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1980年代北海道のんびり旅  作者: マツモ


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道央編塩狩峠

北海道に行きたいと思ったのは、中学生の時だった。講堂で観た映画『塩狩峠』。命を捧げた男の物語は、多感な少年の胸に深く刺さった。


高校三年生、卒業を間近に控えたある日。同級生のダミアンとアミムラが「北海道へ行きたい」と口にした。僕、マツモも迷わず仲間に入れてもらった。それは、憧れが現実とかした卒業旅行だった。


初めての塩狩峠は夜行急行『宗谷』の車内からだった。車窓に広がるはずの塩狩峠を探したが、漆黒の夜はあまりに厚く、何も見えなかった。


その日サロベツ原野。到着した先は、すべてを飲み込むような一面の雪野原だった。当然植物などあるわけがない純白の静寂の中に立ち尽くす僕たちは雪景色を堪能した。


僕たちはその日の午後宗谷本線を南下し、塩狩温泉駅へと降り立った。


映画で見た、悲劇の舞台。しかし、そこに広がる景色は、驚くほど平和で静かだった。緩やかな勾配が続く鉄路本当にここで、事故が起きたのだろうか。僕はその光景を信じられなかった。


この、何でもないような静けさに惹かれたのだと思う。塩狩温泉駅。駅から徒歩わずか一分という距離に、僕を何度も引き寄せることになる宿があった。


列車が去った後のホームに立つと、耳が痛くなるほどの静寂が満ちてくる。意外にも列車の便は悪くなかった。北へ向かう鉄路、南へ向かう鉄路。ここは、旅人たちがそれぞれの人生を一時停止させ、また走り出すための始発駅だったのかもしれない。



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