表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたくし悪役令嬢ですから  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊発売決定:商業ノベル&漫画化進行中
【本編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/34

8

 マックは自然な疑問として、オリオン王太子に問うた。なぜマクドナルト嬢についてそんなに詳しいのかと。ピーナッツがダメであることを、マックは知らなかった。それはそうだろう。自分の健康問題についてべらべら話すことはない。クラスメイトや教師陣も知らなかったと思う。それなのにオリオン王太子は当たり前のように把握している。かつオリオン王太子は確かにマクドナルト嬢と密談をしているのだ。マックが婚約者であるわたくしより、マクドナルト嬢に関心を持っているのではないかと勘繰るのも当然だった。


 一方のオリオン王太子はため息をつく。


「君が公爵家の次期当主でなければ、王族の一人として、侮辱罪を問うところだ」

「!? で、殿下、それは……!」

「最初に言ったはずだが。マクドナルト嬢は転校してきて、授業に追いつくのに難儀していたと。補講を受け、その後は僕のサポートを受けていた。密談などではなく、勉強を教えていただけだ」


 これにはマックは「しまった!」と実にバツの悪い表情となる。そしてすぐに「申し訳ありませんでした」と体を二つ折りにするようにして謝罪した。するとオリオン王太子はまったく想像していない一言を口にする。


「その謝罪、僕だけではなく、マクドナルト嬢にもするべきでは?」

「!」


 マックの表情が固まる。


「マック・エグバート・マーフィン。君はマクドナルト嬢のことが好きなのだろう? 彼女に告白した。でもお断りされている。そこから君は……自分の気持ちを受け入れなかったマクドナルト嬢のことを逆恨みするようになった。ピーナッツクリームがサンドされたラングドシャだけではない。大量のラブレター、山ほどの髪飾り、それに……ガーターまで沢山贈りつけた」


 これを聞いた女生徒が眉をひそめる。いくら金持ちのモテ男でも、マックは禁忌タブーをおかしている。なぜならガーターは靴下がずり落ちないように太腿や膝に巻いて使う下着なのだ。下着を異性に贈るなんて、この世界では完全なるタブーだった。正直、そんなことをされたら「気持ち悪い」であるし「変質者だわ」と言われても仕方ない。


(さしものモテ男の名もここで返上ね……)


「マクドナルト嬢は振った君からの嫌がらせに悩んでいた。さらに追い打ちをかけるように、食べると不調になるピーナッツクリームがサンドされたラングドシャが大量に贈られてきたんだ。マック以外で自身の命を狙う人物までいるのではないか――そう悩んでいたことを僕に打ち明けたんだ。密談も親密も関係ない。学級委員もしている僕への相談だった」


 マックはオリオン王太子のこの言葉に完全に撃沈。口を半開きにしてフリーズしてしまう。


「マックだけを責めるわけにはいかないな。なぜならフィレオ、スロー、君たち二人も同じだろう? 二人もマクドナルト嬢に告白して、振られている。好きという気持ちが強かった分、拒否された事実への反感はものすごいものだった。可愛さ余って憎さ百倍となってしまったのでは? そこでマクドナルト嬢を助けるふりをして、彼女の不幸を願うようになった。そして同じ穴のむじなだ。お互いの思惑に気づき、フィレオ、スロー、マック。君たちは手を組むことにしたんだ」


 オリオン王太子の発言に生徒も教師もみんな「えええ!」と驚いているが、それはわたくしも同じ! 


(当て馬令息たちがヒロインに振られた腹いせに、徒党を組み、彼女の不幸を願うなんて! あり得ないことですわ!)


 だがそのあり得ないことが粛々と進行していたのだ……!


「君たち三人は、ウェンディとマクドナルト嬢が一見すると不仲に思える関係性に着目した。そして僕とウェンディが勉強のために会っているのに、密談をしていると勘違いしていたんだ。そこで一つのシナリオを作り上げた。公爵令嬢であるウェンディが、平民のマクドナルト嬢に嫌がらせをしていると。そんな令嬢、王太子である僕の婚約者に相応しくないと。ウェンディ有責で僕が婚約破棄できるよう、お膳立てしたわけだ」


 マックと同じように、フィレオ、スローの顔色が青ざめ、口を結び、固まってしまう。オリオン王太子はその三人の様子を見ながら、話を続ける。


「バーガー辺境伯は、蛮族の撃退に成功し、国境付近が平和になると、鉄道事業を推進した。王都と辺境伯領を結ぶ大規模な鉄道事業をスタートさせ、そこでマクドナルト嬢の父親も大活躍している。この功績を踏まえ、マクドナルト卿には男爵位を与えることが決定しているんだ。マクドナルト嬢は男爵令嬢になる。そうなれば僕の婚約者になることも不可能ではなくなるだろう。それを宰相の息子であるスロー、君はいち早く気がつき、シナリオに盛り込んだわけだ」


 そこで一呼吸すると、オリオン王太子がズバリ指摘する。


「マクドナルト嬢への嫌がらせを理由に、僕にウェンディとの婚約を破棄させる。その上で、親しくしているマクドナルト嬢と僕が婚約すればいいと考えた」


 当て馬令息たちが突然わたくしの罪を並べ立てた理由は理解できた。オリオン王太子がわたくしと婚約破棄し、マクドナルト嬢と婚約できるよう計画して動いたわけだ。


(でもこれはこの乙女ゲームの世界での正解よ。ここはヒロインがオリオン王太子をロックオンした世界。王太子攻略ルートでしょう。ヒロインと王太子のゴールインでゲームはクリア。ヒロインのハッピーエンドだ。当て馬令息はヒロインの不幸を願ったが、結果としては幸せにつながる。つまりフィレオ、スロー、マックの三人は空回りしただけ? 自分たちのことを振ったヒロインの不幸を願うため行動するも、これもまたシナリオの抑止の力に阻まれたということ……?)


「もし君たちのシナリオ通りで物事が進んだら……ウェンディとは婚約破棄だ。そして僕がマクドナルト嬢と婚約するなんて言い出したら、それこそ不幸の極みだろう。だがそうなることを願ったのだろう? フィレオ、スロー、マック、君たち三人は?」


 これにはオリオン王太子に「違いますわ!」とわたくしが答えたくなる。どうしてそこで不幸なのかと。オリオン王太子とマクドナルト嬢婚約=ハッピーエンドなのに!と。


「……殿下。降参します。その通りです。殿下と婚約したら、マクドナルト嬢は不幸になる。それを目論んでいました」


 スローの言葉に、わたくしは目が点になる。


(え、どういうことですの……?)


お読みいただきありがとうございます!

まだ何かがあるーっ!

ブックマーク登録で次の更新をお見逃しなく☆彡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