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第60話 さてと、いつもの朝食のはずが、、、。

何故か書いているうちに食事回となってしまいました。私は別に料理に詳しいわけではありませんので、細かいところのツッコミについては控えて頂きつつ、楽しんで頂けると幸いです。


また、誤字脱字のご指摘ありがとうございました。今後も遠慮なくご指摘いただけますと幸いです。

 テシテシ、テシテシ、ポンポン、つんつん、、、。いつもの朝起こし? それにしても何か追加された気がするんですが、、、。目を開けると、愛しの我が達の他に、巨大なニワトリが顔をついばんでいるのだが、、、?


「おはよう、マーブル、ジェミニ、ライム。って、おまえもかい!」


「ミャー!」


「アイスさん、お早うです!!」


「あるじー、おはよう!」


「コケーっ!」


「そこ、さり気なく加わらない。まあ、いいか。おはよう。ところで、なぜコカトリスさんが、ここに来ているのかな?」


「ミャッミャア-。」


「なるほど、何か私にくれるためにここに来てくれた、ということか。」


「そうです! 本当なら全員でここに来ようと思ったそうですが、パトラちゃん達子供達につかまって今は一緒に遊んでいるそうです。」


「なるほど。昨日の今日だというのにもうそんなに馴染んでいるんだね、って子供達起きるの早っ!」


「アイスさんはご存じないかも知れないですけど、ゴブリンさん達が来てから、クレオ君もパトラちゃんも他の子供達も早起きになったですよ。」


「・・・ひょっとして、領内で朝一番起きるの遅い人って私?」


「それはないと思いますけど、アイスさんは遅い方かも、、、。」


 これでも、マーブル達は以前いた世界でいうところの朝6時にきっちり起こしてくれているのだ。これで遅い方って、どこの老人の集落だよ、、、。ま、まあ、日々の活動には問題ないからいいよね、、、。


「まあ、それは置いといて、コカトリスさん、私は何をもらえるのかな?」


「コッコケーッ。」


 何か嬉しそうにこちらに話してくれるのは嬉しいが、生憎何を言っているのか理解できない。一応『言語理解』のようなスキルをアマさんにもらった覚えがあるけど、それを使っても今のところ、ゴブリンとオークとオーガと野ウサギ族の言葉しかわからなかった。しかも通常種では全く理解できていない、更に、今だとここのゴブリン達は普通に人語を話せているので、野ウサギ族との会話でしかこのスキルは役立っていない。まあ、ジェミニを含めた野ウサギ族達とこれで会話できるのはありがたいことに間違いないのだけど、、、。


 そんなことを考えつつ、目の前のコカトリスが嬉しそうにしていることだけはわかったので良しとしようかな。それで、このコカトリスが出してくれたのが、何と卵だ! まじで卵か! しかも1つ1つがかなり大きいぞ、これ。以前いた世界の小説で読んだ内容だと、どれも絶品と言われているコカトリスの卵が今目の前にあるのだ!


「これ、卵か! 本当にくれるのか?」


「コケーっ!」


「これはありがたい! これから朝食だけど、早速ありがたく使わせてもらうよ!」


「コッコケーッ!」


 あまりの嬉しさに興奮を隠せずに思わず言ってしまったが、これを聞いたコカトリスも嬉しそうにしてくれたので一安心だ。少し落ち着いたときに、ふと疑問に思ったことがあったので聞いてみる。


「でも、いいのかい? せっかくくれた卵を食べるためにもらっても。もちろん、もらったからには美味しく頂くことはこの場で誓うけど。」


「コケコケーッ!」


「アイスさん、これらの卵は食べてもらうために用意したそうです。口に合うと嬉しいと言ってるです!」


「そうか! ありがたく頂くよ。」


 折角もらった上に、待ちに待った卵だ。今日はこれが主役だ。とはいえ、卵料理は久しぶりだからなぁ、初めてもらった卵だから失敗の少ないものでいきましょうかね、しかも新鮮だしね。ということで、以下の通りに決定。一品目、目玉焼き。二品目、卵焼き、しかも甘い方のやつ、まだ出汁となるものはないから、だし巻き卵はムリだ。三品目、卵汁かな、おすましのような感じでね。四品目、これはメインといっても過言ではない、そう、卵かけご飯だ。醤油はまだないけど、絶品と評判(私リサーチ)の卵を使うのだ、何も入れなくても十分だろう。万が一味が足りなくてもスガープラントがあるのだ。


