#51 絶体絶命と罠
次回の投稿?
そんなものは未定だドヤッ
どれくらい歩いただろうか。
マナと二人の遺跡探索が始まってまだそれほど時間は経っていないはずだ。
遺跡内には俺とマナの足音だけが響いている。
先ほどからスライムやゴーレムなどのそこまで強くない魔物は出ているのだが、撤退するほどの魔物は出ていない。
「マスター、ここはさっきも通ったのではないでしょうか?」
「だ、大丈夫だ。たぶん」
マナが不安そうに俺に聞いてくる。
俺たちは今、遺跡の中で迷ってしまったのだ。
遺跡はあちこちで枝分かれしておりその分岐点がどれも似たような雰囲気なため同じところをぐるぐる回っているような気がする。
今回の依頼は遺跡の中に強力な魔物がいないかを確認するためのものなので、戦闘をする必要はないが、少し無事に外に出ることが出来るのか、と心配になる。
「本当に大丈夫なのですか? 私、こんなところで死にたくありませんよ。精霊なので死にませんけど」
「俺だって死にたくないよっ」
もうこの会話も何回目だろうか。
目の前に出てきた分岐点を右に曲がる。
「あ、マスター。足元」
「え?」
ポチ、と何かを踏んだような感触があり、何事かと思ったら、目の前にいきなり矢が飛んでくる。
たいまつをかざしてよく見ると足元のレンガがスイッチになっており、それを踏むと横から矢が飛び出てくれる仕組みになっている。
地面に何かの仕掛けがあってそれを踏むと罠が発動するというのは物語のダンジョンなどの罠では結構出てくる確率の高い罠のような気がするがいざ遭遇してみるとよけるので精いっぱいでとてもじゃないが足元に罠があるなんて気づきもしない。
「さっきはこんな罠なかったしきっと進んでるよ。うん」
「マスター、さっさと行きましょう」
俺が必死にさっきの場所とは違う場所だと自己暗示をかけている横をマナが通り過ぎさっさと歩いて行ってしまう。
最初にあった時はこんなにつめたくなかったはずなのだが、いったいどうしたというのだろう。
「あ、マナ、足元に……」
「へ?」
足元にバナナの皮が落ちていることに気付いたが時すでに遅し。
マナはバナナの皮に引っ掛かり盛大にずっこけた。
「なんでこんなところにバナナの皮が落ちてるんですか」
マナが盛大に突っ込む声があたりに響き渡る。
その時ゴゴゴゴという音が地面から聞こえてくる。
「な、なんですか?」
「お、俺に聞くなよ」
二人して辺りをきょろきょろと見渡していると地面から聞こえてきた音が聞こえなくなった。
「な、なんだったんでしょう」
「さ、さぁ」
首を傾げているとマナがこちらを驚いたような表情で見つめてくる。
「ん、どうした?」
「あ、あのー。私の気のせいだったらいいんですけどなんかこの通路傾いてません?」
「ん、そうか? そんなことは無いと思う……『ドスン』ぞ」
え、さっき何か落ちた音が聞こえたような……。
その音は次第に俺の後ろから近づいてくる。
「マスター、私は死にたくないので先に行ってますね」
「は? 何言ってるんだ?」
マナは不思議がっている俺に背を向けるとそのまま走り出す。
『ゴロゴロゴロ』
何かが転がってくる音が背中の方から聞こえてくる。
恐る恐る振り返ると大きな石の玉がこちらに向かって転がってくる。
「え?」
その速度は徐々にスピードを増し勢いよくこちらに近づいてくる。
さっきのゴゴゴゴという音は通路が少し傾いた音だったのだろう。
慌てずに冷静に考えてしまう自分に呆れてしまうが今はそんなことを言っている場合ではない。
「ビックバン」
先日覚えたばかりの魔法を使う。
元の世界でビックバンと言ったら宇宙の始まりとされているが、そんな大爆発ではなく、せいぜい半径二メートルほどを爆発に巻き込む程度だ。
しかし威力はそこそこあるのであれぐらいの石の玉だったら壊すことぐらい分けないだろう。
俺のその予想を裏切り石の玉はビックバンに当たっても壊れることなく、むしろビックバンの爆風を受けさらにスピードを上げてこちらに向かってくる。
これは壊れることはないのではと思い、すぐさまマナの走り去った方向に駆け出す。
俺の後ろ数メートルには今もスピードを上げ続けている石の玉が転がってくる。
こういう時アニメなんかだったら大きな声で叫びながら逃げたりするのだろうが、そんな余裕はなく、ただただ必死に追いつかれないように逃げるしかなかった。
もう背中に当たるというところまで石の玉が近づいたときマナの声が聞こえた。
「マスター。こちらです」
何とかそちらを見るとマナが通路から顔を出しており、手招きしている。
何とかスピードを保ちながら通路に入ると直後に石の玉は俺の後ろを猛スピードで転がっている。
「マスター。大丈夫ですか?」
地面に膝を付き何とか息を整えている俺に向かってマナが心配そうに声をかけてくる。
「はぁはぁ。だ、大丈夫」
何とか息を整えながら返事をするがまだ立ち上がることはできなさそうだ。
「しかしあの仕掛けは死にかけましたね。いったいなんなんですかこの遺跡は」
マナが不思議そうに俺に聞いてくるがあいにく俺も分からない。
この先もさっきみたいな仕掛けがある可能性を考えると今から憂鬱で仕方がない。
「と、取りあえず先に進んでみようか」
「それもそうですね。さっきの通路の先でも見てみますか?」
さっきの通路というと石の玉に追いかけられた通路の事だろう。
「そうだね」
そういって体を起こした時、さっきマナがバナナの皮を踏んだ時と同じようなゴゴゴゴという音が聞こえる。
「マスター、どうしましょう」
マナが困ったようにこちらを見てくる。
マナが見ている先を見ると俺たちが入ってきた通路への入口が閉まっていく。
正確には通路の傾斜がなくなって入口がなくなったというべきだろうか。
石の玉を転がすためにバナナの皮を踏んだら、通路がゆるい傾斜になる仕組みにでもなっていたんだろう。
その傾斜がなくなり今までつながっていた通路が閉じてしまったという事だろうか。
「ほんとにどうしようか」
俺たち二人はそろって頭を抱えることになったのだった。




