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レベル1のおっさん、ダンジョン配信を始めたら世界最強だった  作者: tama


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仲間たちの戦い

――世界の外側。


そこに立つ「終焉」は、直人と同じ顔をしていた。


黒い瞳。


白い髪。


そして。


直人と同じ声。


『私は、お前が捨てた「終わり」だ』


「……終わり?」


直人は拳を握る。


『そうだ』


終焉が一歩近づく。


『お前は、世界を何度も書き換えた』


一歩。


『誰かを救うために』


さらに一歩。


『誰かを失わないために』


そして。


『自分が傷つかないために』


直人の胸に、過去の記憶が突き刺さる。


世界のリセット。


天音への殺害命令。


存在の消去。


黒い月。


創造主。


何度も繰り返した選択。


「……分かってる」


『ならば、私を受け入れろ』


終焉が手を伸ばす。


『すべてを終わらせればいい』


「……」


『失うこともない』


『苦しむこともない』


『後悔することもない』


直人の足が止まった。


そのとき。


――ドンッ!


横から巨大な衝撃が走った。


終焉の身体が吹き飛ぶ。


「直人に近づくな!」


天音だった。


右手から放たれた光が、世界の外側を走っている。


直人が驚く。


「天音……?」


「ぼーっとしない!」


天音は直人の前に立った。


「直人だけが戦う必要なんてないでしょ!」


終焉が立ち上がる。


『天音……』


「知ってるよ」


天音は拳を握る。


「あなたが何なのか」


そして。


まっすぐ終焉を見る。


「直人の『終わり』なんでしょ?」


『そうだ』


「だったら――」


天音の瞳が光る。


「私が、その終わりを止める!」


――ズガァン!


光の柱が落ちた。


終焉が腕を上げて防ぐ。


しかし。


その瞬間。


「今!」


ミオが叫んだ。


「未来ミオ!」


「分かってる!」


二人のミオが同時に走り出す。


ミオは左側へ。


未来ミオは右側へ。


「同じ私だからって――」


ミオが笑う。


「動きまで同じだと思わないで!」


未来ミオも笑った。


「それ、私も言おうと思ってた!」


二人は同時に別々の方向へ跳ぶ。


終焉の視線が分かれる。


『……二人のミオ』


その一瞬。


天音が突っ込んだ。


「今だよ!」


「任せて!」


ミオの手から無数の光の糸が伸びる。


糸は終焉の周囲を縛り上げる。


未来ミオは逆方向から、黒い鎖を放った。


「過去の私が作った世界も――」


鎖が締まる。


「未来の私が作った世界も――」


さらに締まる。


「全部、私の人生!」


終焉の動きが止まった。


『……くだらない』


終焉が力を解放する。


――バァン!