 そうと決まればさっさと用意しますかね。ただ、このコカトリスの卵、デカいです、ええ、それはもう。どの位デカいかといいますとね、以前いた世界の卵よ10個分くらい大きいのですよ。ぶっちゃけ、一品毎に1個ずつでも十分なんですよ、これがね。ちなみに頂いた卵の数は45個、、、。使い切れるかい! とりあえずお裾分けとして領民達に配るのも有りっちゃあアリだけど、これは次の宴会まで時間停止で保管しておく予定、というのも、他にも作りたいものがあるからだ。恐らくそれを作るのに多くを必要とするのだ。


 では、調理開始。時間の掛かるものから取りかかりますかね。まずは寝る前にタップリと水を吸わせていた押し麦の入った鍋に火を付けてもらう。あ、もちろん火付け係はマーブルちゃんですよ。


 次に、卵汁用に鍋に水と昨日調理した植物の屑を入れた袋を入れる。この袋は細かい目の網となっている、いわゆる出汁パックみたいなものだ。これはゴブリンの職人が作ってくれたもので、繰り返し使えるため、かなり重宝している。これらを入れたら火を付けてもらう。ちなみに、領主館にある台所には20台分のコンロっぽいものがある。宴会の時でも使えるように数多く用意している。正直もう少し欲しいくらいだ。


 それはさておき、次は目玉焼き及び卵焼き用の油を用意するため、昨日狩ったトリさん達の皮を中華鍋もどきに放り込む。本来ならたくさん作るために最初に準備するべきなのだが、今回は私達の分だけあればいいので、順番はこれでいい。皮を鍋に放り込んでから火を付けてもらう。油を出すためなので、先程よりやや控えめにしてもらっているので大丈夫。


 少し経って必要な分の油が抽出できたので、それを使って今度は鉄板をコンロの上に乗せ、火を付けてもらう。火力はやや控えめにしてもらった。強火力で調理する自信がまだないからだ。ボウルを2つ用意してそれぞれにもらった卵を割ると、それはもうプリンプリンの黄身が出てきた。見事に黄色である。確か、食べるものによって出来上がる黄身の色って変わるはずだけど、それは気にしなくていいか。控えめに言っても今までで最高の卵であるのは間違いない。1つはスガープラントの白い部分から絞り出した汁を入れ、ほどほどにかき混ぜ、もう1つは何も入れずにそのままほどほどにかき混ぜておく。


 水を入れた鍋が沸騰してきたので、火力を弱めてもらい、スガープラントの茎を細かくしたものを出汁用の袋に入れて、その袋を鍋の中に放り込む。


 いい感じで鉄板が温まったので、鶏油を2カ所ひいて1カ所には目玉焼きを作るので卵を割り、ひいた油の部分に落としていく。もう1カ所の部分には、スガープラントの白い部分から絞り出した汁と混ぜた卵の一部を油の上に乗せていく。生憎卵焼き器なんてものは持っていないので、実力勝負となる。とはいえ、秘密兵器のコテのようなものは用意できているので、それをしっかりと使用する。しっかりと気泡を潰して、いい感じの半熟になったら少しずつ巻いていく。4回くらい巻いたら、すこし上に動かして油を引き直して、また一部を流していく。それを2回ほど行ってから、目玉焼きにボウルをかぶせる。その後は引き続き卵焼きの製作に没頭する。卵液がなくなるまで繰り返して卵焼きの甘いやつ完成だ。それと同時に目玉焼きも完成したっぽいので、かぶせておいたボウルを取って確認する。うん、しっかりと半熟を保っているな。


 卵焼きと目玉焼きが完成し、押し麦の入っている鍋が沸騰して少し経ったのを確認して火を止めてもらう。


 最後に、スガープラントの茎が入った袋を取り出し、もう1つのボウルに入っている卵を少しずつ加えながらかき混ぜていく。ボウルの中の卵がなくなり、鍋の中にある卵にもいい感じで火が通ったので、卵汁も完成した。


 そして、それぞれ完成したものを切り分けたりして、マーブル達にも振り分けが終了したときに、押し麦ご飯も完成した。あ、目玉焼きはスガーを振りかけただけで、切り分けはしてないです。半熟だから黄身が流れるじゃないですか。それは食べ始めてからでいいです。それから、押し麦ご飯をみんなの分用意してから、またボウルに卵を割って入れ、ほどほどにかき混ぜる。これで卵かけご飯の用意ができたと同時に今日の朝食の準備も完了。マーブル達は待ちくたびれたと言わんばかりに気合十分な様子。私も正直作っている間に何度味見という名のつまみ食いをしようと思ったか。してしまうと、マーブル達が暴走してしまうのでかろうじて思いとどまったが、、、。


