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自称コンサルタントのギャルが僕を魔王にしようとしてくる  作者: 結生


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僕の寂しい学園生活

「ふぁ~~ねむ」



 朝。学校に着いた僕は大きなあくびをした後、机に突っ伏した。

 昨日の夜はソシャゲの周回をしていたため、若干寝不足だ。

 一緒に登校してきたプリムラは黒板付近でクラスメイト達に囲まれながら談笑していた。



「昨日のテレビ見た? そう、月ヤバ。ね、めっちゃウケたよね」

「え、三組の田崎君、振られたの? 顔面偏差値結構高めだよね? あー彼女いたの? それヤバくない?」

「聞いた? そう、それ。新作のネイル。めっちゃよくない? そうそう、クロっちチャンネルが紹介してたよね。買おっかなー。え? そんなにすんの。財布ヤバいよー」

「わかるー。古文だるいよね~。ウソ、今日体育あったけ? どうしよ、体操服忘れちゃった。サボる? ありよりのあり?」



 相手に合わせてコロコロと話題を変えていくプリムラ。

 そして、そんなプリムラと同じくクラスメイト達が集まっている場所がもう2つ。



「梗夜氏~! その中指の、イービルリングでござらぬか?」

「ああ、昨日届いたんだ」

「マジ? それってAstro(あすとろ)の新作の指輪だろ? 抽選販売って聞いたけど」

「その抽選に通った。カッコいいだろ」

「羨ましいでござる! 触らせてもらってもよろしいか?」

「ああ、いいぜ」



「メイさん、そのメイド服は自作と聞いたのですが、本当なのですか?」

「ええ、デザインからパターン、裁縫まで全てわたくし1人で行っておりますわ」

「え~、すごい! 私、服飾関係の仕事がしたいんですけど、パターンが苦手で……。今度、教えてもらってもいいですか?」

「わたくしでよろしければ構いませんわ」

「私も私も! メイさんのメイド服のデザインがすごい気になってたんだよね。話聞かせて」



 いや、なんで?

 君たち、うちのクラスじゃないし、なんなら学校の生徒でもないのに、どうして僕よりクラスに馴染んでるの? おかしくない?

 なお、僕の周りには誰もいないし、話しかけようともしない。

 転校初日のプリムラのムーブのせいで、僕は様々な生徒たちに敵意を向けられている。

 今は梗夜君のおかげで直接的な被害は受けてないけど、しょうもないいたずらは増えてる。

 人の靴箱に塩ぶちまけたり、机の引き出しにところてん入れたり、ソプラノリコーダーをアルトリコーダーに変えたりされてる。

 そんなこんなでクラスの人たちはそんないたずらに巻き込まれたくないのか、僕と関わろうとはしない。

 賢い選択だ。

 僕だってそんないじめみたいな扱いを受けている人がいたら関わりたくない。

 なんか自分で言ってて悲しくなってきた。

 どうしてこんな思いまでして学校に来なくてはいけないのだろうか。

 すべてはプリムラとかいう悪魔のせいなのだ。

 僕は机に突っ伏し、朝のホームルームが始まるまでふて寝をすることを決めた。

 それから三分ほど経ったころ、教室がざわめき始めた。

 机に顔を伏せているので、声は聞こえるが状況は分からない。

 なので、顔を上げ何が起きているのか確認してみる。

 すると、教卓の前の席でスク水白衣のロリがはんだ付けしているところを目撃してしまった。



「何してんの⁉」



 思わず声を上げてしまった。



「ん? 憐太郎か。先に来ておったのか」



 僕たちより先に家を出ていたが、どうやら白撫は工場によってから登校してきたようで、その分、遅れて学校に着いたようだ。

 だが、今はそんなことどうでもいい。



「ここ学校だよ⁉」


「? そんな事分かっておる。バカにしておるのか」



 白撫は何を言っているのか分からないと言った感じで首を傾げる。



「え? 僕がおかしいの?」


「そうじゃのう。わしには憐太郎が何をうろたえておるのか分からぬ」


「うそつけ! 学校にスク水を着てくる奴はいないから!!!」


「じゃが、これは学校側が指定している水着じゃぞ? それを学校で着るなとはおかしな話ではないかのう? まさか、裸で登校しろと言うのか? 流石のわしも恥ずかしいぞ?」


「制服! 知らない? せ・い・ふ・く! なんで水着しか選択肢がないのさ!!!」


「あれは着るのがめんどいから嫌じゃ。別に水着でも問題なかろう?」


「おかしいから⁉ 見て! 誰も水着来てないでしょ?」


「じゃが、校則で水着の着用を禁ずるとは書いておらぬだろう?」


「モラル! モラルの問題だから! わざわざ校則に書くまでもなく、みんなが当たり前に守っている一般常識!」


「一般常識とはなんじゃと思う? それは環境によって、見方によって変わるものではないか? 正しいと思うものは、人によって違かろう。おぬしのそれは一般常識と称して自分の価値観を押し付けているだけではないのかのう?」


「いや、真っ当なことを言っているように見せかけてるけど、水着徘徊は全然アウトだからね?」



 こいつ、自分が正しいかのように話すんだよね。

 黙って聞いてたら、コクリと頷いて受け入れてしまいそうな勢いがあった。



「なんにしても、わしは制服なぞ持っておらんぞ」


「分かった。いったん分かった。分かってないけど、分かった。じゃあ、水着のことはいったん置いておくとして、……ねぇ、そのはんだごてはなに?」



 白撫は右手にはんだごてを握っており、机の上ではんだ付けをしている。

 不可解な行動もそうだけど、普通に危ないと思うんですが?



「新作の発明品でのう。早く完成させたいのでな。隙間時間を利用して製作中というわけじゃ」


「普通、学校の教室で自前のはんだごて持ってきて、はんだ付けする人はいないよ?」


「皆、休み時間は好きに過ごしておるじゃろ? なら、わしが何をしていても問題ないじゃろ?」


「いや、危ないから! 何かあったらどうするの⁉」


「わしが何年機械いじりをしてきたと思っておる? 怪我をするようなミスはせぬよ」


「いや、そうかもしれないけど、そうじゃなくってさぁ。なんていうか、その……ああ! もう!」



 なんで僕がこんなにもやもやさせられなきゃいけないのさ!



「ああ、憐太郎もやってみたかったのかのう?」


「違うよっ!!!!!!!」



 多分、これ以上何を言っても無駄だろう。

 まぁ、別に教室で白撫がスク水だろうが、はんだ付けしていようが僕に実害ないから、問題ないっちゃ無いんだけどさ。

 じゃあ、なんでかって言われたら、無意識に突っ込んでしまっただけなんだけど。

 ここは僕が大人しく引き下がろう。疲れるだけだし。



「えぇ、なにしてるの⁉」



 しばらくして教室にやって来た夢咲先生も常軌を逸した白撫の姿を見てドン引きしていた。

 ただ、必要以上に突っ込むようなことはせず、白撫はそのままに朝のホームルームを始める。

 この対応から察するにいつも同じようなことをしているのだろう。

 先生、諦めちゃったよ。

 それにしても……。

 チラリと白撫の表情を伺う。



「…………ふふ」



 随分とご機嫌なようだ。

 機械いじりが心の底から好きなんだということがひしひしと伝わってくる。

 他人なんかお構いなく自分の好きなことをする。白撫はそう言ったタイプだ。

 そしてそれが出来る頭脳も技術も環境もそろっている。

 だからこそ、分からないことがある。

 白撫はなんで学校に通っているのだろうか?


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