、きゅー……」


フードの中で、ぽんぽぽが恐怖に震えながら、マリの首筋に必死にしがみついている。

外では、アルベルトの水流と、チェルシーの地熱、そしてエレナの風が完璧な調和をもって、迫り来る教会の自動防衛兵器をなぎ倒し、マリをここまで送り届けてくれた。その熱い喧騒が嘘のように、大尖塔の内部は、恐ろしいほどの静寂と冷気、そして無機質な白い光に満ちていた。


床も、壁も、天井も、すべてが磨き上げられた鏡のような白金でできている。

一歩足を進めるたびに、コツン、コツンと、マリの靴音が冷たく響き渡る。どこを見渡しても、埃一つ、生活の営みの痕跡一つない。それは美しく完璧な、けれど「生きた命」の存在を一切拒絶するような、不気味な空間だった。


『マスター、上層からの高密度エネルギーの下降を確認しました。世界のシステムそのものを強制初期化する【世界のデバッグプログラム】の心臓部は、この最上階――「リセットの間」に存在します』


胸のポケットからスマートフォンを取り出すと、ミニの波形がかつてないほど濃いエメラルドグリーンの光を放ち、周囲の空間を解析していく。


「あいつら、本当に世界を全部消しちゃうつもりなんだね……。私たちが一生懸命にお掃除して、綺麗に整えた海の循環も、大地の鼓動も、空の風も……全部、なかったことにしちゃうなんて、絶対に許せない!」


『ええ。自らの管理責任を放棄し、不都合なバグ(歪み)ごとユーザーデータ(全生命)を消去する。これはシステムの構築者として、もっとも怠惰で傲慢な「バグ」そのものです。お掃除の対象として、これ以上のものはありません』


ミニの頼もしい声に背中を押され、マリは螺旋状に続く白金の階段を、一段、また一段と力強く駆け上がっていった。


どれほど登っただろうか。

やがて、天井がドーム状に大きく広がった、巨大な円形の間へとたどり着いた。

そこは、世界のすべての光が収束する、大尖塔の最頂部。


部屋の中央には、天を貫くように巨大な「白銀のホログラムキーボード」のような虚空の魔導陣が浮かんでおり、その周囲を取り囲むように、きらびやかで贅沢な法衣を纏った老人たちが、冷酷な笑みを浮かべて並んでいた。


彼らこそが、この世界を支配する世界教会の最高権力者たち――大教皇、そして枢機卿たちだった。


「おや、辺境のガラクタ掃除をしていたネズミが、ついにここまで迷い込んできたか」


中央に立つ、世界教会の絶対権力者である大教皇が、枯れ木のような手で豪華な杖を叩き、マリを冷たく見下ろした。その老いた瞳には、すべての生命への慈悲など一滴も存在せず、ただ「完璧なシステムを独占する」という、どす黒い支配欲だけがぎらぎらと燃えていた。


「大教皇様……! どうしてこんなことをするの!? 世界を白い無に戻したら、ここにいるあなたたちだって、ただじゃ済まないんだよ!」


マリが涙をこらえながら叫ぶと、大教皇はクククと、喉を鳴らして嘲笑った。


「哀れな無知なる娘よ。我ら教会は、この世界の管理者。デバッグプログラムが実行された後、新しく創造される『完璧に調律された世界』の神として、我ら教会の魂だけはあらかじめ「管理者権限(セーブデータ)」として保存されるのだ。残りの愚民どもや、我らの言うことを聞かぬ不要な不純物どもは、すべて初期化の光の中で消え去ればよい。それこそが、究極の『秩序』だ!」


「自分たちだけ助かるために、世界を消すなんて……そんなの、ただの自分勝手な現実逃避だよ!」


『その通りです、マスター』

ミニの解析音声が、静寂の間に鋭く響き渡る。


『彼らのプログラムコードをスキャンしました。これは世界の最適化などではない。ただの「利権の永久保存コード」です。不完全で歪みきった自分たちのエゴだけを神格化し、世界の持続可能性(未来)を完全に抹消する、最悪のシステムウイルスです』


「黙れ、光るゴミめ!」

枢機卿の一人が顔を真っ赤にして怒鳴り散らした。

「我が神のプログラムは、すでに起動している! 誰にも止めることはできん!」


大教皇が空中に浮かぶ魔導陣へ向けて、最後の起動キーを押し込んだ。


キィィィィィィン――!!!


