第一章 森での目覚め4
「じゃあ──始めましょうか」
ルビーが指を鳴らした瞬間、空気が震えた。
彼女の掌の上に、透明な球体がふわりと浮かび上がる。
ビー玉ほどの大きさなのに、内部には淡い光が脈打つように揺れていた。
「これが《属性珠》。触れた魔力の性質を映すの」
ルビーが指先をそっと当てると──
赤。
青。
緑。
三色の光が球体の中で花火のように弾け、
周囲の木々に反射して幻想的な色を散らした。
「どう? 綺麗でしょ」
ルビーは胸を張り、得意げに笑う。
その笑顔は、魔導師としての誇りそのものだった。
「私はこの世でも珍しい《三属性持ち》。火・水・風、全部使えるのよ」
アリスが横から「すごいでしょ!」と無邪気に補足する。
ルビーは続けて、指を折りながら説明を始めた。
「属性は基本的に六種類」
黄──光
赤──火
緑──風
黒──闇
青──水
茶──土
「そして──白色は《ユニーク属性》」
声を落とし、ちらりとサンを見る。
「その人だけの固有能力で、発動するまで何かわからないの。
私も今まで一人しか見たことがないわ」
サンは視線をそらし、頬をかいた。
「……言うなって」
その反応は照れというより、
“何かを隠している”ようにも見えた。
ルビーはくすっと笑い、説明を続ける。
「でもね、属性がなくても努力次第で他の属性の“初歩”くらいなら使えるの。
だから、気にしなくていいわ」
「僕は黄色だよ!」
アリスが胸を張る。
「光属性は神聖力とも呼ばれてて、回復や強化が得意なの」
ルビーが補足する。
そして、ルビーはルミナの前に歩み寄り、光の玉をそっと差し出した。
「さあ──あなたはどうなのかしら?」
球体はルミナの手の中で、心臓の鼓動に合わせるように淡く脈打っている。
胸が高鳴る。
自分が何者なのか。
この世界でどんな存在なのか。
その答えが、この小さな玉に映る。
ルミナは、震える指先でゆっくりと手を伸ばした。