光と黒の鎖が砕け散った。


二人のミオが吹き飛ぶ。


「きゃっ!」


「ミオ!」


直人が走ろうとする。


だが。


「来ないで!」


未来ミオが叫んだ。


直人が止まる。


未来ミオは立ち上がった。


口元から血が流れている。


それでも笑っていた。


「あなたは、そこにいて」


「でも……」


「私たちだって――」


ミオが立ち上がる。


「ずっと直人に守られてきたわけじゃない」


ミオは手を広げる。


その背後に。


無数の世界が浮かび上がった。


第一世界。


第二世界。


第三世界。


第四世界。


第五世界。


そして。


存在しなかったはずの無数の未来。


「私は、世界の記憶を管理してきた」


ミオの目が輝く。


「だから――」


無数の世界が、一つにつながる。


「全部の世界を、私が覚えてる!」


終焉の動きが止まった。


『……何?』


ミオが叫ぶ。


「忘れさせない!」


世界の記憶が、終焉へ流れ込む。


笑い声。


泣き声。


出会い。


別れ。


失敗。


後悔。


喜び。


無数の生命の記憶。


終焉が苦しみ始める。


『やめろ……』


「嫌!」


ミオは叫んだ。


「あなたが全部終わらせるなら――」


一歩前へ出る。


「私は全部覚える!」


――その瞬間。


終焉の身体に亀裂が走った。


直人は呆然とした。


「ミオ……」


「直人!」


ミオが振り返る。


「次はあなたの番!」


「……!」


「でも、一人じゃない!」


その言葉と同時に。


観測者の少年が前へ出た。


「僕もいる」


少年は目を閉じる。


世界中の時間が、彼の周囲で止まった。


「僕は世界を観測する」


一瞬。


終焉の動きが完全に停止した。


「だから――」


観測者が目を開く。


「君の次の行動も、観測できる」


終焉の瞳が動く。


『……私を読むのか』


「違う」


観測者は首を振った。


「君の『可能性』を見る」


終焉の周囲に無数の未来が浮かぶ。


終焉が勝つ未来。


直人が負ける未来。


世界が消える未来。


そして。


――全員が生き残る未来。


観測者は、その一つを指差した。


「これだ」


『そんな未来は存在しない』


「なら――」


観測者が笑った。


「今から作ればいい」


その瞬間。


原初の子が走り出した。


「ぼくも!」


「危ない!」


直人が叫ぶ。


しかし。


原初の子は止まらなかった。


小さな手を空へ伸ばす。


すると。


何もなかった空間に――


一つの扉が生まれた。


「新しい世界!」


扉が開く。


その向こうから。


まだ存在していない世界の光が流れ込む。


終焉が初めて後退した。


『……何をした?』


原初の子は笑った。


「まだない世界を作ったの!」


『馬鹿な……』


「世界は、あるから作れるんじゃないよ」


小さな瞳が輝く。


「作るから、あるんだよ!」


――ドォォォン!


新しい世界の光が終焉を包み込む。


終焉の身体が大きく揺らいだ。


「今だ!」


天音が叫ぶ。


「直人!」


直人は走った。


だが。


今回は違う。


一人ではない。


右には天音。


左にはミオ。


背後には未来ミオ。


さらに観測者。


そして。


原初の子。


全員が一緒だった。


終焉が叫ぶ。


『なぜだ!』


『なぜ、そこまでして生きようとする!』


直人は答える。


「簡単だ」


走りながら。


「一人じゃないからだ!」


天音が続ける。


「一緒に笑えるから!」


ミオが続ける。


「思い出せるから!」


未来ミオが続ける。


「やり直せるから!」


観測者が続ける。


「まだ見ていない未来があるから!」


原初の子が続ける。


「まだ作ってない世界があるから!」


そして。


全員が叫んだ。


「だから――生きる!」


直人の拳が光る。


終焉の拳とぶつかる。


――ドンッ!!


世界の外側が震えた。


しかし。


終焉は消えなかった。


むしろ。


笑っていた。


『……そうか』


「……?」


『ようやく分かった』


終焉の顔が変わる。


その姿が。


直人だけではなくなる。


天音。


ミオ。


未来ミオ。


観測者。


原初の子。


そして。


これまで出会ったすべての人間。


無数の顔へ変化していく。


『私は、一人の「終わり」ではない』


直人は息を呑んだ。


『すべての生命が持つ――』


『終わる可能性だ』


その瞬間。


原本が開いた。


ページに、新しい文字が浮かぶ。


《最終選択》


《世界を終わらせる》


《世界を続ける》


そして。


三つ目の選択肢が現れる。


《世界に選ばせる》


直人は目を見開いた。


「……世界に?」


ミオが呟く。


「つまり……」


未来ミオが続ける。


「私たちが決めるんじゃなくて……」


観測者が言う。


「世界自身に決めさせる」


天音が直人を見る。


「どうする?」


直人はすぐには答えなかった。


そして。


ゆっくり笑った。


「もう決まってる」


直人は原本へ手を伸ばす。


しかし。


その瞬間。


原本のページが真っ黒に染まった。


そして。


最後の一行が現れる。


《ただし――世界が選ぶためには》


《世界自身が「心」を持つ必要がある》


全員が沈黙した。


原初の子が小さく呟く。


「……心?」


すると。


世界の外側から。


新しい鼓動が聞こえた。


ドクン。


ドクン。


ドクン。


巨大な鼓動。


まるで。


この宇宙そのものが――


生き物になったように。


終焉が笑う。


『さあ』


『次は、世界の心を作れ』


直人たちは顔を見合わせる。


そして。


まだ誰も知らない。


世界の心を作るために必要なのが――


彼ら自身の「心」そのものだったことを。


――第七世界。


最終選択は。


ついに。


世界そのものへ委ねられる。

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