「みんな、お待たせ。では、いただきます!」


「ミャア!!」


「いただくです!!」


「いただきまーす!!」


 食事前の挨拶を済ませて朝食を食べ始める。ここはやはり卵かけご飯から頂くべきであろう。ということで早速卵かけご飯から食べてみる。濃厚な味とさり気ない甘みが見事に調和していた。まさか、ここまで美味しいものだったとは驚きだった。ってか、これ食べたら他の卵は食べられないくらい美味い。味がほとんどない押し麦ご飯も見事にサポートしている感じだった。試しにスガーをかけて食べると更に美味しくなった。とはいえ、人によっては何もかけない方が美味いという場合もあるほど、何もなくても美味いことはわかった。


 これだけ美味いのだから他の料理も美味いだろう、ということで、目玉焼きや卵焼き、卵汁も食べてみるとそれぞれが最高の上手さだった。マーブル達もかなりご満悦だった。


「ミャア!!」


「アイスさん! これ、美味しすぎです!! 今までの朝ご飯も、もちろん美味しかったですが、今日のご飯は今まで以上に美味しいです!!」


「あるじー、これ、ボクだいすきー!!」


「みんな、ありがとう。私も今までで一番美味しい朝食だと思ったよ。コカトリスさん達に感謝だね。」


 って、気がついたら、卵をくれたコカトリスがいなくなっていた。ジェミニに聞くと、卵料理を始めた後にすぐ戻ったらしい。何でも、領内の子供達と遊ぶためだとか。後でお礼を言っておかないとね。


 そんな感じで幸せな時間を満喫していると、何やら外から強い視線を感じた。恐る恐る見ると、そこには、アンジェリカさん率いる女性陣のみならず、ウルヴやアイン、ラヒラスまでいやがった。君達はどうしてそういうことには敏感なんだよ、と思ってしまった。


「えーっと、どうしたのかな、君達?」


 思わずこんなことを口走ってしまうと、間髪入れずにアンジェリカさんが文句を言ってきた。


「アイスさん!! ワタクシ達に黙って、一体何をお召し上がりになっているのかしら?」


 みんなの視線がやばい、怖い、怖すぎる、、、。一応弁解の発言をしておく。別に嘘は言ってない。


「あ、あのですね、コカトリスさん達からお裾分けを頂いたので、それを使って試作を致しましてね、、、。いや、上手くいったらみんなにもお裾分けするつもりだったんですよ、、、。」


「それはいけませんわ!! こういった試作には、試食係というものが必要だと思いますの!! いえ、試食係が圧倒的に足りてないのですわ!! いいですか、アイスさん! 貴方達だけで、こういうものをお召し上がりになっているのは、試食ではなく、明らかに独り占めというものですわ!!」


 アンジェリカさんが激高しながらこちらに近づいてきた。あんなことを言いながら近づいてきて最後にはこちらの手まで握って力説する始末。近い、近いです、アンジェリカさん。しかも一緒に来ていた連中はみんなしてそれに賛同していたらしく、同じように近づいてきていた。ここまで鬼気迫った状態で来られては逆らいようがない、、、。


「いや、みんな朝食は済ませたんでしょう? これは私達の朝食ですから、、、。」


 最後の抵抗を試みるが、それも虚しく粉砕されてしまった、、、。


「確かに、朝食は済ませましたわ、ですが、それとこれとは別問題ですわ!!」


「うん、そこにある細長い黄色の物体から特に甘いにおいがする、、、。甘いものは別腹、、、。」


 アンジェリカさんばかりではなく、ルカさんまで追い打ちをかけてきた、、、。ここまで攻められると無条件降伏しか選択肢がなく、まだ食事中にも関わらず、特にリクエストの強かった卵焼きを作らされるハメになってしまった、、、。しかも、鶏油全部使い切ってたから、鶏油から作ることに(泣)。


 久しぶりというか、ほぼ初めての朝食襲撃があったが、完成品に関してはみんな喜んで食べてくれたので結果オーライ、、、できるかー!! 何で食事の途中でまた作らされるんだよ!!


 それはともかく、こんなに美味しい卵を提供してくれたコカトリス達には本当に感謝しかないな。こちらもコカトリス達も安心して生活できるように頑張るので、また美味しい卵を提供してくれると嬉しいな。


いつもご覧頂きありがとうございます。もしお気に召して頂けましたら、評価や感想などを頂けますと大いに励みになります。また、ブクマ登録や誤字脱字のご指摘なども随時お待ち申し上げております。

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