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第1話 4/8(月) 転校生と謎の世界 前編

 朝、街頭ビジョンから奇妙なニュースが流れてくる。


「続いて、ここのところ相次ぐ『植物化事件』。つい先日まで異常が見られなかった人々が、突然保護なしでは生きられない植物状態になってしまうこの事件。専門家によりますと___」


 本当にそんなことあるのだろうか? とにかく、学校に急がなきゃ。始業式の日に遅れたら、悪い意味で目立ってしまう。


 今日から僕、阿久津正記(あくつまさき)は、ここ私立夢見沢学園(しりつゆめみさわがくえん)の高校2年生になる。

 周りからの評価は、とにかく真面目、とのこと。でも、気が弱いという自覚があり、時々学年の目立つグループの標的にされる。

 成績も内申もそこそこの、どこにでもいる普通の高校生……のはずだった。

 『彼』と出会うまでは_____


 クラス分けは、まあ悪くないといった感じだった。目立つグループの生徒とは別のクラスだったから、今年は穏便に済みそうだ。

 担任は沼津千里(ぬまづちさと)先生。学園内でも優しい指導で有名な女性の先生だ。

 今年は当たり年、かな。

 そう思っていた時、チャイムが鳴り、ホームルームが始まった。


「今日からあなたたちの担任になります、沼津千里です。と、今日はもう1人紹介しないといけない子がいます。どうぞ、入って」


 沼津先生の合図と共に、男子生徒が1人教室に入ってきた。目つきが悪く、すでに態度に問題ありな雰囲気を感じた。

 沼津先生が黒板に男子生徒の名前を書いた。


赤城明(あかぎあきら)くん、今日からこの学園に転校してきました。赤城くん、自己紹介お願いね」


「……赤城明」


 教室に沈黙が流れた。もしかして、今ので自己紹介終わり……なのかな?

 沼津先生も戸惑っているようだった。


「あ、ありがとう、赤城くん。席は後ろの、あそこね」


 ん? 待って、席隣だ……!

 赤城が隣の席に着く。正記は少し恐怖を感じながらも、勇気を出して話しかけてみた。


「よ、よろしく、赤城くん……」


 赤城はこちらを横目で見たが、すぐに目線を逸らした。完全に無視された……!

 前言撤回、当たり年じゃないかも……!


 なんとか気まずい空気に耐えて、今日1日を終えた……! 正記は安堵しているものの、内心不安を感じていた。

 赤城くん、ずっと不機嫌そうだったな……沼津先生に「隣の席のよしみで、赤城くんにいろいろ教えてあげて!」なんて言われちゃったし……うぅ、お腹痛くなってきた……


 そう考えながら通学路を歩いていた、その時だった。


 曲がり角を曲がったところで、知らない場所に出た。見渡す限りの平原で、空が若干赤く見える、不気味な雰囲気の場所だ。

 道、間違えたかな? 正記は回れ右をして戻ろうとしたが、後ろも平原が広がっており、来た道はなくなっていた。

 正記は混乱した。何がどうなってるんだ? こんなところ、この町にあったっけ?

 すると、後ろから物音が聞こえた。よかった、他にも人がいるみたいだ。


 しかし、その安堵も束の間だった。


 後ろにいたのは人ではなく、鋭い鎌の手を持つ異形の怪物だった。

 正記は驚きと恐怖のあまり、悲鳴が形にならなかった。

 怪物は鎌の手を、正記に向かって容赦なく振り下ろした。正記はそれを間一髪でかわし、目に涙を浮かべながら走り出した。

 これは夢だ! 夢だ!! 夢だ!!!

 しかし、突然全速力で走ったせいか、足がもつれ、正記は転んでしまった。立ち上がろうとしたが、焦りと恐怖で上手く立てない。

 その隙に怪物は正記に接近し、再び鎌の手を振り下ろそうと構えた。

 もう動けない……ここで死ぬんだ……正記の頭の中は真っ白になった。


 正記が全てを諦めたその時、怪物の横から火炎弾が飛んできて、怪物を炎で包んだ。たちまち怪物は焼かれて灰になり、跡形もなく消え去った。

 正記は呼吸が荒い状態の中、火炎弾の飛んできた方に目をやった。


 そこに立っていたのは、手に炎を纏わせた赤城だった。

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