↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スーパーロボティクス ~宇宙戦艦も魔法もあるのに、巨大ロボがないなんて!~  作者: えいえい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/6

プロローグ

 星々の間を無数の宇宙船が渡る。


 青白い太陽を背に船団が宇宙港を離れ、遥かな星へ進路を取る。かつて移民が種を蒔いた荒野には都市が広がり、夜の大陸を灯火が縁取っていた。


 人々は星と星を結ぶ航路を開き、幾つもの世界に国を築く。地上から仰いだ星は新たな故郷となり、そこに生まれた者がさらに遠い光を目指した。


 幾世代もの星間航行を重ねた今も、銀河の地図には広大な空白が残されている。


 航路を示す灯が途絶えた先で、青い光を放つ生命の群れが探査船を包む。


 群れの奥から翼を広げて現れた巨獣は、一つの都市を上回る大きさだった。その腹には山脈を思わせる起伏が連なる。巨獣が頭上を通過する間、船からは腹の向こうの星々さえ見えない。


 人々が航路や領土を争う宇宙を、群れは悠然と横切っていく。船に目を向けることもなく、青い光はやがて星空の彼方へ遠ざかった。


 その美しい闇には幾多の船の残骸も漂う。


 小惑星を食い破る巨虫が鉱山を崩し、航路に現れた怪獣は戦艦すら獲物に選ぶ。長大な触腕に絡め取られた艦の救難信号が途絶え、砕かれた装甲の破片だけが星の光を返した。


 宇宙の奥深くには、星と星を隔てる距離より長い龍(ドラゴン)が棲む。


 別の次元から現れた龍(ドラゴン)の胴に恒星の光が反射する。鱗の連なりは観測できる範囲の外まで続き、頭も尾の先も見えない。やがて巨体は空間の裂け目へ沈み、全身を明らかにしないまま元の次元へと消えた。


 星々では幾つもの国が栄え、長い歳月の末に滅んだ。王の名が歴史から忘れ去られた後も、老いを知らぬ龍(ドラゴン)は今なお成長を続けている。


 巨人(タイタン)の宿る星では山も海もその意思に従う。


 その思念が大地を動かすと、海底から山脈が隆起する。押し上げられた海水が斜面を流れ落ち、無数の滝となって岩肌を覆った。上空を巡る船の眼下には、昨日まで海だった場所に新たな陸地が広がっている。


 王が代わり国の名が変わっても、民の祈りは大地に宿る神へ捧げられた。


 黒に近い紫の身体を持つアーケインは、宇宙怪獣の大群を率いて星々を襲う。船を食らう怪物たちさえ、その命令には逆らわない。迫り来る軍勢を前に避難民が港へ殺到し、軍艦に守られた船団が故郷を離れた。


 後に残された船は引き裂かれ、幾千の船を迎えた港から灯が消える。


 アーケインに抗う女神(セレスティアル)は、星々から還る死者の魂を迎える。その手を経た魂を源として、遥かな星に新たな命が芽吹いた。


 多くの星を治める王も女神(セレスティアル)の前では膝を折る。壮麗な聖堂から辺境の家々まで、産声を待つ祈りが絶えることはない。


 神々の力が星の運命を左右する宇宙に、人の船はあまりに小さかった。


 それでも未知の星へ続く航路を求め、船乗りたちは港を発つ。


 何年も消息のなかった船が異郷の宝を積んで帰還する。船倉には見知らぬ花の種や未知の文字を刻んだ石板が並び、それらを求める人々で港は再び賑わった。


 積荷と共に届いた航海の記録は、さらに遠い世界への憧れを呼び起こす。


 暗黒星雲の奥には生きた宇宙船が潜むという。龍(ドラゴン)を追った探検家の日誌には、まだ地図にない星の位置が記されていた。記録の途切れた先を確かめるため、新たな船が港を離れる。


 未踏の大地に最初の足跡を残し、伝説として語られた景色を自らの目で見届ける。その願いを受け継ぐ者がいる限り、星図の空白へ向かう航海に終わりはない。


 星を渡る船が集う宇宙港の一つに、ウェストヘイヴンがあった。宇宙に浮かぶこの街では工房に並んだ船の修理が続き、その奥には人々の住む家々が連なっている。


 街の病院では一組の夫婦が初めての子の誕生を待っていた。


 病室の窓の向こうを離港する船の光が過ぎる。遠ざかるその灯はやがて星々に紛れ、広大な夜の一部となった。


 この果てしない宇宙に一人の子供が生まれようとしている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。