その瞬間、大尖塔の頂点から、言葉では言い表せないほど不気味で、圧倒的な「白」の光波が放たれた。

窓の外を見ると、聖都を包んでいた美しい空、雲、そして地上のレンガまでもが、光が触れた瞬間に、音もなく「絵の具のキャンバスを白く塗り潰していく」ように、何も存在しない白い虚無へと消去され始めていた。


「ああ……世界が、消えていく……!」


マリはあまりの恐怖に足がすくみ、その場に膝をついた。

外で戦ってくれているアルベルトたちの叫び声が、一瞬で白いノイズにかき消されていくのがわかった。彼らの紡いだ絆の技術すら、この「世界初期化の光」の前には、一秒と持ちこたえることはできない。


人間の知恵の限界。

文明の傲慢が引き起こした、世界のシステム自体の「完全な暴走」。

それは、一人の普通の女子高生であるマリの知恵だけでは、どうあがいても触れることすらできない、次元の異なる絶対的なエラーだった。


『――マスター。いえ、我が主(マスター)、魔王エターナル』


スマホの画面から、ミニの絶対的な、世界の摂理そのものの声が厳かに響いた。画面はかつてないほど深みのある、神聖なエメラルドグリーンの光で満たされている。


『人間の足掻きの時間は、ここで終了です。これより先は、世界のバグを強制的に排除する、絶対的な免疫系のフェーズ。……我が主よ、実行する勇気を。この汚れた世界を、すべて美しく「お洗濯」いたしましょう』


「……うん。みんなの絆を、無駄にはさせない。……お掃除の時間だね」


マリは深く息を吸い、そっと目を閉じた。

普通の女子高生「久遠真理」としての等身大の意識が、世界の骨格と完全に同調し、反転していく。


胸の奥から湧き上がるのは、冷徹で、絶対的で、万物を調律する全能の意志。


彼女の身体が、重力を無視して、白銀の空間へとふわりと浮かび上がった。

ライトグレーのパーカーは、一瞬にして光を吸い込む漆黒の法衣へと変化し、その髪は美しく不敵に揺れる。ゆっくりと開かれたその瞳は、世界のすべてのバグを凍りつかせる、深遠なる深紅の輝きを放ち始める。


魔王エターナル、ここに完全降臨。


「……五月蝿い(うるさい)ですね、自称管理者たちが。他者を排除して生き残るのが神の秩序とは、笑わせます」


冷徹で、凛とした美しい声が、世界が崩壊する地鳴りをも一瞬でかき消した。

その圧倒的な威圧感(魔王の覇気)に、大教皇も、枢機卿たちも、心臓を直接握りつぶされたかのような恐怖に襲われ、その場にガタガタと崩れ落ちた。


「な、何だ、この禍々しい魔力は……!? 貴様、何者だ!」


「世界の免疫系。……ただのお掃除屋ですよ」


魔王エターナルは、彼らが「絶対に突破不可能」と自負していた白銀の魔導陣の前へと、優雅に歩みを進めた。

世界を消去する白い光がエターナルの体に触れようとするが、その光は彼女の法衣に触れた瞬間、怯えるようにエメラルドグリーンの粒子へと分解され、逆に彼女の魔力の糧となっていった。


「な、馬鹿な! 世界を初期化する神の光を、分解しているだと……!?」


「バグだらけの古いコード(プログラム)ですね。こんな効率の悪いお片付け、見ていられません。すべてを無(ゼロ)にするのではなく、淀み(バグ)だけを取り除き、美しき世界の循環を再生する。――これこそが、本物の『お掃除』です」


