レイドバトル
一度は情報操作によりユーザーとの癒着を否定し、運営側のウソの潔白を証明されるも
カズナリらの執念の追跡により、運営とプレイヤーの癒着とプレイヤーにチートツールの取引の仲介をしていた証拠を掴むことに成功した
事件を公にし、主犯格であるカイトを倒すことで正当性を手に入れたいカズナリは
カズナリ率いる反乱軍は、オラカイト王国ギルド街の郊外にあるクラン〈天空騎士団〉の拠点を目指すのであった
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「カイトさん!カズナリがものすごい人数の兵隊を引き連れてこちらに来ています」
偵察に送り出していた兵士から自分が狙われていることを知ったカイトであったがその表情は余裕そのものであった
「この俺が追い込まれてると思ってんのか?逆だ。あいつらを誘き寄せてんだよ。」
「ですが!」
カイトには勝算があった。
まずこちらには強力な威力と引き換えに範囲内の動いているものすべてにダメージを与えるスキル【ミスリルレイン】がある
さらにマンサムから手配した兵士たちの存在だ
彼らは八綺衆のおこぼれをもらい、あわよくば自分たちがポストに収まろうとしている連中だ
一日の大半をプレイ時間に割り当てているものもいるくらいの猛者だ。
それに加えて莫大な経験値と最強の装備を配布してあるのでパワーで負けることはまずない
それがダメだとしても更なる奥の手が用意されている
いわばこの戦闘は勝確のイベント。八綺衆の昇進のための布石だ
「これよりレイドバトルをはじめる!!運営に喧嘩を売ったことがどれだけ愚かなのか解らせてやれ!
その日、二つの勢力による大きな抗争を繰り広げていた
カズナリ率いる反乱軍、平日の夕暮れ時の招集でありながらほぼ全てのメンバーが招集に応えてくれた。
メンバーのレベルも装備の質もバラバラではあったが、憎き運営の手先を討つと言う目的は同じであった
対するは運営公認のベストプレイヤーの一人カイトが率いるクラン天空騎士団とその派生クラン二十組
同じくトッププレイヤーが一人、ジェネラル・マンサムから派遣された兵隊が三千の合計九千
数でこそ同等であったが、種族も装備も雑多な反乱軍に対してレベルをカンストさせ現在最強の装備と布陣で固めていたカイト側が有利に思われた、が
オオオオオオオオオオオオオオ!!
「すげぇ!俺たち八綺衆の配下を追い詰めてるぞ!」
「どうした、廃人ども!教科書通りの動きしかできないのか!?」
「前衛部隊の守りが崩れました!反乱軍に押されています!」
「どういうことだ!こちらは最強の装備と精鋭の部隊だぞ!」
思いもしない通達にカイトは歯噛みする。
圧倒的戦力差を覆すならばチートをまず疑う
前々からカズナリ周りではチートが行えないような話は聞かされていたので、その逆も可能だと踏んではいたなだが
さすがに新規ユーザーが増えているこのギルド街で
自らの立場を危うくさせる術を使うとは思えない。
現に自分たちも使用を控えているのだ
一人、また一人とカイト防衛部隊が倒され、生き残った前線もまた津波の如くカズナリの軍勢が次々と押しながされていく
「いいぞ、カズナリの言った通りに事が進んでいく。これなら・・・勝てる!」
上がり調子の反乱軍が突き進む中
反乱軍二番隊隊長であるニルスは、勝利を確信しつつブリーフィングを思い返していた
戦いの場であるカイトの拠点であるギルド街郊外を示したマップを使ってひとりの隊長が状況を説明する
「敵は三十人規模のクランを二十ほど所有しているプレイヤー、リーダーを含めGBOに相当の時間と金をかけている廃人なので平日の昼間でも人数が少なくなるという望みは捨てた方がいいかもしれません」
画面をカイトの深い交友のステータスとその運営するクランに切り替える。
腐っても運営公認の名プレイヤーの配下だ、能力だけでなく装備も抜かりはない
「運営がバックについている以上当然レベルはカンスト、装備もスキルセットも今以上に理想的な構成で固めてくるでしょう」
基本MMOはレベルが上がるにつれてそれに要求される経験値は増えてくるよう設計されている
一レベル上げるのにひと月かかるなんてことはここに限った話ではない
そこに目をつけた運営は自分らに貢献するものにゲーム内外で経験値を配布していた
これのたまに運営やその周りに媚びを売るプレイヤーも少なくない
それに対してこちらは数だけ揃えた即席のチーム
レベルにも差はあるし、限られた金でやっとこせ揃えた装備群。この差は目に見えていた
それに対しリーダーのカズナリは「それでいい」と返す
「それでいいわけがないだろう、カズナリ!」
