ちょっぴり予定変更
振り返ってみると、そこにいたのは、重武装した墓守の警備兵2名だった。
警備兵は剣を抜き、
「怪しいやつらだな。大人しく御縄を頂戴しろ。さもなくば、この場でたたっ斬るぞ」
わたしとしたことが、ひどい大ポカ。帝国建国500年祭の特別警備はドラゴニア候が担当し、街中での警備を特に重点的に行うことになっていたが、警備はそればかりではなかった。歴代皇帝の廟の周囲には、特別警備とは関係なく、常時、墓守の警備兵が巡回していることを、すっかり忘れていた。
しかし、ガイウスは驚いた風もなく、
「ああ言ってるが、どうする?」
「決まってるでしょう。見られたからには生かしちゃおけないわ。やっちゃって」
ガイウスは「わかった」とうなずき、腕を高く掲げた。すると、ガイウスの手のひらから、放電するエネルギーの塊が放たれ、警備兵たちを、一瞬のうちに、悲鳴を上げる間もなく真っ黒焦げにしてしまった。
わたしは思わず驚嘆の声を上げ、
「すごいわ! 親衛隊にスカウトしようかしら」
「いや、ところがね、そうでもないんだな、これが……」
ガイウスは、少々渋い顔をして帝都の方に向き直り、その上空を指差した。
見ると、皇帝の行列の上空を旋回していた魔法アカデミーの魔法使いが、空を飛びこちらに向かっている。
ガイウスは、苦笑いしながら、
「バレちまったようだな。あの魔法使いどもめ、今の電撃魔法から、魔力の波動を感じ取ったのだろう。こうなったら一刻の猶予もないぞ。とりあえず射るんだ」
「でも、皇帝は、ついさっき帝都を出たばかりよ。今は周りに群がる住民が邪魔だわ」
「いや、多少の障害物ならよけて飛ぶから、問題ないはずだよ。それに今は、一刻も早く脱出しないと。魔法アカデミーの魔法使いが相手では面倒だぞ」
ガイウスに促され、わたしは伝説のエルブンボウに最高品質のエルブンアローをつがえた。そして、ガイウスの言うとおりに、皇帝の顔や容姿を思い浮かべ、弦を引き絞る。叙位式のときに一度見ただけなので、あまりよく覚えてないけど、健康そうには見えない若い兄ちゃんだったような…… 本当にこれでお大丈夫だろうか(なんだか不安)。
弦を離すと、矢は皇帝をめがけ一直線に飛んだ。
ガイウスはそれを見て、
「これでいい。戻るぞ。私の体につかまれ」
わたしがガイウスの腰に手を回し、しっかりと抱えると、ガイウスは魔法の呪文を唱えた。
すると(ところが?)……
「うっ!? おっ、おぇ~~ ここは、一体???」
瞬間移動で難を逃れることはできたようだけど、周囲はゴミの山。とんでもないところに来てしまった。
さすがのガイウスも鼻をつまみ、
「すまない。スラム街のゴミ捨て場に出たようだ。ゆっくり移動先を考える間がなかったから……」