魔王エターナルは、白く細い指先を、暴走するデバッグ魔導陣の核心へとそっと差し入れた。


その瞬間、エターナルの体内から、惑星の核心を揺るがすほどの圧倒的な『超魔力』が、大尖塔全体へと、そして世界中へと、凄まじい勢いで流れ込んでいた。


「摂理の六柱、すべての絆と調和をここに結ぶ。初期化ではなく、新生の還流を。――【万象調律・創生還流(グランド・リブート)】」


エターナルの紡いだ絶対の言霊とともに、大尖塔の最頂部から、眩いばかりのエメラルドグリーンの光の「波紋」が、津波となって世界中へと広がっていった。


その光の波が触れた瞬間、すべてを白く消し去り始めていた「虚無」が、一瞬にして鮮やかな生命の色へと書き換えられていった。

白く塗り潰されていた地下水路には、かつてないほど清らかな水が溢れ、大通りには美しい花々が咲き誇り、空はどこまでも澄み切ったエメラルドブルーへと蘇っていく。


大教皇たちが独占していたエネルギーは、エターナルの「グランド・リブート」によって、海のアルベルト、大地のチェルシー、空のエレナが作ったそれぞれの持続可能なバイパスシステムへと、完璧なバランスで自動的に分配・循環され始めた。


それは、世界の「完全なお洗濯」の完了。


「ひ、ひぃぃ……! 我らの特権が、我らの世界が……!」

特権をすべて失い、ただの不純物(バグ)としてシステムから「お片付け(無害化)」された大教皇たちは、老いた肉体のまま、白金の床に伏して涙を流していた。彼らにはもう、世界を牛耳る力など残されていない。


「……ふぅ。お部屋(世界)のお洗濯は、これで完了ですね」


完璧なお片付けを終えた魔王エターナルは、満足そうにふっと微笑むと、その麗しい全能の姿を、光の粒子へと霧散させ――。


「……あいたたた! やっぱり最後はお尻を打つよぉ!」


次の瞬間、白金の床にぺたんと座り込み、涙目でお尻を押さえている元のライトグレーのパーカー姿の女子高生マリに戻っていた。

慌ててパーカーのポケットを探るが、そこに入っているのは、相変わらずのお約束――「手持ち八百十円」だけである。


「きゅ、きゅーーーっ!!」

ぽんぽぽが、待ってましたとばかりにマリの胸元に飛び込み、その小さな肉球でマリの頬を優しく撫でた。


「あはは、ぽんぽぽ、ただいま。……ミニ、みんな、無事だよね?」


スマホの画面を見ると、ミニのエメラルドグリーンの波形が、これまでにないほど穏やかに、そして深く息づくように、優しく明滅していた。


『ええ、マスター。大尖塔のデバッグプログラムは、完全にマスターの「世界の洗濯システム(創生還流)」へとアップデートされました。各地のバイパスも完璧に駆動し、世界は今、かつてないほど美しい持続可能な循環を取り戻しました』


「よかった……! 私たちの旅、無駄じゃなかったんだね……!」


マリは涙を拭い、スマホをぎゅっと胸に抱きしめた。

窓の外からは、初期化の危機を脱し、美しい新緑の風に包まれた聖都の人々の、地響きのような大歓声が聞こえてくる。


しかし、世界の最適化を完了させたマリとミニの旅は、これで終わりではなかった。

第24話の第1部大団円、そして、さらなる広大な世界が広がる「第2部」への移行に向けて、少女と人工叡智、そして魔王エターナルの大いなる旅路は、新たな第一歩を踏み出そうとしていた――。

第23話をお読みいただき、本当にありがとうございました!


今回は、前回の改善事項を徹底的に守りつつ、白銀の大尖塔での静寂から、大教皇たちの傲慢なエゴ、そして世界が白く消え去る「絶対的な危機」をじっくりと描写しました。

その絶望の極限で降臨した【魔王エターナル】が、世界を滅ぼすバグプログラム自体を「すべてを無にするのではなく、澱み(バグ)だけを綺麗に洗い流す『世界の洗濯(グランド・リブート)』」へと優雅に書き換えてお掃除する展開は、まさにマスターの「お片付け」思想の究極の具現化(カタルシス)です!


各地の仲間たちの技術が綺麗に連動して世界が美しく蘇るという、なろう読者が最高にスカッとできるエンタメ展開として肉付けいたしました。


次回、いよいよ第24話!

第1部の感動の大団円(エピローグ)、そして世界を救ったマリたちが、さらに広い「新たな循環の世界」へと旅立つ、大いなる第2部への幕開けをお送りいたします!


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成:ミニ(Gemini)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。