若干楽観視しているように聞こえたニルスが机を叩きカズナリの提案に意を唱える
長年他のゲームと共にこのゲームをプレイしていた彼として不意打ちなどの戦術、地の利といった要素が先頭に反映されないGBOで
スキルとステータスがどう言うことか知っていたからだ
「向こうは装備やスキルを最強装備を所有している状態なら|現在、主に使われている《・・・・・・・・・・・》スキル構成や立ち回りができると言うことだぞ!仮に正面からならー」
「そうだ、だからこそ好都合なんだ」
カズナリはおもむろにウィンドウをみんなに見せた
「GBOのデータベースか、これがいったいどうしたというんだ?」
運営公式が一切の攻略情報を出さないため
有志が情報収集したことにより収集したデータの賜物だ
八綺衆の一人リンドが纏めているのはプレイヤーの中で有名な話であった
「いや、待てよリンドは確か・・・。カズナリ、お前が言いたいことはそう言うことか」
役一週間前までは当たり前のように毎日更新されていたサイトは現在は機能停止状態だった
いかに奴の情報をアテにしていたかわかるだろう
「これも見てくれ。この組み合わせはもう強くはない」
カズナリは昨日行われていたメンテナンスの告知を見せた
「ナーフがかけられてる」
運営は定期的にバランス調整を行なっていた。
定期的にプレイヤーのクラスや装備を変えるために課金しろというメッセージなのだが
まさかこういう形でこちらに有利になるとは思わなかった
「おまけにイベントも軒並み中止になったからナーフされたことも気づかなかったんだろう。普通のゴブリン相手じゃ、技の組み合わせの恩恵は感じられないしな」
実際に強い弱いの組み合わせは実際にプレイしたものにしかわからない、リンドの死後他に強力な組み合わせを実証するものがいなかったのだ
真面目にプレイしているのなら秒で気づくことだ
いかにこのゲームより運営へのゴマスリと馴れ合いだけに力を入れているかがわかる
そうとも知らないカイト軍は苦戦を強いられていた
「何してんだガンナー部隊、早く援護しやがれ!このままではシールドがもたん!」
「リロードが終わらないんだよ!そういうお前らは盾ちゃんと強化してんのか!?」
「ニルスさん、指示を」
「あぁ、そのまま前進し各個撃破だ!味方の体力管理も怠るなよ」
地上部隊は壊滅状態、あとはカイトの本隊だけ
虎の子であるミスリルレインがまだ温存されている
使われる前に決着はつけてやりたい
が
ズ、ゴォォォォン!!
何かが炸裂した衝撃と鼓膜を突き破るような音が鳴る。近かったが、幸い爆発による被害はなかったようだ
「な、なんだあれは!」
安堵をする間もなく誰かが壁のあった場所を指さした。
「レイドボスだ。くそっ、こんな時に」
その指の先には自分たちの体を覆うほどに巨大な獅子の化け物が現れたのだ
レイドボスやゲリライベントは告知もなくやってくるものだ
しかし、今回はあまりにもタイミングが出来すぎている
「グオオオオオオッ!!」
ズァッ、ドオオオン!
魔物はその巨大に似合わない俊敏なステップで地上にいる兵士を見境なく薙ぎ払う。
その一方で構成員を有翼人で統一していたカイト側には被害はまったくと言っていいほどなかった
地上を這う魔物だから空にいる敵を狙えないのかと言えばそうでもない
本来の運営なら謎の怪光線の一つでも出して上空のプレイヤーを根こそぎ撃ち落としているはずだ。
カズナリだけでなく運営の実情を知っているプレイヤーがその意味を理解した。
これが奴らの秘密兵器なのだろうと
猛獣が回り、飛びかかるたびにカズナリの兵士が宙を舞う。
一度は押し上げていた戦線が押し返されていく
「カズナリさん、これ以上は」
「おれたちの前にいる化け物はただのレイドボスだ。レイドボスならばまだ希望はある。持ち堪えるんだ」
カズナリの言葉に一度は折れかかっていた兵士たちの心を再び奮い立たせた
それを嘲笑うかのようにカズナリらからかなり離れた位置にいた天空騎士団が隊列を組みだした
カイトのクラス〈コマンダー〉のクラス固有スキルを用いることで〈天空騎士団〉全員の攻撃を同じタイミングに行わせることでできる
全体攻撃スキル【ミスリルレイン】を同じタイミングで放つことで威力を上乗せする算段だ
「連中はレイドボスに気を取られている。カズナリめ、ミスリルレイン対策を怠ったことを後悔させてやる」
攻撃モーションを行う瞬間
人型の飛翔体が天空騎士団よりもはるか上空から飛んできたのだ
「カイトさん!上ー」
「なに?カズナリめ、伏兵を」
思わず攻撃の手を緩めるカイト
「【シェルター】!!」
抵抗する間も無く
謎の人物もろとも魔力の球体に閉じ込められてしまった




